『平家物語』第七話「清盛、死す」
作品について
山田尚子監督とシリーズ構成・脚本の吉田玲子さんの新作。
メインスタッフについては別の記事に書いた。
長友孝和さんが絵コンテ。第6話の演出をしていた。
雪村愛さんが演出。第2話の絵コンテ・演出。第4話は山田尚子監督と共同で絵コンテ。
WIT STUDIOの制作協力(制作グロス)回。
配信
FODで先行独占配信中。
https://fod.fujitv.co.jp/title/5h19
FODは10月27日にサイトをリニューアルしたので、作品ページのURLも変更された。
感想
毬杖(ぎっちょう)。ゲートボールやバターゴルフのような感じ。ルールはホッケーに似ている。
治承4年11月23日、天皇・上皇らは都に帰還を始め、11月29日には清盛も福原より引き上げた。
重衡の掛け声に合わせた「えい、えい、おー!」が、『信長の野望』シリーズの効果音みたい。
重衡は第5話の橋合戦で園城寺を焼いてしまったことを後悔している。今回は民家を接収して、周囲に燃え広がらないよう十分に注意して、明かりを取るように指示を出した。が、風が強く、再び寺院に燃え広がってしまった。興福寺に東大寺も燃え落ちた。
戦果を聞いて喜ぶ清盛だが、時子の「祟りがないといいのですが」という言葉に押し黙る。
重衡は犯した罪を贖えないかと、ずっと祈りを捧げている。
重盛から受け継いだ左目を、作中で初めて使った。
大勢の死者の魂が視えた。
資盛も大人になったよね。
母に会いに来たので、暗い顔をしていてはだめだよと維盛に言う。過去を変えることはできないのだ、とも。
「望まぬ運命が不幸とは限りませぬ。望みすぎて不幸になった者たちを多く見てまいりました。得た物の代わりに何を失ったのかもわからず、ずっと欲に振り回され。私(わたくし)は泥の中でも咲く花に成りとうございます」
女人五つの障りあり 無垢の浄土は疎けれど 蓮花し濁りに開くれば 龍女も仏に成りにけり
https://glim-re.repo.nii.ac.jp/?action=repository_uri&item_id=2984&file_id=22&file_no=1 (PDFファイル)
五障という。
演出
椿の花が1輪、池に落ちた。首が落ちる様に見えることから、お見舞いに持っていくことは禁じられている。
サブタイトルにあるように、平清盛の死を暗示している。
兼康に興福寺に伝言しに行けと命じた清盛は、太い柱を挟んで右側(上手)に立っており、兼康は左側(下手)に座っている。わかりやすい上下関係。
椿が4輪、池に落ちた。南都で蜂起した僧兵たちを鎮圧するようにと派遣されたが、清盛が平和的な解決を望んだため武装を禁じられており、僧兵たちに襲撃され多くの死傷者が出た。
清盛の命令で、重衡が率いる平氏軍が南都焼討を行った。治承4年12月28日(1181年1月15日)。
猫を撫でようとした資盛に猫が怒ったのを見てニヤリと笑う顔が、野原しんのすけみたい。
正月に独楽(こま)で遊ぶ敦盛。
高倉上皇が崩御された後のことを話す清盛。時子はそのことを嫌悪している。
「もし無理にでもとおっしゃるのなら、出家いたします」と迫る徳子。
そのことをびわに話す徳子の transition。同ポジション。
「初めて父上に逆らったわ」と。
鳥が羽ばたいている。高倉上皇が崩御した。びわが左目で視ると、高倉上皇の魂が徳子と安徳天皇を抱きしめる。
椿がまた1輪落ちた。
治承5年(1181年)2月27日、清盛は謎の熱病にかかった。後世の創作物において、清盛は悪行を重ねたため成仏できず、悶え苦しんだ末に死んだとされている。
身体から出た熱気がカメラに陽炎として映り、水滴が蒸発する。まるで呪詛をかけられているかのようだ。陰陽師の出番、というわけにもいくまい、この場合は。
時子も悪夢を見た。牛頭馬頭(ごずめず)。仏教で、地獄で亡者を責めさいなむ獄卒。『平家物語』の中で、時子が夢を見たと語られている。
清盛は無限地獄の底に沈む。
時子の寝室には、蓮の花の屏風。芥川龍之介の『蜘蛛の糸』では、お釈迦様は極楽を散歩中に蓮池を通して地獄を覗き見た。
清盛の遺灰が宙を舞い、燃え盛る清盛の屋敷の火の粉になる。match cut。
資盛はびわが平氏と源氏の争いに巻き込まれないように、わざと出て行けと言った。
目の下からの構図でその台詞を重ねたのはそのため。
びわもそのことを理解している。「わかっておる。資盛のことはようようわかっておる」
劇伴はパイプオルガンかな?
