映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『DUNE/デューン 砂の惑星』感想: 映像美

『DUNE/デューン 砂の惑星
原題: Dune (titled onscreen as Dune: Part One)
製作年:2020年
公開年:2021年
製作国:アメリカ合衆国

 

 

作品について

wwws.warnerbros.co.jp

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督・プロデューサー・共同脚本。『ボーダーライン』(2015)、『メッセージ』(2016)、『ブレードランナー 2049』(2017)など。最近は大作SF映画を任されている。『メッセージ』と『ブレードランナー 2049』は好き。

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フランク・ハーバートSF小説デューン砂の惑星』が原作。

 

今までに2度映像化が試みられた。デヴィッド・リンチ監督・脚本の映画『デューン/砂の惑星』(1984)、ジョン・ハリソン監督・脚本のミニシリーズ『デューン/砂の惑星』(2000)及びグレッグ・ヤイタネス監督、ジョン・ハリソン脚本の続編『デューン/砂の惑星II』(2003)。

かつてアレハンドロ・ホドロフスキー監督が1974年から映画の開発をしていたが、development hellに終わった。その経緯をまとめたドキュメンタリー映画、フランク・パヴィッチ監督・製作『ホドロフスキーのDUNE』(2013)がある。

 

リチャード・P・ルービンスタイン エグゼクティブプロデューサー。リチャード・P・ルービンスタインは1996年から『デューン砂の惑星』の映像化権を保有している。

メアリー・ペアレントがプロデューサー。

ケイル・ボイターがプロデューサー。

Legendary Entertainmentの創業者トーマス・タルがエグゼクティブプロデューサー。トーマス・タルは2017年にLegendaryのCEOを辞任、会社を去ったとされる。アダム・ウィンガード監督『ゴジラvsコング』(2021)や『DUNE』でクレジットされているのは、それだけ映画製作に時間がかかることを表している。それに会社を去っても、個々の作品におけるプロデューサーとしての契約は続いているので。

Legendary Pictures製作。

叙事詩SF映画。原作小説の前半を基にしている。

後編"Dune: Part Two"は2023年に公開予定。またレジェンダリー・テレビジョンが、フランク・ハーバートの子どもブライアン・ハーバートとケヴィン・J・アンダースンの共同著作SF小説"Sisterhood of Dune"を原作に、スピンオフ・テレビシリーズ"Dune: The Sisterhood"を開発中。HBO Max で配信予定。ドゥニ・ヴィルヌーヴとジョン・スペイツがエグゼクティブプロデューサーとして参加している。Diane Ademu-John がショーランナーとして雇われた。

 

 

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感想

おもしろい。続編が楽しみ。

 

以前NHK BSプレミアムデヴィッド・リンチ監督・脚本『デューン/砂の惑星』(1984)を観た。イタリアの名プロデューサー、ディノ・デ・ラウレンティス、娘のラファエラ・デ・ラウレンティス、ユニバーサル・ピクチャーズや出資会社の指示で、デヴィッド・リンチ監督の不本意な編集をせざるを得なかったという経緯がある。

アメリカ映画業界では、通常final cut privilegeはプロデューサーにある。映画会社は映画監督にfinal cut privilegeを渡したがらない。大手映画会社は弁護士やウォール街出身者が経営している。映画監督が満足できる映画製作より、利益を最大限生むことを優先する。極一部の実力と名声を兼ね備えた映画監督だけが、契約交渉によりfinal cut privilegeを手にすることができる。そういう監督は大抵の場合、製作会社を経営し、プロデューサーも兼務している。監督とプロデューサーや映画会社の間で擦れ違いが起きたことから、ディレクターズ・カットを公開するという考えが生まれた。その後は、さらなる利益追求のために、編集を巡る擦れ違いがなかった作品でも"director's cut"と称して再編集版を公開するようになった。"director's cut"などと宣伝されれば、コアなファンが食いつくことを知っているので。

 

デヴィッド・リンチ監督版は映画1作品で最後まで描くという企画だったのに対し、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版は前後編の二部作構成である。そのことを考慮しても、デヴィッド・リンチ監督に比べて、ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督は観客が理解できるように努力していると感じる。

かつての映画業界は小説や漫画を映画の元ネタ供給源として扱い、改変が当たり前、原形を留めていない映像化も珍しくなかった。クリス・コロンバス監督・製作総指揮(第1作第2作)・製作(第3作)、アルフォンソ・キュアロン監督(第3作)、マイク・ニューウェル監督(第4作)、デヴィッド・イェーツ監督(第5作以降)、スティーヴ・クローヴス脚本、マイケル・ゴールデンバーグ脚本(第5作)、デヴィッド・ヘイマン製作『ハリー・ポッター』シリーズ、ピーター・ジャクソン監督・製作『指輪物語』三部作が大成功した。ハリウッドは原作の精神に忠実な作品を製作すれば、原作ファンが喜び、新規ファンが増え、結果的に利益を上げられると気づいたようだ。その後、原作の精神に忠実な映像化が増えてきた。

www.theguardian.com

 

