『白い砂のアクアトープ』第1話「熱帯魚、逃げた」
作品について
篠原俊哉監督、柿原優子さんがシリーズ構成、P.A.WORKS制作のオリジナルアニメ。秋山有希さんがキャラクターデザインと総作画監督。『色づく世界の明日から』(2018)と同じチーム。
P.A.WORKS作品で初めて「ガール・ミーツ・ガール」を謳ったアニメ。
安藤真裕監督、岡田麿里さんシリーズ構成『花咲くいろは』(2011)、水島努監督、横手美智子さんシリーズ構成『SHIROBAKO』(2014)、増井壮一監督、横谷昌宏さんシリーズ構成『サクラクエスト』(2017)に続く「お仕事シリーズ」第4作とみられる。およそ3年周期で制作している*1。原作ものは企画から放送まで2年、オリジナルアニメは企画開発から放送まで最低3年はかかると言われている。
2クール全24話。
感想
百合。経営難で閉館寸前の水族館を立て直したい少女と、夢を諦めた元アイドルの少女が出逢った。
おもしろい。
幼い風花がスマホでアイドルのパフォーマンスを観ているときにおなかに抱えているぬいぐるみは、『色づく世界の明日から』のタイムマシンバスの運転手かな。
芸能事務所が入居しているビルのフロア案内板で、(株)辻ミュージックプロモーションと橋本会計事務所は、P.A.WORKSプロデューサーの辻充仁さんと橋本真英さんの名前から付けたのかな。
田舎の(親戚の)集まりで、若い女性が男性陣にお酌する。男性は宴会に夢中で、女性が料理を作り、運び、お世話する。あーやだやだ。
風花は『ちゅらさん』の和也くんかな? 盛岡の実家に帰らず、広告を見て沖縄に旅立つ。
占いはコールドリーディングとバーナム効果。Sir アーサー・コナン・ドイルのシャーロック・ホームズは、依頼人の身なりや立ち居振る舞いからdeduction(演繹)を行う。海堂尊さんは『チーム・バチスタの栄光』の中で、「アクティブフェーズ」「パッシブフェーズ」という言葉を使っていた。
「日の沈む頃に現れる射手座を目指しなさい。いい出会いが待ってるはず」
くくるの席を取っていた櫂とうどんちゃん(月美)。
くくるは祖父母と暮らしている。くくるの母子手帳と無記名の母子手帳。お母さんと双子の兄弟姉妹が出産時に亡くなった? 『ちゅらさん』ではキジムナーは亡くなった子どもの生まれ変わりのように描かれていた。
風花のネイルが綺麗。手の指と足の指と。マニキュアとペディキュア。
夏凛が偶然車で通りかかったことで、風花は行き倒れずに済んだ。占い師の「射手座の出会い」は、風花→夏凛→くくる。お供え物の魚を貰い、麦わら帽子を無断で貰ったキジムナーが、くくると風花を出会わせた。
斎場御嶽(せーふぁーうたき / サイハノうたき)、久高島、あざまサンサンビーチ、がまがま水族館。
風花は頑張った甲斐あって新曲のセンターに選ばれたが、後輩のルカがマネージャーに直訴しているのを聞いてしまい、身を引いた。マネージャーや従業員曰く、美人だけど目立たない子、人気が落ちてきていた。
アイドルグループ「Yona Pro」(47)に宮森蒼(『SHIROBAKO』の宮森あおい)が。篠原俊哉さんは『SHIROBAKO』で絵コンテを切っていた。
キジムナーのいたずら。ときどき不思議なことが起きる。
ガマ。沖縄にある自然にできた洞窟。この世とあの世を結ぶ場所。くくるが言及していたけれど、戦争にまつわる悲しい出来事があった。大勢の人が苦しみ、亡くなった。
民俗学者の柳田國男さんや折口信夫さんもガマについて記していた。この世とあの世の境界。
ガマとは関係ないけれど、京極夏彦さんによる『遠野物語』の翻訳(リミックス)がおすすめ。
風花は人手不足のがまがま水族館で働くことに。
ペンギンが水中に飛び込み泳ぐ。風花の決意を象徴する演出。
風花は2003年5月17日生まれ。
くくるは平成15年7月7日生まれ。2003年。母子手帳は平成14年10月8日交付。
風花が沖縄に来たのは2021年7月19日。
がまがま水族館のカレンダーの2021年8月31日に赤マジックで丸。
沖縄が舞台のドラマ作品と言えば、2001年のNHK『連続テレビ小説』(朝ドラ)『ちゅらさん』。岡田惠和脚本、榎戸崇泰チーフ演出、遠藤理史、大友啓史、渡辺一貴、藤井靖、高橋練、堀切園健太郎演出。人気作で、第4シリーズまで制作された。『ハゲタカ』『龍馬伝』『るろうに剣心』シリーズで知られる大友啓史監督が参加していた。
