映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『ゼロ・グラビティ』("Gravity")感想

ゼロ・グラビティ
原題: Gravity
製作年:2013年
製作国:アメリカ合衆国、イギリス

 

 

作品について

アルフォンソ・キュアロン監督・プロデューサー・共同編集。

デヴィッド・ヘイマン プロデューサー。

アルフォンソ・キュアロン監督が子どものホナス・キュアロンと脚本を共同執筆。

エマニュエル・ルベツキ撮影監督。

SFスリラー映画。ディザスター映画でもある。

 

 

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感想

何度観てもおもしろい。いい映画。

サンドラ・ブロックの一人芝居。

ロバート・ゼメキス監督・製作、トム・ハンクス製作・主演『キャスト・アウェイ』(2000)では、FedExのシステムズアナリストが無人島でサバイバルする。

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キャスト・アウェイ』と異なるのは、ライアンがマットの幻を見たこと。

 

ちなみにアルフォンソ・キュアロン監督は、ロバート・ゼメキス監督・製作、ギレルモ・デル・トロ製作、ロバート・ゼメキス&ケニヤ・バリスandギレルモ・デル・トロ脚本、ロアルド・ダール原作『魔女がいっぱい』(2020)でプロデューサーを務めた。

 

作曲家がハンス・ジマーだから、70分あたり以降の音楽が、ロン・ハワード監督、ブライアン・グレイザー製作、アキヴァ・ゴールズマン脚本、ダン・ブラウン原作・製作総指揮『ダ・ヴィンチ・コード』(2006)の音楽に似ている。

 

ソユーズが登場する。ソユーズの操作パネルは、宇宙を題材にした創作物によく映えるね。最近採用されることが多いタッチパネル式の宇宙船と違って。

2021年11月現在、ソビエト連邦アメリカの冷戦下の宇宙開発競争を下敷きにしたファンタジーアニメ『月とライカと吸血姫(ノスフェラトゥ)』が放送されている。脚本家・牧野圭祐ライトノベルが原作。

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宇宙開発において、人間を使った実験の代わりに、ヴァンパイアを使おうと上層部は考える。作中のヴァンパイアに対する差別は、人種差別や大量虐殺のメタファー。

 

映画の性質上、3D上映や3D視聴(Blu-ray 3D)の方がより楽しめる。ただ3D BDは一般家庭での需要が少なく、3D対応のテレビも生産終了した。

 

主人公が地球に帰還して、海岸に、地面に立つ。無重力の宇宙空間から、ようやく重力を感じる故郷に戻ってきた。無重力の世界では筋肉が衰える。だからふらつきながら立ち上がる。これが"Gravity"という題名にかかっている。

ワーナー・ブラザース日本法人の宣伝部と宣伝プロデューサーは、宇宙映画だとわかりやすくしようと思ったのか、"Gravity"に『ゼロ・グラビティ』という題名をつけた。宇宙空間では無重力だから、という意図だろう。『ゼロ・グラビティ』では、映画の意味が完全に変わってしまう。失敗の邦題だと思う。

 

 

製作

アルフォンソ・キュアロン監督、デヴィッド・ヘイマン製作、クリス・コロンバス製作、スティーヴ・クローヴス脚本『ハリー・ポッターとアズカバンの囚人』(2004)が、"Gravity"が実現した切っ掛け。

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CGIアニメーションを前提にした映画製作は、『アズカバンの囚人』での経験が基になっている。

衣装デザイナーのJany Temimeも『アズカバンの囚人』の人。

 

VFX

"Gravity"はすべてイギリス国内で制作された。ロンドンのVFX制作会社Framestoreが3年以上かけて、作中の視覚効果の大部分を制作した。上映時間91分中80分以上におよぶ。

www.framestore.com

10年かけて『ハリー・ポッター』シリーズを製作したことで、イギリスのVFX業界は世界トップクラスにまで成長した。第1作はアメリカのSony Pictures ImageworksILMが中心になってVFXを制作したが、次第にイギリスのVFX制作会社の比重が大きくなり、第7作の前後編ではDNEG(当時の名称はDouble Negative)がメインのVFX制作会社だった。

ロンドンのソーホーにはVFX制作会社がひしめき合っている。VFX業界はもともと1社で全部制作するより、スタッフや会社の得意分野に応じて複数の会社で作業を分担することを好む。ハリウッドにとっても、イギリスのVFX制作会社に発注すれば、打ち合わせする会社が1区画に集中しているので簡単に回れる利点がある。ワーナー・ブラザースが10年間『ハリー・ポッター』シリーズの撮影に使ったリーブスデン・スタジオを買い取って恒久的な映画製作拠点にしたように、ハリウッドもイギリスでの映画製作をよく選ぶ。イギリスでプリプロダクションから、主要撮影、ポストプロダクションまで一貫して行える環境が整っている。

 

アルフォンソ・キュアロン監督は長回し(long take)が特徴だけど、冒頭13分は実写というよりアニメーション。"Gravity"は、スタジオで360度回転する特殊な椅子に座って演じ、顔だけ残して、身体も宇宙服もヘルメットも周囲の物もすべて3DCGで描いた。照明(lighting)を考えたら、中途半端に実写で撮影するより、すべてCGIの方が簡単だし効率がいい。

 

 

キャスト

ライアン・ストーン:サンドラ・ブロック(深見梨加)
マット・コワルスキー:ジョージ・クルーニー(小山力也)
ミッション・コントロールエド・ハリス(岩崎ひろし)
アニンガ:オルト・イグナチウッセン
シャリフ:ファルダット・シャーマ(河本邦弘)
エクスプローラー船長:エイミー・ウォレン(合田絵利)
ISS船長:バシャール・サヴェージ(宮本崇弘)
ラジオDJ:(祐仙勇)

 

 

スタッフ

監督:アルフォンソ・キュアロン
脚本:アルフォンソ・キュアロン & ホナス・キュアロン
製作:アルフォンソ・キュアロン、デヴィッド・ヘイマン
製作総指揮:Stephen Jones, Christopher DeFaria, Nikki Penny
アソシエイトプロデューサー:Gabriela Rodriguez
撮影監督:エマニュエル・ルベツキ
編集:マーク・サンガー、アルフォンソ・キュアロン
音楽:スティーヴン・プライス
製作会社:ヘイデイ・フィルムズ、Esperanto Filmoj
配給:ワーナー・ブラザース・ピクチャーズ

 

キャスティングディレクター:Richard Hicks, David Rubin, Lucinda Syson

プロダクションデザイン:Andy Nicholson
美術監督:Mark Scruton as supervising art director
セット装飾:Rosie Goodwin, Joanne Woollard
衣装デザイン:Jany Temime

makeup artist (Sandra Bullock): Pamela S. Westmore
hair stylist (Sandra Bullock): Janine Thompson
hair stylist (George Clooney): Waldo Sanchez

production sound mixer: Chris Munro
sound designer / supervising sound editor: Glenn Freemantle

special effects supervisors: Neil Corbould, Manex Efrem
special effects floor supervisors: Ian Corbould, Alan Young

visual effects supervisors: Tim Webber as Overall VFX Supervisor, Tony Clark for Rising Sun Pictures, Richard McBride, Matt Kasmir for Nvizible (uncredited)
additional visual effects supervisors: Jonathan Fawkner for Framestore, Ben Morris for Framestore