映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『月の獣』

『月の獣』
原題: Beast on the Moon
公演:2019年12月

 

感想

第一次世界大戦後の1921年アメリカ・ミルウォーキーオスマン帝国アルメニア人虐殺から逃れてきた青年アラムは、孤児の少女セタを妻に迎える。セタは目の前で姉を強姦され殺されたことでPTSDになっていた。

第二幕ではセタが精神的にも成長している。

ヴィンセントはセタが世話している孤児。どうやら夫アラムには秘密のようだ。

ヴィンセントがアラムから借りたハンカチで鼻をかみポイ捨てしたとき、観客席からかすかに笑い声が聞こえた。

ヴィンセントは虐待を受けていた。

父の形見のコートについてはアラムの気持ちもわかる。

終盤でセタがアラムに気持ちを吐露する場面で、「トマシアンさん」と距離を感じさせる呼び方をした。アラムが初めて秘密を打ち明けてくれて、「アラム」と呼びかけた。

 

老紳士は語り手。他の登場人物たちには見えないらしい。第二幕になると部屋にたたずんでいるのがおもしろい。神様みたいな存在かな?と思ったら実はヴィンセントの後の姿だった。

老紳士が女物のセーターをヴィンセントに手渡して、ヴィンセントがセタとアラムに返す演出が良い。

 

良い演劇だった。

基本的に二人芝居で場面転換もない構成だけど、引き込まれた。

NHKのスタッフも良い仕事だった。舞台全体のショットと役者のクロースアップと、芝居を理解しやすくする撮影・編集。

 

キャスト

アラム・トマシアン:眞島秀和
セタ・トマシアン:岸井ゆきの
老紳士:久保酎吉
ヴィンセント:升水柚希

 

スタッフ

作:リチャード・カリノスキー
演出:栗山民也

翻訳:浦辺千鶴
美術:伊藤雅子
照明:服部基
音響:高橋巌
衣裳:西原梨恵
ヘアメイク:鎌田直樹
演出助手:坪井彰宏
舞台監督:藤崎遊

企画:パソナグループ
製作:テレビ朝日産経新聞社、パソナグループ

 

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