雪を乗せた椿が1輪落ちた。
キャスト
びわ:悠木碧
平重盛:櫻井孝宏
平徳子:早見沙織
平維盛:入野自由
平資盛:岡本信彦
平清経:花江夏樹
平敦盛:村瀬歩
平清盛:玄田哲章
平時子:井上喜久子
平宗盛:檜山修之
平知盛:木村昴
平重衡:宮崎遊
後白河法皇:千葉繁
平滋子:坂本真綾
高倉天皇:西山宏太朗
平資盛(幼少期):小林由美子
平経子:本名陽子
以仁王:藤原大智
安徳天皇(赤ん坊):佐藤美由希
平時忠:青山穣
びわの父:杉村憲司
祇王:井上喜久子
建礼門院右京大夫:本泉莉奈
藤原西光:土師孝也
俊寛:土田大
藤原成親:森宮隆
明雲:ボルケーノ太田
源頼朝:杉田智和
土肥実平:木下浩之
文覚:佐々木睦
藤原忠清:楠大典
斎藤実盛:斎藤志郎
瀬尾兼康(妹尾兼康):井川秀栄
第7話スタッフ
脚本:吉田玲子
絵コンテ:長友孝和
演出:雪村愛
総作画監督:小島崇史
作画監督:小島崇史、堀江由美、さとう沙名栄、内村瞳子、迎千葉瑠、大庭幸子、林可爲、佐藤祐子
作画監督補佐:太田琴美、吉岡春野、江﨑好絵、後藤京志郎、真城楓
プロップデザイン:寺尾憲治
原画:
小林勝利 後藤京志郎
塚本あかね 折原貴志
大原和男 宮崎康子
小野陽子 BONO
Nogya 中川実乃里
長谷川凌真 市原晴子
佐藤良隆 李周鉉
大森春輝 朴淨軟
アニメアール
吉田徹
第二原画:
小島崇史 鈴木優介
吉岡春野 太田琴美
内村瞳子 宮川駿
C-Station
鴨田真由子 五味輝秋
足立明日美 井本美穂
近藤律子 桐山染利
堤谷典子 会沢佳奈
林さやか 渡辺優奈
STUDIO MASSKET
動画監督・動画検査:今井翔太郎
動画:
今井翔太郎
WIT STUDIO
真鍋元
タツノコプロ
千葉紗也 原南月
ENGI STUDIO MASSKET
未来動画 R.I.C
影子動画
色彩設計補佐:中村絢郁
色指定検査:管野宏香、佐田絵里花
仕上げ:
Production I.G
野田採芳子 西村知恵利
懸田七海 矢上真子
大野智美 吉澤遥
松原慎司 池田光子
古川天斗
R.I.C
長岡柚衣 鳥山優美
阿彦真凛
バード 影子動画
美術制作:でほぎゃらりー
背景:
大城空 金山詩織
眞崎萌 森あかね
岩熊茜 笠井美枝
中村聡子
倉本章 島田碧
大森崇
美術設定:久保友孝 宮野隆 島田碧 大森崇
美術進行・設定制作:河田瞳
美術制作管理:小林毅
撮影監督補佐:富田喜允
撮影:佐々木景子
線撮:GKセールス
編集助手:榎田美咲
編集スタジオ:エディッツ
オンライン編集:
IMAGICA EMS
永芳信裕
塚根結衣
ラボマネージャー:畑和来
制作進行:
WIT STUDIO
松本拓己
オープニングアニメーション
絵コンテ・演出:山田尚子
作画監督:小島崇史
作画:
小島崇史 山口明子
うなばら海里 木曽勇太
古川良太 ちな
もああん Maring Song
第二原画:
秋竹斉一 江﨑好絵
ZEXCS
佐藤菜穂
動画検査:今井翔太郎
動画:
小島崇史 今井翔太郎
ST.BLUE
色指定検査:今野成美
仕上げ:
MADBOX ST.BLUE
GKセールス
背景:久保友孝 大森崇
撮影:
出水田和人 佐々木景子
染谷和正
オープニング制作:進藤嵩平
エンディングアニメーション
絵コンテ・演出:山田尚子
原画:小島崇史
動画検査:今井翔太郎
動画:
小島崇史 杉薗朗子
ST.BLUE
色指定検査:今野成美
仕上げ:ST.BLUE GKセールス
背景:久保友孝
3D背景・コンポジット:テラエフェクト
撮影:出水田和人
エンディング制作:進藤嵩平
メインスタッフ
原作:古川日出男訳『平家物語』(河出書房新社刊)
監督:山田尚子
シリーズ構成・脚本:吉田玲子
キャラクター原案:高野文子
キャラクターデザイン・総作画監督:小島崇史
動画監督:今井翔太郎
色彩設計:橋本賢
美術監督:久保友孝
美術設定:久保友孝、片山久瑠実
撮影監督:出水田和人
撮影監督補佐:富田喜允
編集:廣瀬清志
音響監督:木村絵理子
音響効果:倉橋裕宗
録音調整:太田泰明
録音助手:小泉まい
音響制作担当:丹下雄二
選曲:reflexion
音楽:牛尾憲輔
音楽プロデューサー:中村伸一
音楽制作協力:安場晴生
音楽制作:ポニーキャニオン
歴史監修:佐多芳彦
琵琶監修:後藤幸浩
製作:遊佐和彦、桑田靖、高揚帆、菊池貞和、チェ・ウニョン、東山敦、小川泰
統括:高瀬透子
プロデューサー:竹内文恵、有田真代、尾崎紀子、中村伸一、チェ・ウニョン
アシスタントプロデューサー:菅原花、板垣茜
アニメーションプロデューサー:崎田康平
制作デスク:番匠彩子
設定制作:進藤嵩平
アニメーション制作:サイエンスSARU
制作:「平家物語」製作委員会(アスミック・エース、フジテレビジョン、bilibili、ポニーキャニオン、サイエンスSARU、電通、BSフジ)