『白い砂のアクアトープ』第8話「crab crisis」
作品について
市村徹夫さんが絵コンテを切った。市村徹夫監督もローテーションで参加するのかな?
藤井康雄さんが演出。
感想
南城総合クリニック小児科病棟へ移動水族館。アメリカでは移動動物園の話を聞く。
アニマルセラピー(animal-assisted therapy)という治療法がある。動物と触れ合うと、病気と戦う力が強くなったりする。
トム・シャドヤック監督『パッチ・アダムス』(1998)を思い出す。実在の医師パッチ・アダムスをロビン・ウィリアムズさんが演じた伝記映画。
カニの持ち込み禁止は看護師長の金城さんが苦手だから。患者さんのアレルギーの問題ではないので、間違って持ち込んでしまっても大事には至らずに済むだろう。看護師長の金城さんが許してくれれば。
看護師長・金城さんの霊感ならぬカニ感。
デヴィッド・イェーツ監督、J・K・ローリング脚本・製作、デヴィッド・ヘイマン製作、スティーヴ・クローヴス製作、ライオネル・ウィグラム製作『ファンタスティック・ビーストと魔法使いの旅』(2016)のニフラーかな? 滑車つき台の下に潜り込んだカニの演出がそっくり。
上原愛梨はガラ・ルファ(ドクターフィッシュ)が来週には展示できると言われて楽しみにしていた。早く会いたいと言っていたのは入院することが決まっていたから。入院したため、結局その「来週」には愛梨は姿を見せなかった。そしてウミやんもぎっくり腰で長らく休みを取っていた。
大好きながまがま水族館に行けないことを拗ねている。だからウミやんに対してそっけない態度をとっていたし、「別に見たくない。魚なんて全然好きじゃないし、見たくない!」と言ってしまった。
「もう違うから。あの時とは違うから」というのは、入院していることを指している。入院しているときの姿をウミやんに見られたくなかったというのもあるかもしれない。
外傷らしきものは見当たらないけれど、病院では車いすに乗っている。何らかの病気に罹患していることがわかったのかもしれない。
小児科病棟に入院していれば重い病気や怪我で亡くなる子を見聞きする。仲良くなった子がいつの間にかいなくなっていた、ということも起こる。たとえ自分は治る病気や怪我であっても、生死について敏感になってしまうだろう。
夏凛さんは水族館の飼育員を夢見ていたが、商売をしている両親の説得もあって、安定した公務員の職に就いた。自分を納得させるための材料を探していた。
建設中の水族館「アクアリウム・ティンガーラ」から研修に来た南風原知夢(はえばるちゆ)。
おじいが空也に紹介したという新しい職場がここ。第7話でくくるが立ち聞きしていた。
ティンガーラは沖縄の言葉で天の川のこと。
原作や著作権表記がprojectティンガーラ名義になっている。
演出
第3話では水槽の縁を持って上から持ち上げようとしていた風花だったが、第8話では海の生き物が入ったバケツを腰を落として持ち上げ運んでいた。成長している。
病院の備品が入った重い段ボール箱も。
どちらも市村徹夫さんによる絵コンテ回。
夏凛さんや看護師長さんたちが閉館の話をしているのを聞いて逃げ出してしまったくくるを、屋上のフェンス越しに見せる。柵は心理的なしがらみのメタファー。
また、フェンス越しに海を見る。
子どもたちはパジャマだったり検査着だったり。
洗面台に水が飛び散っている。子どもたちが移動水族館を楽しんで、病室に戻っていったことが伺える。
闘病中の愛梨にとっての世界は、愛梨の後ろ向き(背中側)の構図や陰影で表されている。
ウミやんが屋上で愛梨の入院について話しているときは屋上の樹木は雲の下で日陰に入っているが、愛梨が「またいつかがまがまに行けるように頑張る」と前向きになった後は樹木が夕日に照らされている。
エレベーターで夏凛さんが水族館の飼育員になりたかったことや公務員を選んだ理由について話しているとき、夏凛さんの目を見せず、口元とくくるの表情で見せる演出がいい。
「諦めない、か」とつぶやき、髪をかきあげ、陰の中から夕陽へと駆けだす。
crab
サブタイトルが cr- の音で韻を踏んでいる。
crab はカニ。
黄道十二星座のかに座は Cancer で、古代ギリシア語やラテン語から来ている。ガンと同じ単語。
古代ギリシアの医師ヒポクラテスは、肥大した静脈がカニの足に似ているので、悪性腫瘍に καρκίνος (karkínos) と名付けた。古代ローマの医学者アウルス・コルネリウス・ケルススがのちに、ラテン語でカニを意味する cancer と翻訳した。
だから、上原愛梨が闘っている病は小児がんかもしれない。あるいは血液のがんと表現される白血病。
看護師長の金城さんからカニを取ったのは、病気と闘う決意をしたことのメタファーになるかな?
