『ケープ・フィアー』
原題:"Cape Fear"
製作年:1991年
製作国:アメリカ合衆国
作品について
マーティン・スコセッシ監督。
ジョン・D・マクドナルドの小説『ケープ・フィアー - 恐怖の岬』("The Executioners")及び映画版、J・リー・トンプソン監督『恐怖の岬』(1962)が原作。
サイコロジカル・スリラー映画。
バーバラ・デ・フィーナ プロデューサー。マーティン・スコセッシ監督と長年組んでいるプロデューサー。
キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、スティーヴン・スピルバーグ エグゼクティブプロデューサー。
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感想
怖い。
サイコパスやストーカーを描く演出が巧み。
不快になる話なので、お勧めしない。
マックス・ケイディは凶悪犯罪者。自分の悪行を棚に上げ、14年前の弁護士による減刑に満足できず、もっと軽くできたはずだと逆恨みし、服役中に弁護士一家への復讐計画をひそかに練り、出所後に実行する。
刑務所で読み書きを身に着け、法律を学ぶ。すべては逆恨みのために。
復讐計画の最中にときどき出てくる言葉が知的。
サム・ボーデンは弁護士だから守秘義務があり、自分や家族につきまとう元依頼人マックス・ケイディの個人情報を他人に言えない。
あまりにも酷い事件であったため、依頼人に有利になる証拠を使わなかった。被疑者や被告人の弁護人としては問題ではある。その負い目があって、警察に逆恨みされている件を言えない。
マーティン・スコセッシ監督は敬虔なカトリックで、暴力表現を通して宗教を描く演出がよく見られる。
マックス・ケイディはなかなか死なない。
上半身が火だるまになるスタント。
マックス・ケイディ(ロバート・デ・ニーロ)、サム・ボーデン(ニック・ノルティ)、リー・ボーデン(ジェシカ・ラング)、ダニエル・ボーデン(ジュリエット・ルイス)の4人それぞれにスタントダブルがいる。
Robert De Niro
ロバート・デ・ニーロは、ナンシー・マイヤーズ監督・脚本・製作『マイ・インターン』(2015)で素敵なおじいちゃんを演じていたけれど、再びマーティン・スコセッシ監督と『アイリッシュマン』(2019)でマフィアの暗殺者をやっていた。
マイ・インターン
— なお (@naotie) 2019年10月5日
The Intern (2015)
ナンシー・マイヤーズ監督・製作・脚本
吹替版
おもしろい
ロバート・デ・ニーロとアン・ハサウェイだからこそ
『プラダを着た悪魔』のアンドレアがファッション通販会社の創業者/CEOのジュールズ
ベンは実在したマーケティング会社Dex Oneの元役員(VP)という設定
#マイ・インターン
— なお (@naotie) 2019年10月5日
ロバート・デ・ニーロの柔和な芝居を観たのは久々。シリアスな話の映画によく出ている役者だから
ベン・ウィテカーの好きな作家はトム・クランシー、カート・ラドナー?(Kurt Ladner, ネルソン・デミルの別名義)。あとはハリー・ポッター
Netflix が CGI で俳優の容姿を若返らせる手法の解説動画を公開している。
How The Irishman’s Groundbreaking VFX Took Anti-Aging To the Next Level | Netflix
Danielle Bowden
ダニエルの10代の愚かさがある意味でリアル。年上の男に惹かれたり。家族が円満ではないので、理解してくれる人に依存したり。自分を安売りしたり。根拠のない自信があったり。
山田尚子監督、吉田玲子さんシリーズ構成・脚本、京都アニメーション制作『けいおん!』第1期(2009)のエンディングテーマ「Don't say "lazy"」にこんな歌詞がある。
ヤバ まさか赤点(Red Point)!? いや ギリクリア!
