映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

HBO MaxやDisney+などサブスク配信がコストカットでコンテンツを削除する理由

 

residuals

togetter.com

residualsは日本で言う印税のこと。テレビ放送、レンタル、配信、外国での販売など収益に応じて、監督、脚本家、テレビシリーズのショーランナー、主要俳優に支払われる。residualsの条件は、作品参加前の交渉で契約に盛り込む。

A-listの俳優が低予算の作品に出演する際に、出演料を低く抑える代わりに、好条件のresidualsで契約することがある。

映画スタジオが支出を減らすため、個々の作品を書類上赤字に見せかけ、residuals(印税)を払えないと誤魔化すこともある。

en.wikipedia.org

 

全米脚本家組合ストライキ

現在起きている全米脚本家組合(WGA)ストライキは、residuals(印税)支払い要求など、配信会社に対する待遇向上が主な目的。

en.wikipedia.org

2007年11月から2008年2月のストライキは、映画スタジオ、映画製作会社、テレビ番組製作会社、テレビネットワーク、ストリーミングサービス会社など350社が加盟している業界団体Alliance of Motion Picture and Television Producersとの交渉だった。サブスクリプションサービスは前回の合意では含まれていなかったので、今回争点になっている。

その影響もあって、Warner Bros. DiscoveryはHBO Maxから、The Walt Disney CompanyはDisney+から、稼げないコンテンツを削除してコストカットしている。

 

Warner Bros. Discovery

Warner Bros. Discoveryや旧WarnerMediaが、動画配信事業HBO Maxを優先して劇場公開を蔑ろにしていること、CEOであるDavid Zaslavの鶴の一声で完成していた"Batgirl"やほぼ完成していた"Scoob! Holiday Haunt"などの作品をお蔵入りにしたこと、それらの重大な決定を監督やプロデューサーや製作会社に事前に相談しなかったことなど、不義理を重ねたことから離れていった人たちもいる。

クリストファー・ノーラン監督は、Warner Bros. Picturesが2021年の映画を劇場公開と同時に配信する決定をしたことにひどく怒っていた。『オッペンハイマー』は複数の映画スタジオと交渉した結果、Universal Picturesが製作・配給の権利を獲得した。

Legendary EntertainmentはWarner Bros. Picturesとの契約を更新せず、2022年11月にSony Picturesと共同製作・配給契約を結んだ。"MonsterVerse"はWarner Bros. Picturesと続ける。

deadline.com

 

The Walt Disney Company

The Walt Disney CompanyのCEOであるBob Igerは、株主および株主の代理人である取締役会が、コロナ禍で苦戦していたBob Chapekを解任して呼び戻した人。だから現在経営を建て直し中で、7000人のレイオフなども行っている。

edition.cnn.com

 

日本アニメ

日本のアニメは、製作委員会への出資企業が制作費や宣伝費などを投資し著作権を共同保有している。NetflixAmazon Prime Video、Disney+などの独占配信も、配信会社が独占配信権を高額で買っているだけ。契約によっては1年程度の期間限定独占配信なので、期限が過ぎれば他の配信サービスでも配信開始される。だからほとんどの作品で、製作委員会がBD/DVDを発売する。製作委員会出資企業が著作権ビジネスできる。

『スーパー・クルックス』のように「企画・製作 Netflix」、著作権表記も「©Netflix Worldwide Entertainment, LLC」となっているアニメもある。これはNetflixが制作費を全額出して著作権を買い取ったのだろう。

seesaawiki.jp