Blu-ray Disc
CD
キャスト
海咲野くくる:伊藤美来
宮沢風花:逢田梨香子
照屋月美:和氣あず未
久高夏凛:Lynn
仲村 櫂:土屋神葉
屋嘉間志空也:阿座上洋平
具殿轟介:櫛田泰道
おじい:家中宏
おばあ:定岡小百合
宮沢絵里:園崎未恵
照屋さつき:儀武ゆう子
城居ルカ:菊池紗矢香
マネージャー:前田玲奈
竹下先生:花澤香菜
キジムナー:儀武ゆう子
くくる母:前迫有里紗
くくる父:村井雄治
先生:丹波正人
神里:田中秀幸
仲村真帆:広瀬さや
知念 類:北守さいか
金城看護師長:名塚佳織
上原愛梨:塙真奈美
南風原知夢:石川由依
第8話スタッフ
脚本:千葉美鈴
画コンテ:市村徹夫
演出:藤井康雄
総作画監督:秋山有希
作画監督:宮崎司、谷口繁則、Shin Min Seop、Lee Sang Jin
原画:
P.A.WORKS
三好有香 川邉あや 塩川友哉
天野和子 西澤皓人 渡辺志歩紀
あきのいっせい 堤将太 谷口繁則
第二原画:
P.A.WORKS
三宮哲太 小林瑞季
合田麻美 菊地智子
J-CUBE
Kim Sook Hee Kim Won Hee
動画検査:
P.A.WORKS
室賀由起子
動画:
P.A.WORKS
菊池桃佳 茶山咲良 北原沙恵美 福島賢治
二藤部桃汰 菅野楓 安部紗矢香
DRMOVIE
Min Hong-yi Park Hyeon-ju Yoon Eun-joo Lee So-yeong
Gong Jin Lee Seon-mi Kim Boo-kyung Son Yeong-ju
Anh Mi-gyeong Kim Kwan-woo Jung Ju-ri Cho Chae-won
Choi Mi-na Lee Mi-ok Heo Young-jin Ko Jin-ju
Jang Sun-hye Choi Eun-ju Jang Hee-doek Lee You-jin
Yi Min-kyoung Kim Young-won Lee Eun-bin Lee Da-young
Jeon Hae-jin Jang Chul-ho
IRO animation
つむぎ秋田アニメLab
都築英哲 アイシャ ハナ サレハ 佐藤結希 藤田紗矢香
山内真月 島田凌汰 溝渕美穂 髙橋諒悟
平塚萌 戸井田慶斗 重光亮摩
動仕管理:Kim Seok-jeong
翻訳:Moon Seong-ho
色指定:
ステラ・ロード
永井唯香
仕上げ検査:
ステラ・ロード
菊地慶翔
仕上げ検査補佐:
ステラ・ロード
越田侑子
門松諭生
江口亜紗美
仕上げ:
ステラ・ロード
越田侑子 門松諭生 遠藤花歩 江口亜紗美
奥智恵 新井理恵
スタジオ・ロード
曽根久美子 水野多恵子 五十嵐遥 大場昭子
高木美幸
DRMOVIE
Yoo Young-hye Park Se-na Jung Su-hyun Kim A-jin
Kim Min-lee Park One-jung Hwang Seong-kyeong Lim Jung-a
Kim Min-ju Kim Ok-hee Jung su-young Choi So-ri
