映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『名探偵ピカチュウ』: ピカチュウがとにかく可愛い。もふもふしたい。

『名探偵ピカチュウ
原題: Pokémon Detective Pikachu
製作年:2019年
製作国:アメリカ合衆国、日本

 

 

金曜ロードショーで放送された。

kinro.ntv.co.jp

感想

試写会で観た。
試写会は字幕版だったから、吹き替え版を観るのは初めて。

何度観てもおもしろい。

 

 

ピカチュウがとにかく可愛い。もふもふしたい。

 

 

キャスティング

デッドプールライアン・レイノルズピカチュウだもんね。
キャスティングの勝利。

 

エンドクレジットのメインキャスト一覧で、"with Ken Watanabe and Bill Nighy"とクレジットされている。
これは"last billing"といって、日本で言うところの「トメ」に近い。
著名な俳優が比較的小さな役(脇役)を演じたときに主に使う。1人だけなら"and"を、2人以上なら1人目に"with"でそれ以降に"and"を付ける。

 

 

世界

ライムシティに足を踏み入れたシーンは、リッチ・ムーア監督、バイロン・ハワード監督、ジャレド・ブッシュ共同監督、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ制作/製作『ズートピア』のオマージュかな。
テーマはそれぞれ、動物の共生、人間とポケモンの共生だし。

 

当たり前の存在としてポケモンがいる世界、というのを実現させた映画。
VR感あふれる映像。いわゆる「ハリウッド大作映画」なのに、脚本まで含めて無駄に高品質。

2016年から配信されているARモバイルゲーム『Pokémon GO』の理想形。
株式会社ポケモンは、『ポケットモンスター』の著作権管理とフランチャイズに関するあらゆる周辺ビジネスを統括している。
『Pokémon GO』との相乗効果を狙って仕掛けたはず。
同様に、今作でのミュウツーに関する描写は、同じ年に公開された『ミュウツーの逆襲 EVOLUTION』と繋げている。

 

「アーバンファンタジー・ミステリー映画」(urban fantasy mystery film)というジャンルになるらしい。

都市を舞台にしたファンタジーとして、日本の創作物にはあまりない発想で作られていると思う。

 

 

最初に観たときの感想

試写会で観たときの感想。

films.hatenablog.com

 

試写会に飯豊まりえがシークレットゲストで来ていた。
飯豊まりえ可愛い。

 

 

エンドクレジット

本編もさることながら、主要スタッフと主要キャストのクレジット*1で流れる映像がポケモンファンの心をくすぐる。スタッフたちがファンを喜ばせようと考えていたのが感じられる。

今回はいつもより5分延長して22:59まで。「"本編ノーカット"と宣伝していたけどEDカットかな?」、終わりに差し掛かったところで「もしかして……?」と思っていたらちゃんとエンドクレジットまで放送。
金曜ロードショーのスタッフと日本テレビの編成担当はちゃんとわかってる。

 

エンドタイトルを制作したAntenna Creativeが公式で公開している。

vimeo.com

Antenna Creativeが特設ページで解説している。

antennacreative.com

 

 

ポケモン

ポケモンのキャラクターデザイン、モデリング、体毛や羽毛の毛並み、それにキャラクターアニメーションを、観客が「不気味」「気持ち悪い」と感じるギリギリ手前でコントロールしている。
ハリウッド映画で特に顕著だけど、実写映画の画になじませるために、もしそのキャラクターが現実にいたらという考え方で制作する。実在の生き物を参考にしてデザインする。役者と同じ世界に生きている感じを重視しているからだ。
二次元のキャラクターを巧みに三次元の生物に落とし込んでいる。

ポケモンのファンアートで、リアルなデザインで描くジャンルが人気だったりする。

 

VFX

ソニック・ザ・ムービー』がファンから猛烈に批判されて、即座にソニックのデザインやモデリングやリギングからシミュレーションやライティングやデジタル合成まで作り直した。ソニックが登場するシーンやショットをすべて。結果的に大ヒットした。日本ではまだ未公開だけど。

ジェフ・ファウラー監督が批判後すぐに作り直すと明言していたのが印象に残った。

 
新デザインはセガのグループ会社マーザ・アニメーションプラネット*2が担当した。新デザインでの作り直しに500万ドル追加予算がかかったらしい。その作業は約5か月間に及び、その間スタッフたちは皆ストレスを感じていたと。

また、『キャッツ』は散々な言われようだった。まあ、原作の舞台ミュージカルを知らない人が批判していた側面もあるけれど。VFXアーティストたちの暴露記事によると、トム・フーパー監督の判断の失敗ではないかと思われる。
こちらもCGIをぎりぎりまでブラッシュアップしていて、公開後に新バージョンの映像データ(DCP)*3を劇場に配布して映像自体を差し替えしていた。

それらと併せて考えると、『名探偵ピカチュウ』の監督、プロデューサー、映画スタジオ幹部らは上手くやったね。

 

