『大正オトメ御伽話』第1話「夕月 来タル」
作品について
桐丘さなさんの漫画『大正処女御伽話』(タイシャウヲトメおとぎばなし)が原作。
テレビなどでは「処女」という言葉は自主規制の対象なので改題したのかな? いわゆる「放送禁止用語」。(処女作や処女航海といった言葉はマスメディアで見かけることがあるけれど。)
オープニングアニメーションの原作クレジットではもともとの題名が表示される。
『処女はお姉さまに恋してる』シリーズは全年齢向けゲーム移植版やアニメでは『乙女はお姉さまに恋してる』になっていた。
羽鳥潤監督。『カミワザ・ワンダ』の助監督。近年は『ベイブレードバースト』シリーズの絵コンテ・演出。監督デビュー。
福田裕子さんがシリーズ構成・脚本。『きらりん☆レボリューション』3年目のシリーズ構成。
渡辺まゆみさんがキャラクターデザイン・総作画監督。『カミワザ・ワンダ』のキャラクターデザイン・総作画監督。
SynergySP制作。『ハヤテのごとく!』第1作など。専ら小学館集英社プロダクション製作の子ども向けアニメを制作している。現在はシンエイ動画の子会社、つまりテレビ朝日の孫会社。
感想
賛美歌・聖歌「いつくしみ深き」。学校の礼拝の時間に歌っていた。
文部省唱歌の「星の界(よ)」(杉谷代水作詞)、また「星の世界」(川路柳虹作詞)にメロディーが使われたらしい。
冒頭の雪降る夜、そしてBパートで夕月が歌っているのは「星の界(よ)」。
珠彦のお母さんが赤ちゃんだった妹に歌っていたと。
大正10年(1921年)。
主人公は事故で母親を亡くし、右腕に重傷を負い、父親に見放された。兄弟姉妹からも疎まれていたようだ。それで厭世家(ペシミスト)になったと。
この時代だと、障害者は存在自体が忌み嫌われていた(座敷牢に閉じ込められていた)。かといって絶縁して「家」から放り出すのは名家として世間体が悪い。だから志磨家は珠彦を山奥の別荘に追いやって、自分たちからも世間からも見えないようにした。
テレビ東京だから、少女の入浴はだめだったのかな。
三つ編みを解くとケモノ娘みたいになる。
大正時代の女学校と女学生。
大和和紀さんの『はいからさんが通る』と同じ時代か。古橋一浩監督(前編)、城所聖明監督(後編)、古橋一浩さん脚本、日本アニメーション制作のアニメ映画と、小柳奈穂子さん脚本・演出、手島恭子さん&藤間仁さん(Elements Garden)作曲・編曲の宝塚歌劇花組公演を観た。
『はいからさんが通る』ではクライマックスに関東大震災が描かれた。
宮崎駿監督・脚本・原作、スタジオジブリ制作『風立ちぬ』(2013)は関東大震災が序盤に描かれた。
1923年(大正12年)9月1日。
2022年4月から、婚姻可能年齢が男女とも18歳に統一される。男性は18歳からなのに対し、女性は16歳からというのは、昔の価値観や社会情勢や学校教育制度に基づいていたからね。
2018年6月13日、改正民法が成立した。2022年4月1日施行。
冬の深夜に、山奥の家で、囲炉裏を囲む。
小林正樹監督、水木洋子さん脚本、小泉八雲原作『怪談』(1965)の雪女の話を連想した。
湯呑でホットミルクを飲む。
唇に指を当て、唇についた牛乳を舌で舐め取るお芝居が色っぽい。
夕月が珠彦のお父さんに1万円で買われたと話したとき、一瞬福澤諭吉が頭に浮かんだ。すぐに大正時代のお金の価値だと思いなおしたけど。
