『ミスター・ベースボール』
原題: Mr. Baseball
製作年:1992年
製作国:アメリカ合衆国
作品について
フレッド・スケピシ監督・プロデューサー。
日米の文化の違い、野球の違いを描いた、スポーツ・コメディ映画。
MLBのニューヨーク・ヤンキースのベテラン選手が、日本に来て中日ドラゴンズでプレイする。
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感想
1980年代1990年代は、日米貿易摩擦を背景に、日米間の文化的、社会的、政治的トラブルを描いた創作物が多数制作された。
話の展開が早い。季節の移り変わり。
だからやっぱりドキュメンタリー風ではなく、フィクションの印象が強い。
通訳の西村さんが頑張ってジャックの暴言や傲岸不遜な言葉を修正して伝える。現実でも通訳者は機転が必要。
映画の効果音は基本的にポストプロダクション段階で後付けなので、野球場やテレビ中継より派手な音。
ジェリー・ゴールドスミスが、日本のプロ野球でよく聞くメロディー(ホームランの時?)を音楽に取り入れている。
今でも、日本のプロ野球でプレイする外国人選手の中には来日前に観る人がいるとか。
製作
デヴィッド・S・ウォード監督・脚本『メジャーリーグ』(1989)の成功を受けて、日米の文化の違いを題材にした野球コメディ映画の企画が持ち上がった。
最初のプロット(film treatment)は、商業作品での脚本執筆経験がない新人脚本家 Theo Pelletier が書いた。その後 Monte Merrick と Gary Ross が脚本に仕上げた。
フレッド・スケピシ監督が監督することに決まった時点で、トム・セレックが主演に決まっていたが、出演契約に盛り込まれた普通はない条項のせいでトム・セレックに脚本の最終決定権があった。このためもう一人の脚本家 Kevin Wade が参加し書き直し(rewrite)した。
1990年に松下電器が Universal Studios を買収したため、さらに事態がややこしくなった。Universal Pictures は、日本人キャラクターの描写について文化的に敏感になる問題を懸念して、日本に関する映画の脚本と監督の経験がある John Junkerman を雇い書き直し(rewrite)させた。
フレッド・スケピシ監督と4人目の脚本家 Ed Solomon は日本に来て必要な調査をした。アメリカに帰国すると、フレッド・スケピシ監督と Ed Solomon は脚本全部を書き直し(rewrite)した(特に、笑わせるための登場人物同士の文化的衝突に関して)が、このバージョンはトム・セレックを満足させるために Kevin Wade に書き直し(rewrite)された。ところが Kevin Wade の契約期間が製作途中で切れたため、Kevin Wade は約3週間しか作業できず、フレッド・スケピシ監督が残された未完成の脚本をまとめなければならなかった。
最終的に、大勢の人が工程に関わったため、フレッド・スケピシ監督が当初構想していたものよりはるかに従来型の脚本になった。
フレッド・スケピシ監督はのちにインタビューで、満足できる出来ではなかったと語った。
監督兼プロデューサーより発言権がある主演俳優。ハリウッドらしい厄介な存在。
キャスト
ジャック・エリオット:トム・セレック
内山:高倉健
内山ヒロ子:高梨亜矢
マックス・デュボア:デニス・ヘイスバート
西村洋次:塩屋俊
中村:穂積隆信
山下:豊原功補
向井:藤原稔三
五十嵐:マック高野
黒沢:森永健司
大前:西村譲
糸井:後藤祝秀
八木:問田憲輔
西川:藤井直貴
内田:水島新太郎
坪井:神保悟志
上本:苅谷信行
堀コーチ:大木正司
ライアン・ワード:スコット・プランク
ライル・マッシー:レオン・リー
ビリー・スティーブンス:チャールズ・ジョセフ・フィック
アラン・ネヴィン:アニマル・レスリー
リッキー・デイビス:フランク・トーマス
ジェンキンス:トッド・A・プロバンス
佐藤:鈴木林蔵
高橋:楠見彰太郎
ヒロ子の祖父:浜村純
ヒロ子の祖母:万代峰子
ヒロ子のアシスタント:藤田朋子
審判:桜金造、掛田誠
CMディレクター:高野光
スポーツ番組出演者:久野誠、鷲塚美知代
ティム・マッカーバー(本人役)
シーン・マックドノー(本人役)
スキップ:アート・ラフルー
トレイ:グレッグ・グースセン
ドク:ニコラス・カスコン
ハウイー・ゴールド:ラリー・ペネル
デュアン:マイケル・マグレイディ
リック:マイケル・パパジョン
八代:盛田嘉哉
安達:星野秀孝
並木:右田一彦
安西:鳥坂九十九
宗方:増本宏
横内:武藤一邦
二見:庄司智久
木内:久保文雄
佐山:伊藤泰憲
中野:深沢恵雄
猪俣:仲根正広
役名不明:三浦真一郎
その他:安西健二、大隅正人、奥田和男ほか
スタッフ
監督:フレッド・スケピシ
脚本:ゲイリー・ロス and ケヴィン・ウェイド and モンテ・メリック
原案:セオ・ペレティア & ジョン・シュンカーマン
製作:フレッド・スケピシ、ダグ・クレイボーン、ロバート・ニューマイヤー
製作総指揮:ジョン・カオ、ジェフリー・シルヴァー、近藤晋
ラインプロデューサー:Tomoo Ito(伊藤伴雄?)
アシスタントプロデューサー:Hisao Maru(丸久生?), Hidekazu Uehara(上原英和?)
撮影監督:イアン・ベイカー
編集:ピーター・ホーネス
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
製作会社:Outlaw Productions、Pacific Artists、電通、総合ビジョン
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ (米国)、UIP (日本)