Lee Eun-jeong Jo Ye-jin Kwon Min-kyoung Kim Min-one
Kim Kyoung-hwa Lee Jin-hee
D-COLORS
橋本千春 鴨井さつき 山崎あかね 圓次美和
角下瑞絵 那須彩香 小暮将大
IRO animation
背景:
スタジオ・イースター
曽根原理恵 干場佳織 石川真理
秋山慎太郎 朝倉大智 水野雄介
志村美幸 田中伸哉 片岡乃梨子
牧岡聡 岩田百代 楊梦龍
小浦未来 今井公平 工藤洋幸
季豊裕 佐久間仁 鈴木くるみ
撮影:
T2studio
並木智 朝日康平
福島敏行 高橋智弘
兼久卓
2D works:村上瞭
3DCG:
P.A.WORKS
林誠一郎 伊東大毅 田口優香
鈴木晴輝 森重柚香 郭超儀
市川元成
3Dモデリング:
P.A.WORKS
井上佑紀 大野陽生 森重柚香
郭超儀 川上真菜美 田口優香
伊東大毅 林誠一郎 鈴木晴輝
市川元成
T2studio
武川佳史 日塔友恵 秋元央
バイブリーアニメーションCG
箕輪綾二 菊地学 河野真一朗
李植 原品貴好
株式会社 Marco
小川耕平 Pan Xiaofeng
IKIF+.inc
佐藤良樹 渡部里奈
Special Effects:村上寿美江
担当制作:竹内陽一
メインスタッフ
原作:projectティンガーラ
監督:篠原俊哉
シリーズ構成:柿原優子
キャラクター原案:U35
キャラクターデザイン・総作画監督:秋山有希
生きもの設定・サブキャラクターデザイン:牧野博美
プロップ設定:宮岡真弓
色彩設計:中野尚美
美術監督:鈴木くるみ
美術監修:東潤一
美術設定:塩澤良憲
撮影監督:並木智
撮影監督補佐:朝日康平
3D監督:鈴木晴輝
特殊効果:村上正博、村上寿美江
編集:髙橋歩
音響監督・整音:山田陽
音響効果:山谷尚人
録音:松下春香
音楽:出羽良彰
音楽プロデューサー:臼倉竜太郎
音楽A&R:吉池真由美
音楽制作:ランティス
方言監修:儀武ゆう子
水族館監修:魚津水族館
水族館取材協力:足立区生物館、サンシャイン水族館、しながわ水族館、DMM かりゆし水族館、横浜・八景島シーパラダイス
協力:一般社団法人 南城市観光協会
企画:鶴田直一、安藤卓、櫻井優香、辻󠄀充仁、横沢隆、金子広孝、前田吉輝、小川泰
製作:町隆幸、白石俊博、吉江輝成、堀川憲司、篠崎文彦、伊藤幸弘
プロデューサー:藤野麻耶、山口慶、臼倉竜太郎、仲村直人、尾形光広、齋藤宙央、岩佐貴博、大森慎司
プロデュース:infinite、永谷敬之、茂山愛保、浜辺恵那
アシスタントプロデューサー:池亀彩加、池田智和、片山怜子
ラインプロデューサー:橋本真英
制作デスク:小西翼
設定制作:舘彩華
アニメーション制作:P.A.WORKS
製作:「白い砂のアクアトープ」製作者委員会(DMM pictures、フォアキャスト・コミュニケーションズ、バンダイナムコアーツ、ビーグリー、ピーエーワークス、角川メディアハウス、TOKYO MX、AQUA ARIS、BSフジ)