現在放送中の土田豊監督、横谷昌宏さんシリーズ構成『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(2021)も、主人公夏海まなつのお母さんが水族館で働いている。
萩埜まことさんの百合漫画『熱帯魚は雪に焦がれる』がある。
伊藤美来さんは、佐藤卓哉監督・脚本『フラグタイム』(2019)の森谷美鈴、桑原智監督、大知慶一郎さんシリーズ構成、手塚プロダクション制作『安達としまむら』(2020)の島村抱月、篠原俊哉監督『白い砂のアクアトープ』(2021)の海咲野くくる、と立て続けに百合アニメでW主演している。
「まくとぅそーけー、なんくるないさー」。「正しいことをすれば、何とかなるさ」という意味。
「いちゃりばちょーでー」。「一度会えば、皆兄弟」という意味。
劇伴がいい。三線/三味線の音色にピアノに馴染んでいる。
表情芝居がいいね。
日常芝居もいい。
中野尚美さんによる色彩設計と色指定。海中にいる風花の幻想的なシーンは、『色づく世界の明日から』をほうふつとさせる。
背景美術が美しい。鈴木くるみ美術監督とスタジオ・イースター。
撮影が綺麗。水の波紋とか、水中の光のきらめきとか。並木智撮影監督とT2 studio。
篠原俊哉監督、岡田麿里さんシリーズ構成『凪のあすから』(2014)も撮影が綺麗だった。水面の反射とか、「エナ」とか。『凪あす』の撮影監督を務めていた梶原幸代さんも『白い砂のアクアトープ』の撮影に参加している。
水の表現は難しい。手描き作画でも、2DCGでも3DCGでも。実写映画のVFXでは、2000年代(ゼロ年代)『パイレーツ・オブ・カリビアン』シリーズのインタビューでILMのスタッフが同様のことを言っていた。水の表現が美しいと思ったのは、ロン・クレメンツ&ジョン・マスカー監督コンビ、ウォルト・ディズニー・フィーチャー・アニメーション制作・製作『リトル・マーメイド』(1989)、同じくロン・クレメンツ&ジョン・マスカー監督コンビ、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ制作・製作『モアナと伝説の海』(2016)、ジェームズ・ワン監督『アクアマン』(2018)など。
リュック・ベッソン監督『グラン・ブルー』(1988)は実際に水中撮影した映画だし。
佐藤順一総監督、カサヰケンイチ監督(第1期)、佐山聖子監督(第2期)、J.C.STAFF制作『あまんちゅ!』。
やっぱり篠原俊哉監督の情緒ある演出はいいねえ。
篠原俊哉監督のアニメが大好き。
余談
BD特典のブックレットに絵コンテ集や設定資料集やインタビュー集が掲載される。オープニングやエンディングのビデオコンテも収録。スタッフオーディオコメンタリー。メーカーにメールを出した甲斐があった。
『色づく世界の明日から』のBlu-ray Boxが発売されるらしい。
Blu-ray Disc
CD
キャスト
海咲野くくる:伊藤美来
宮沢風花:逢田梨香子
照屋月美:和氣あず未
久高夏凛:Lynn
仲村 櫂:土屋神葉
屋嘉間志空也:阿座上洋平
おじい:家中宏
おばあ:定岡小百合
宮沢絵里:園崎未恵
占い師メイサ:儀武ゆう子
城居ルカ:菊池紗矢香
マネージャー:前田玲奈
第1話スタッフ
原画:
P.A.WORKS
飯沼篤哉 小林瑞希 宮尾拓明
三宮哲太 田中未来
木下五郎 鈴木優太朗 五藤有樹 柴田裕介
西村真理子 坂田理 Drum 杉田柊
けろりら いんぴょうりん TOMATO 三浦菜奈
DRMOVIE
Lee Min-gu
第二原画:
P.A.WORKS
井上裕亮 米本えり 渡辺志歩紀
夏住愛子 菊地智子
DRMOVIE
Shin Jae-hee Kim Kwan-woo Lee Su-yeon Hang Da-young
朱夏 TROYCA 中村プロダクション
ガイナックス京都 Studio Massket Seven Seas
動画検査:髙田友美(P.A.WORKS)、藤嶋未央(P.A.WORKS)
動画:
P.A.WORKS
茶山咲良
髙田友美 白敷桃子 藤嶋未央
DRMOVIE
Min Hong-yi Park Hyeon-ju Yoon Eun-joo Lee So-yeong
Gong Jin Lee Seon-mi Kim Boo-kyung Son Yeong-ju
