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『非常宣言』感想

『非常宣言』
原題:"비상선언"
英語題名:"Emergency Declaration"
製作国:韓国
製作年:2021年
公開日:2022年8月3日

 

 

作品について

ハン・ジェリム(한재림)監督・脚本・プロデューサー・編集。

ディザスター・スリラー映画。

 

公式サイト

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感想

真綿でじわじわ締め上げていくようなストーリーと演出。

中盤から政治スリラーの物語が展開される点が興味深い。アメリカのディザスター映画とは異なる。日本のディザスター映画とも異なる。

ホノルル行の航空機でバイオテロが発生し、アメリカ政府から着陸を拒否され引き返す。緊急事態を宣言し、成田空港への緊急着陸を要請するが日本政府からも拒否される。航空自衛隊の戦闘機が出動し、威嚇射撃を行う。

韓国でも政府内に慎重論が強く、また国民の反対デモが起きる。

現代の物語なので、航空機内の乗客はスマホで報道やSNSを見ている。国民から「死ね」と間接的に言われていることも。

乗客と乗務員の全員が「着陸しない」という決断をする。

 

ク・イノは法令遵守を無視し独断専行する。『24』ジャック・バウアーのように。

アンチウィルスの効果を証明するために、検疫所を襲撃し、自分にウィルスとアンチウィルスを打つ。やっていることがテロリストのリュ・ジンソクと同じ。政治的主張のために違法行為。テロリズム

熱血刑事は暴走し、冷血刑事は悪巧み。違法捜査は刑事警察の伝統。現実でも創作でも、警察官は犯罪者が多い。創作物は現実を反映しているともいえる。

警察、検察、裁判所が「デュー・プロセス・オブ・ロー」(due process)を守らないということは、正当性を失うということ。

 

作中の日本政府の対応がおかしいとか、誇張されているという点はあるけれど。

 

 

演出

乗客が地上の家族と最期のビデオ通話をする。映像がどんどん小さくなる。

エンドクレジットでは、クロード・ドビュッシー作曲『ベルガマスク組曲』第3曲「月の光」が使われている。

 

 

キャスト

ク・イノ刑事:ソン・ガンホ
パク・ジェヒョク:イ・ビョンホン
キム・スッキ国土交通省大臣:チョン・ドヨン
ヒョンス副操縦士:キム・ナムギル
リュ・ジンソク:イム・シワン
ヒジン(チーフパーサー):キム・ソジン
パク・テス(大統領府危機管理センター):パク・ヘジュン

パク・スミン:キム・ボミン

 

 

スタッフ

監督:ハン・ジェリム(한재림)
脚本:ハン・ジェリム(한재림)
製作:한재림, 김요환, 한재훈
撮影監督:이모개, 박종철
編集:김우현, 이강일, 한재림
音楽:이병우
製作会社:매그넘나인
配給:쇼박스(Showbox)

配給(日本):クロックワークス