『キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦』の監督: 湊未來監督、大沼心監督
監督
大沼心監督のインタビューによると、大沼監督は本読み(脚本会議)や音響(アフレコ、ダビング)などのプリプロダクションとポストプロダクションを中心に見ていると。すなわち、湊未來監督が制作現場を見ている。そして画作りは湊監督の方針が大きいのだろう。
TVアニメ「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」 大沼心監督・スペシャルトーク
実際、第4話までのうち、湊未來監督は第1話の絵コンテと演出処理、第2話の絵コンテを担当。大沼心監督は今のところ各話の演出や映像作りではクレジットされていない。
第1話の感想でも書いたけれど、放送前の宣伝では「大沼心監督、湊未來監督」の順番だったのは、おそらくマーケティング上の理由だろうね。キャリアが長いから。知名度の高い方を前面に出すことはよくある。実際がどうであれ。
SILVER LINK.は1年間に何作も元請け制作している。複数のラインを並行で動かしている。
大沼心監督も湊未來監督も作品を掛け持ちしている。総監督/監督/助監督の体制だったり2人監督(共同監督)の体制だったり。作品によってディベロップメント/プリプロダクション/プロダクション/ポストプロダクションのどの部分に重点的に参加するかを変えることで、仕事を分担しているのだろうね。
SILVER LINK.
今年7月株式会社SILVER LINK.は子会社の株式会社CONNECTを吸収合併すると発表。8月に朝日放送グループホールディングス株式会社が株式会社SILVER LINK.を買収すると発表。アニメーション制作事業を新設分割し、新会社の株式会社SILVER LINK.を2020年10月1日付で設立。旧会社は株式会社SILVER LINK.資産管理に商号を変更。
創業者の金子逸人さんが社長を交代。新会社の代表取締役社長は浅野智章さん。
朝日放送はグループにアニメーション製作事業の株式会社ABCアニメーションを持つ。今後はシルバーリンクは朝日放送関係のアニメーション制作が中心になるのかな?
2021年10月2日追記
第2期制作決定おめでとう。
【続編制作決定!】
— 「キミと僕の最後の戦場、あるいは世界が始まる聖戦」公式 (@kimisen_project) 2021年10月1日
TVアニメ放送開始から1年。
ついに「キミ戦」続編制作が決定致しました!
理想を叶えるため、さらに運命に翻弄されていく、
イスカやアリスリーゼの戦いをぜひご期待ください!https://t.co/Y52gdbk4rg
# キミ戦 pic.twitter.com/WnKf6eFQRu
原作者の細音啓さんが外国向けインタビューで2人の監督について話している。
【お知らせ】
— 細音啓@『キミ戦』12巻:10月20日です! (@sazanek) 2021年9月22日
アニメツーリズム情報サイトMipon様にて『キミ戦』原作者インタビューが公開されました!
アニメの感想や裏話など、細音が色々とお返事しています。海外向けの全文英語になりますが、よかったらご覧くださいませ!#キミ戦 https://t.co/3rAUQDSB5j
https://mipon.org/our-last-crusade-or-the-rise-of-a-new-world-interview/
Both had their own slightly different responsibilities.
Minato-san was in charge of planning and organizing the overall scenario, while Oonuma-san directed specific scenes and gave precise instructions for details like facial expressions and also acting direction during the voice recording process.
湊未來監督は全体の脚本作りを統括していた。大沼心監督は特定のシーンを演出し、表情芝居など細部に指示を出していた。また音響監督と一緒にアフレコの演出をしていたそうだ。
大沼心監督がインタビュー動画で話していたのとは少し違う役割分担だったようだ。
第1期全12話のうち、湊未來監督は第1話の絵コンテ・演出、第2話の絵コンテ、第6話の絵コンテと共同演出、第10話第11話の絵コンテ、第12話の共同演出でクレジットされていた。絵コンテは5話数、演出は3話数。
大沼心監督はクレジットされていないが、要所要所でシーン単位で絵コンテや演出をしていたということかな。
細音啓さんも本読み(脚本会議)に参加していたそうだ。スタッフは基本的に原作に沿ったアニメ化を心掛けていた。全12話でまとめなければならないため、細部をカットしたり、一部の時系列を入れ替えたりしたが、原作の精神に忠実でいた。第12話は、最終話だからクライマックスらしい展開にしたかったので、細音啓さんが原作にはいないオリジナルのラスボスを登場させることを提案したそうだ。細音啓さんがその部分の原案を書き、スタッフが脚本に落とし込んでくれた。
基本的にはスタッフにお任せしていた。監督2人は原作を読み込み、よく意見を求めてきた。主にキャラクターや設定について質問に答えていた。また、どのようにカットやアレンジすればいいかも意見を述べた。
アフレコにも立ち会った。
『キミ戦』の物語を作るとき、『ロミジュリ』は意識していなかったそうだ。
ライトノベル作家を志す人への助言が至極まっとう。様々な芸術やエンターテインメントに触れなさいと述べている。
それ以外にも、人生経験が創作の糧になる、と昔から言われている。これは声優を含めた役者にも言える。引き出しの多さがお芝居の幅を広げる。アニメ・漫画・ラノベ・ゲームばかりしか触れていない人の創作物は、劣化コピーになりやすい。知識や経験の範囲が限られているから。
SILVER LINK.は大沼心監督も湊未來監督も酷使しすぎではないだろうか。元請け制作の発表では2人の名前を見ることが多い。予定がぎっしり詰まっている。
余談だけど、第1話感想でウィリアム・シェイクスピアの戯曲『ロミオとジュリエット』に関連して、スティーヴン・スピルバーグ監督による名作ミュージカル映画のリメイク『ウエスト・サイド・ストーリー』について書いたが、公開が1年延期されて2021年12月10日になった。
レナード・バーンスタインの名曲の数々を、現在のクラシック音楽界の若手スター指揮者グスターボ・ドゥダメルとニューヨーク・フィルハーモニックが演奏するという豪華な布陣。