デヴィッド・リンチ監督版は映像美を楽しむ映画。

ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督版は映像美を兼ね備えた映画。

21世紀の映画は、良くも悪くも視覚効果とCGIの発達で、既視感のある映像になっている。リドリー・スコット監督・製作『プロメテウス』(2012)と『エイリアン: コヴェナント』(2017)、ジョセフ・コシンスキー監督・製作・共同脚本『オブリビオン』(2013)、ジョージ・ルーカス監督とJ・J・エイブラムス監督・製作・共同脚本とライアン・ジョンソン監督・脚本による『スター・ウォーズ』シリーズ、J・J・エイブラムス監督・製作とジャスティン・リン監督による『スター・トレック』シリーズ、ライアン・クーグラー監督・共同脚本、ケヴィン・ファイギ製作『ブラックパンサー』(2018)のような『マーベル・シネマティック・ユニバース』など。プロダクションデザインつまり美術、そして撮影(カラーグレーディングを含む)が似通った印象を受ける。

 

ティモシー・シャラメは美しい。クリストファー・ノーラン監督・製作・共同脚本、ジョナサン・ノーラン共同脚本、エマ・トーマス製作、リンダ・オブスト製作、キップ・ソーン製作総指揮『インターステラー』(2014)、ルカ・グァダニーノ監督・製作、ジェームズ・アイヴォリー脚本・製作『君の名前で僕を呼んで』(2017)、グレタ・ガーウィグ監督・脚本、スコット・ルーディン製作『レディ・バード』(2017)、グレタ・ガーウィグ監督・脚本、エイミー・パスカル製作、アーノン・ミルチャン製作、ロビン・スウィコード製作『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』(2019)など。

 

ワーナー・ブラザース日本法人の宣伝部と宣伝プロデューサーが、芸能人ゴリ押し吹き替えを制作しなかったので嬉しい。基本的に劇場公開版がBlu-ray Discに収録され、配信される。

もっとも、芸能人ゴリ押し吹き替えを理由に映画を観る浮動層は、『砂の惑星』のようなSF映画は敬遠する可能性が高いけれど。

 

 

キャスト

ポール・アトレイデス:ティモシー・シャラメ入野自由
レディ・ジェシカ:レベッカ・ファーガソン皆川純子
レト・アトレイデス公爵:オスカー・アイザック森川智之
スフィル・ハワト:スティーヴン・マッキンリー・ヘンダーソン浦山迅
ウェリントン・ユエ博士:チャン・チェン津田健次郎
ガーニー・ハレック:ジョシュ・ブローリン大塚芳忠
ダンカン・アイダホ:ジェイソン・モモア安元洋貴
ウラディミール・ハルコンネン男爵:ステラン・スカルスガルド勝部演之
グロッス・ラッバーン:デイヴ・バウティスタ立木文彦
パイター・ド・ヴリース:デヴィッド・ダストマルチャン、上田燿司
チャニ:ゼンデイヤ内田真礼
スティルガー:ハビエル・バルデム大塚明夫
リエト・カインズ博士:シャロン・ダンカン=ブルースター本田貴子
ジャミス:バブス・オルサンモクン、高木渉
ガイウス・ヘレン・モヒアム:シャーロット・ランプリング野沢由香里
使者:ベンジャミン・クレメンティーン、間宮康弘

 

 

スタッフ

監督:ドゥニ・ヴィルヌーヴ
脚本:ジョン・スペイツ and ドゥニ・ヴィルヌーヴ and エリック・ロス
原作:フランク・ハーバート
製作:メアリー・ペアレントドゥニ・ヴィルヌーヴ、ケイル・ボイター、ジョー・カラッチョロ・ジュニア(Jr.)
製作総指揮:トーマス・タル、リチャード・P・ルビンスタイン
撮影監督:グリーグ・フレイザー
編集:ジョー・ウォーカー
音楽:ハンス・ジマー
製作会社:レジェンダリー・ピクチャーズヴィルヌーヴ・フィルムズ
配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ

 

キャスティングディレクター:Jina Jay, Francine Maisler

プロダクションデザイン:Patrice Vermette
美術監督:Tom Brown as supervising art director; Karl Probert as senior art director; Tibor Lázár, Gergely Rieger, David Doran as art director on vehicles, Samy Keilani (second unit)
セット装飾:Richard Roberts, Zsuzsanna Sipos
衣装デザイン:Jacqueline West, Robert Morgan as co-costume designer

第二班監督:Tom Struthers

sound mixer: Mac Ruth
production sound mixer: Balazs Varga (second unit)
supervising sound editors: Theo Green, Mark A. Mangini
sound designers: Theo Green, Dave Whitehead

special effects supervisor: Gerd Nefzer

visual effects supervisors: Paul Lambert as Overall VFX Supervisor; Tristan Myles for DNEG, Brian Connor for DNEG, Patrick Heinen for Wylie Co, Jake Maymudes for Wylie Co, François Dumoulin for Rodeo FX