大正時代の「1円」は現代の4,000円に相当する。つまり現在の価値だと4000万円分の人身売買。
大正末期の大卒サラリーマンの初任給(月給)は、50~60円というデータがあります。また、職業婦人の平均月給はタイピストが40円、電話交換手が35円、事務員が30円だったそうです。
おもしろい。
演出
回想シーンで、映画フィルムの汚れや傷、がたつき、フィルムグレインなどを再現する演出がある。フィルムスキャナーでスキャンしてデジタルリマスタリングを施した映画は、昔の映像とは思えないほど鮮やかによみがえる。演出の型として使われ続けていくのだろう。
2.39:1(かつては2.35:1)。
「はじめまして珠彦様。私(わたくし)、名を夕月と申します。珠彦様のお嫁さんになるためにまかり越しました」の言葉とともに、16:9に変化する。クリストファー・ノーラン監督の映画のIMAXカメラ撮影シーンはこうなる。
余談
萩原しょう子さんが作画監督。『12歳。』のキャラクターデザイン・総作画監督、『プリプリちぃちゃん!!』のキャラクターデザイン。
槙田一章(まきだかずあき)さんが作画監督。『マーメイドメロディー ぴちぴちピッチ』のキャラクターデザイン・総作画監督。
エンディングテーマ「真心に奏」の編曲はクラムボンのミトさん。
家族がクラムボンのファンだから一緒に聴いている。結構アニメ音楽の仕事をしているね。
Blu-ray Disc
キャスト
志磨珠彦:小林裕介
立花夕月:会沢紗弥
志磨珠子:宮本侑芽
渥美 綾:安済知佳
白鳥ことり:伊藤彩沙
白鳥 策:土岐隼一
美鳥:鈴代紗弓
志磨珠義:咲野俊介
志磨珠樹:今井文也
志磨珠央:山谷祥生
志磨透子:森千晃
ノラネコ:三村ゆうな
幸子:日野まり
真知子:十二稜子
照子:山田美鈴
第1話スタッフ
脚本:福田裕子
絵コンテ:羽鳥潤
演出:鈴木孝聡
原画:
久保川美明 船塚純子 萩原しょう子 森亜紀子 福住賢治
反町司 塚本哲也 諏訪昌夫 橋本健司 池田竜也
ランシャン 七荻弐夜 高橋こう平
第二原画:
今野幸一 蔭山武彦 雪苺 来栖川初音
STUDIO CL
メインスタッフ
原作:桐丘さな
監督:羽鳥潤
シリーズ構成・脚本:福田裕子
キャラクターデザイン:渡辺まゆみ
プロップデザイン:甲藤円
着物デザイン:有本妃査恵
色彩設計:瀬戸治子
美術監督・美術設定:松本浩樹
撮影監督:坪内弘樹
編集:村井秀明
音響監督:郷文裕貴
音響効果:山田香織
録音調整:亀田亮治
録音助手:野尻紗貴
音響制作担当:安野文左衣
音楽:高梨康治(Team-MAX)
音楽プロデューサー:三輪靖史、渡部祐樹
音楽制作:ポニーキャニオン
音楽協力:豊田充弘(Team-MAX)、テレビ東京ミュージック
協力:三條場一正、川村千皓、清水とき・きものアカデミア
企画:大熊一成、丸茂礼、山崎明日香、岩野貢、太田勝士
企画協力:集英社「少年ジャンプ+」編集部、細野修平、籾山悠太、玉田純一
エグゼクティブプロデューサー:菊池貞和、吉田健人
プロデューサー:伊藤裕史、渡部祐樹、山田唯莉子、西前朱加、鹿志村絵美、大和田智之
アシスタントプロデューサー:高栁桃子、飯塚彩、東真央
アソシエイトプロデューサー:中村英祥
アニメーションプロデューサー:三浦俊一郎、藤原和博
制作デスク:福田陽大
設定制作:貝賀美咲
アニメーション制作:SynergySP
製作:大正オトメ御伽話製作委員会