Anh Mi-gyeong Kim Kwan-woo Kim Seok-jeong Jung Ju-ri
Cho Chae-won Choi Mi-na Lee Mi-ok Heo Young-jin
Ko Jin-ju Jang Sun-hye Choi Eun-ju Jang Hee-doek
Lee You-jin Yi Min-kyoung Kim Young-won Lee Eun-bin
Lee Da-young
Jeon Hae-jin Jang Chul-ho
動仕管理:Kim Seok-jeong
翻訳:Moon Seong-ha
色指定:中野尚美(ステラ・ロード)
仕上げ検査:永井唯香(ステラ・ロード)
仕上げ:
越田侑子 門松諭生 遠藤花歩 江口亜紗美
菊地慶翔 奥智恵 新井理恵 大場昭子
DRMOVIE
Yoo Young-hye Park Se-na Jung Su-hyun Kim A-jin
Kim Min-lee Park One-jung Hwang Seong-kyeong Kim Min-ju
Kim Ok-hee Jung su-young Choi So-ri Lee Eun-jeong
Jo Ye-jin Kwon Min-kyoung Kim Min-one
Lee Jin-hee Lim Jeong-a
A-1 Pictures D-COLORS SILVER LINK. J-CUBE
背景:
スタジオ・イースター
坂下祐太 曽根原理恵 石川真理 朝倉大智
片岡乃梨子 妹尾想 秋山慎太郎 小浦未来
牧岡聡 田中伸哉 岩田百代 関口蓮
平田卓也 水野雄介 鈴木くるみ
撮影:
T2studio
並木智 梶原幸代 朝日康平
3DCG:
P.A.WORKS
市川元成 林誠一郎 田口優香 川上真菜美
郭超儀 森重柚香 鈴木晴輝
3Dモデリング:
P.A.WORKS
井上佑紀 大野陽生 森重柚香 郭超儀
川上真菜美 田口優香 伊東大毅 林誠一郎
鈴木晴輝 市川元成
T2studio
武川佳史 日塔友恵 秋元央
バイブリーアニメーションCG
箕輪綾二 菊地学 河野真一朗
李植 原品貴好
株式会社 Marco
小川耕平 Pan Xiaofeng
IKIF+.inc
佐藤良樹 渡部里奈
Special Effects:村上正博、村上寿美江
担当制作:中村大和
エンディングアニメーション
EDディレクター:依田伸隆(10GAUGE)
VFX:小林敦史(10GAUGE)、牧野圭亮(10GAUGE)
3DCG:鈴木晴輝(P.A.WORKS)、森重柚香(P.A.WORKS)、伊東大毅(P.A.WORKS)
メインスタッフ
原作:projectティンガーラ
監督:篠原俊哉
シリーズ構成:柿原優子
キャラクター原案:U35
キャラクターデザイン・総作画監督:秋山有希
生きもの設定・サブキャラクターデザイン:牧野博美
プロップ設定:宮岡真弓
色彩設計:中野尚美
美術監督:鈴木くるみ
美術監修:東潤一
美術設定:塩澤良憲
撮影監督:並木智
撮影監督補佐:朝日康平
2D works:村上瞭
3D監督:鈴木晴輝
特殊効果:村上正博、村上寿美江
編集:髙橋歩
音響監督・整音:山田陽
音響効果:山谷尚人
録音:松下春香
音楽:出羽良彰
音楽プロデューサー:臼倉竜太郎
音楽A&R:吉池真由美
音楽制作:ランティス
方言監修:儀武ゆう子
水族館監修:魚津水族館
水族館取材協力:足立区生物館、サンシャイン水族館、しながわ水族館、DMM かりゆし水族館、横浜・八景島シーパラダイス
協力:一般社団法人 南城市観光協会
企画:鶴田直一、安藤卓、櫻井優香、辻󠄀充仁、横沢隆、金子広孝、前田吉輝、小川泰
製作:町隆幸、白石俊博、吉江輝成、堀川憲司、篠崎文彦、伊藤幸弘
プロデューサー:藤野麻耶、山口慶、臼倉竜太郎、仲村直人、尾形光広、齋藤宙央、岩佐貴博、大森慎司
プロデュース:infinite、永谷敬之、茂山愛保、浜辺恵那
アシスタントプロデューサー:池亀彩加、池田智和、片山怜子
ラインプロデューサー:橋本真英
制作デスク:小西翼
設定制作:舘彩華
アニメーション制作:P.A.WORKS
製作:DMM pictures、フォアキャスト・コミュニケーションズ、バンダイナムコアーツ、ピーエーワークス、角川メディアハウス、TOKYO MX、AQUA ARIS、BSフジ