それだけでなんて全能感
作詞の大森祥子さんによるJKのとらえ方が上手。これもまたある一面。
製作
『ケープ・フィアー』はもともとスティーヴン・スピルバーグ監督が自分で監督しようと開発していたが、内容が暴力的すぎるため他の人に監督を任せることにした。
『シンドラーのリスト』(1993)の監督を、シドニー・ポラック監督やマーティン・スコセッシ監督にオファーしていた。ロマン・ポランスキー監督やブライアン・デ・パルマ監督はオファーを断っていた。ビリー・ワイルダー監督は興味を示していた。
スティーヴン・スピルバーグ監督は自分で『シンドラーのリスト』を監督することにした。代わりにマーティン・スコセッシ監督には『ケープ・フィアー』を提供した。
アルフレッド・ヒッチコック監督作品も参考にしている。
J・リー・トンプソン監督もヒッチコックのファンだったので、『恐怖の岬』(1962)にヒッチコックの演出を取り入れた。
『恐怖の岬』(1962)のグレゴリー・ペック、ロバート・ミッチャム、マーティン・バルサムがカメオ出演している。
『恐怖の岬』(1962)のバーナード・ハーマンの音楽を、エルマー・バーンスタインが編曲・指揮した。
キャスト
マックス・ケイディ:ロバート・デ・ニーロ;樋浦勉、磯部勉
サム・ボーデン:ニック・ノルティ;小川真司、小川真司
リー・ボーデン:ジェシカ・ラング;一城みゆ希、高島雅羅
ダニエル・ボーデン:ジュリエット・ルイス;松本梨香、渕崎ゆり子
クロード・カーセク:ジョー・ドン・ベイカー;飯塚昭三、増岡弘
エルガート:ロバート・ミッチャム;加藤精三、小林清志
リー・ヘラー:グレゴリー・ペック;内田稔、大木民夫
ローリー・デイヴィス:イリーナ・ダグラス;一柳みる、鵜飼るみ子
トム・ブロードベント:フレッド・トンプソン;藤本譲、池田勝
裁判長:マーティン・バルサム;筈見純、あずさ欣平
グラシエラ:スリー・モンテロ
フルーツスタンドの客:チャールズ・スコセッシ
ソフト版
演出:福永莞爾
翻訳:木原たけし
制作:東北新社
初回放送:2020年10月12日『午後のロードショー』
テレビ朝日版
演出:左近允洋
翻訳:平田勝茂
調整:高橋久義
プロデューサー:圓井一夫
制作:グロービジョン
初回放送:1995年6月4日『日曜洋画劇場』
スタッフ
監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ウェズリー・ストリック
原作:ジョン・D・マクドナルド、ジェームズ・R・ウェッブ(1962年版脚本)
製作:バーバラ・デ・フィーナ、ロバート・デ・ニーロ(クレジットなし)
製作総指揮:キャスリーン・ケネディ、フランク・マーシャル、スティーヴン・スピルバーグ(クレジットなし)
撮影監督:フレディ・フランシス
編集:セルマ・スクーンメイカー
音楽:バーナード・ハーマン
編曲・指揮:エルマー・バーンスタイン
製作会社:アンブリン・エンターテインメント、カッパ・フィルムズ*1、トライベッカ・プロダクションズ*2
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ (米国)、ユニヴァーサル映画/UIP (日本)
プロダクションデザイン:Henry Bumstead
美術監督:Jack G. Taylor Jr.
セット装飾:Alan Hicks
衣装デザイン:Rita Ryack
hair stylist: Donna Battersby Greene
makeup artist: Elizabeth Lambert
Mr. De Niro's hair stylist: / makeup artist: Ilona Herman
Mr. Nolte's hair stylist / makeup artist: Edouard F. Henriques III
Ms. Lange's hair stylist: Lyndell Quiyou
Ms. Lange's makeup artist: Dorothy J. Pearl
special makeup effects artist: Neal Martz
special burn makeup: Stephan L. Dupuis
assistant special burn makeup: Jo-Anne Smith-Ojeil
casting director: Ellen Lewis
unit production manager: Deborah Lee
post-production supervisor: Margery Mailman
first assistant director: Joseph P. Reidy
second assistant director: Nathalie Vadim
second second assistant director: Deborah Lupard
additional second assistant director: Kevin Williams (uncredited)
production assistant: Alan Steinman (uncredited)
production sound mixer: Tod A. Maitland
re-recording mixer: Tom Fleischman
supervising sound editor: Skip Lievsay
supervising dialogue editor: Philip Stockton
foley supervisor: Bruce Pross
special effects coordinator: J.B. Jones
miniature special effects supervisor: Derek Meddings for The Magic Camera Company
producer: Roger Lofting for The Magic Camera Company
art director: José Granell for The Magic Camera Company
director of photography: Paul Wilson for The Magic Camera Company
matte artist: Robert Stromberg for Illusion Arts Inc.
matte painters: Syd Dutton for Illusion Arts Inc., Bill Taylor for Illusion Arts Inc.
special optical effects: Syd Dutton for Illusion Arts Inc., Bill Taylor for Illusion Arts Inc.
optical photographer: David S. Williams Jr. for Illusion Arts Inc.
matte photographer: Mark Sawicki for Illusion Arts Inc.
matte special rigging: Lynn Ledgerwood for Illusion Arts Inc.
*1:マーティン・スコセッシ監督の製作会社 Cappa Films。現在の社名は Sikelia Productions。Cappa Productions / Cappa Films の由来は母親 Catherine Scorsese の旧姓 Catherine Cappa。『グッドフェローズ』(1990)にマーティン・スコセッシ監督の両親が出演している。
*2:ロバート・デ・ニーロの製作会社 Tribeca Productions