撮影

『名探偵ピカチュウ』のジョン・マシソン撮影監督は、『ソニック・ザ・ムービー』との違いについて、フィルム撮影かデジタル撮影かが大きく影響していると述べている。
デジタルカメラは色彩を上手くとらえられない。特に青色やシアンが顕著で、また赤色が「酷くノイジー」だと。
昔ながらのフィルムカメラは、露出について理解していれば、優しい画を得られると。

www.newsweek.com

『名探偵ピカチュウ』はイーストマン・コダックの35mmフィルムで撮影されている。
21世紀に入ってからの映画業界では、フィルム撮影は少数派だ。デジタル撮影はフィルム撮影に比べて低コストで、撮影結果をすぐに確認でき、短時間で後工程の作業を始められる。だからデジタル撮影が主流になった。
それでもフィルムの質感を好む映画監督など、フィルム撮影を続ける映画製作者は多い。

 

 


キャスト

ティム・グッドマン:ジャスティス・スミス(竹内涼真)
ルーシー・スティーヴンス:キャスリン・ニュートン(飯豊まりえ)
ヒデ・ヨシダ:渡辺謙(本人吹替)
ハリー・グッドマン:???
ハワード・クリフォード:ビル・ナイ(中博史)
ロジャー・クリフォード:クリス・ギア(三木眞一郎)
ミス・ノーマン:スキ・ウォーターハウス
セバスチャン:オマール・チャパーロ(三宅健太)
アン・ローラン博士:リタ・オラ(林原めぐみ)
ジャック:カラン・ソーニ(梶裕貴)
ティムの祖母:ジョゼット・サイモン(犬山イヌコ))
DJ:ディプロ(石川界人)
ポケモントレーナー竹内涼真(カメオ出演)

名探偵ピカチュウライアン・レイノルズ*4 / 西島秀俊(日本語吹き替え) / 大谷育江(ピカチュウの鳴き声)
コダック / PSYDUCK - 声:愛河里花子
メタモン / DITTO - 声:金魚わかな

ミュウツー / MEWTWO:星埜李奈 / コタロー・ワタナベ(山寺宏一 / 木下紗華)

 

 

スタッフ

監督:ロブ・レターマン
脚本:ダン・ヘルナンデス&ベンジー・サミット and ロブ・レターマン and デレク・コノリー
原案:ダン・ヘルナンデス&ベンジー・サミット and ニコール・パールマン
原作:任天堂ポケモンクリーチャーズ、陣内弘之、宮下尚生『名探偵ピカチュウ』;田尻智杉森建増田順一ポケットモンスター
製作:メアリー・ペアレント、ケイル・ボイター、片上秀長、ドン・マッゴーワン
製作総指揮:ジョセフ・M・カラッシオロ・Jr.、アリ・メンデス、石原恒和大久保賢司、宮原俊雄、松岡宏泰、コウジ・ウエダ
音楽:ヘンリー・ジャックマン
撮影監督:ジョン・マシソン
編集:マーク・サンガー、ジェームズ・トーマス
製作会社:レジェンダリー・エンターテインメント、株式会社ポケモン東宝
提供:ワーナー・ブラザース映画、レジェンダリー・ピクチャーズ
配給:ワーナー・ブラザース映画 (全世界)、東宝 (日本のみ)

 

プロダクションデザイナー:Nigel Phelps
セット装飾:Lisa Chugg
衣装デザイン:Suzie Harman

special effects workshop supervisor: Steve Benelisha
視覚効果スーパーバイザー:Erik Nordby, Beau Garcia, Bryan Litson, Pete Dionne for MPC, Bernhard Kimbacher for Image Engine, Peter Nofz for Rodeo FX
視覚効果プロデューサー:Geoff Anderson for Image Engine, Greg Baxter, Johannes Bresser for Framestore, Martina Chakarova, Cecilia Marin for MPC, Graeme Marshall for Rodeo FX, Doug Oddy on Character Development for MPC, Maud Beckers (uncredited)

アニメーションスーパーバイザー:Jason Fittipaldi for MPC, Thiago Lima Martins as additional animation supervisor for MPC, Clement Yip for MPC, Hugo García Torres (uncredited), Dale Newton, Richard Spriggs

supervising sound editors: Erik Aadahl, Ethan Van der Ryn
supervising foley editor: Jonathan Klein

creative director end titles : Jarik Van Sluijs

*1:オープニングクレジットを後ろに持ってきてクロージングクレジットの冒頭に流す映画は多い。

*2:正確にはアニメ制作会社トムス・エンタテインメントの100%子会社

*3:Digital Cinema Package; デジタルシネマパッケージ。かつては配給会社がフィルムプリントを映画館に配給していたが、デジタル上映が主流の現在ではHDDに入ったDCPを映画館に配給する。

*4:声の芝居とフェイシャル・モーションキャプチャー