映画の後には紅茶とお菓子を

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『コッホ先生と僕らの革命』感想

『コッホ先生と僕らの革命』
原題:"Der ganz große Traum"
製作年:2011年
製作国:ドイツ
公開日:2011年2月24日

 

 

作品について

セバスチャン・グロブラー監督。

スポーツ・ドラマ映画。

 

 

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感想

おもしろい。いい映画。

ドイツにおけるサッカーの父コンラート・コッホを主人公に描いているが、話を大幅に脚色・創作している。

主人公の性格や言動が、1874年に生きていた人ではなく、20世紀後半、第二次世界大戦後の西洋社会の人みたい。

コンラート・コッホ先生はサッカーを通して、「敵味方なく公平に敬意を払うフェアプレイの精神や、仲間を思いやるチームプレイの大切さを教えていく」*1。(勝つためには汚い手段をとることを「マリーシア(malicia)」と称して自画自賛する、現代のプロサッカー界にフェアプレイがあるかは断言できないが。)

ピーター・ウィアー監督『いまを生きる』(1989)に似ている。ジョン・キーティング先生が型破りな授業で生徒たちに大切なことを教え、生徒たちが変わっていく。

地元の名士でギムナジウムの後援会会長リヒャルト・ハートゥングがグスタフ・メアフェルト校長に圧力をかける点は、J・K・ローリング著『ハリー・ポッターと秘密の部屋』(1998)及び、クリス・コロンバス監督、スティーヴ・クローヴス脚本、デヴィッド・ヘイマン製作の映画(2002)で、魔法界の名門家出身で学校の理事ルシウス・マルフォイがコーネリウス・ファッジ魔法大臣やアルバス・ダンブルドア校長に圧力をかける描写に似ている。

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ドイツで生まれたメディシンボールの技術から、サッカーボールが生み出された。アディダスやプーマの原点ということかな。

『いまを生きる』のビターエンドと違い、『コッホ先生と僕らの革命』はハッピーエンド。

映画の内容は、サッカーを通してナショナリズムを煽り、ドイツ帝国がイギリス帝国と戦争をする話、とも言える。

 

中学校の英語の授業を思い出す。

 

硬そうなサッカーボール。こだま兼嗣監督、野沢尚さん脚本『名探偵コナンイカー街の亡霊』(2002)で、19世紀末ロンドンのシャーロック・ホームズの家にあったサッカーボールが、事件ではなく終盤のどんでん返しにおける重要なアイテムになっていた。

サッカーが広まる前のドイツでは、サッカーを知らない人から「女々しい遊び」だと見なされていたのかな。

 

釘宮理恵さんの少年のお芝居。小野不由美さん原作、小林常夫監督、會川昇さん脚本『十二国記』(2002)の泰麒のお芝居がとてもよかった。

 

 

 

BS松竹東急が2022年11月15日 20:00-22:14に放送した。2022年11月20日-12月18日にカタールで開催されるFIFAワールドカップに合わせた番組編成だろうね。

www.shochiku-tokyu.co.jp

 

 

キャスト

コンラート・コッホ(Konrad Koch) - ダニエル・ブリュール(Daniel Brühl)、鈴木達央
グスタフ・メアフェルト校長(Schuldirektor Gustav Merfeld) - ブルクハルト・クラウスナー(Burghart Klaußner)、北川勝博
リヒャルト・ハートゥング(Richard Hartung) - ユストゥス・フォン・ドホナーニ(Justus von Dohnányi)、田中正彦
フェリックス・ハートゥング(Felix Hartung) - テオ・トレブス(Theo Trebs)
ヨスト・ボーンシュテッド(Joost Bornstedt) - アドリアン・ムーア(Adrian Moore)、釘宮理恵
クララ・ボーンシュテッド(Klara Bornstedt) - カトリン・フォン・シュタインブルク(Kathrin von Steinburg)、井上まひろ
Turngerätefabrikant Schricker Senior - Axel Prahl
Geschichtslehrer Dr. Roman Bosch - Thomas Thieme
Turnlehrer Dr. Jessen - Jürgen Tonkel

 

 

スタッフ

監督:セバスチャン・グロブラー(Sebastian Grobler)
脚本:ヨハンナ・シュトゥットゥマン(Johanna Stuttmann)、フィリップ・ロス(Philipp Roth)
原案:セバスチャン・グロブラー、ラウル・ライネルト
製作:アナトール・ニッチケ(Anatol Nitschke)、ラウル・ライネルト(Raoul Reinert)
撮影監督:マルティン・ランガー(Martin Langer)
編集:ディルク・グラウ(Dirk Grau)
音楽:インゴ・ルードヴィヒ・フレンツェル(Ingo Ludwig Frenzel)
共同プロデューサー:Helge Sasse, Matthias Wendlandt, Felix Wendlandt, Hans Wolfgang Jurgan
製作会社:Cuckoo Clock Entertainment GmbH & Co. KG (Hamburg), deutschfilm GmbH (Berlin/München), Senator Film Produktion GmbH (Berlin)
共同製作:Rialto Film GmbH (Berlin), ARD Degeto Film (Frankfurt am Main)
配給:Senator Film Verleih GmbH (Berlin)

配給(日本):ギャガ