映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『塔の上のラプンツェル』: 近年のディズニー・アニメーションの復活と大成功を予感させる名作

塔の上のラプンツェル
原題: Tangled
製作年:2010年
製作国:アメリカ合衆国

 

 

作品について

塔の上のラプンツェル』はWDAS*1の名アニメーター、グレン・キーンが企画し、開発から制作まで一貫して携わり、エグゼクティブプロデューサーを務めた。
グレン・キーンは数々の作品で作画監督した人物。『リトル・マーメイド』のアリエル担当Supervising Animator、『美女と野獣』の野獣担当Supervising Animator、『アラジン』のアラジン担当Supervising Animator、『ポカホンタス』のポカホンタス担当Supervising Animator、『ターザン』のターザン担当Supervising Animator、『トレジャー・プラネット』のジョン・シルバー担当Supervising Animatorなど。

もともとグレン・キーンはディーン・ウェリンズと共同で監督する予定だったけれど、心臓発作などの体調不良で監督を降板したそうだ。
バイロン・ハワードとネイサン・グレノのチームが後を引き継いで監督した。バイロン・ハワードが監督、ネイサン・グレノがストーリーボード監督。

 

音楽

今作の音楽も、ディズニー・アニメーションでおなじみ、ミュージカル界の名作曲家アラン・メンケン

作詞家のグレン・スレイターは、もともとオフ・ブロードウェイからキャリアを始めた人。
アラン・メンケンとは『ホーム・オン・ザ・レンジ にぎやか農場を救え!』で初めて組み、映画『天使にラブ・ソングを…』が原作の舞台ミュージカル『シスター・アクト〜天使にラブ・ソングを〜』をアラン・メンケンとともに発表。
その後も『リトル・マーメイド』の舞台ミュージカル版では、死去したハワード・アッシュマンに代わり新しい歌詞を書いた。
さらに、1992年の映画"Leap of Faith"をもとにした同名ミュージカルも制作。
ミュージカル界の名作曲家で名プロデューサーのアンドリュー・ロイド・ウェバーと『ラヴ・ネヴァー・ダイズ』を執筆。これは『オペラ座の怪人』の続編である。

 

題名

ジョン・マスカーとロン・クレメンツ監督コンビによる『プリンセスと魔法のキス*2(2009)は、商業的にも批評的にも成功したが、興行収入ウォルト・ディズニー・スタジオが期待していたほどの数字ではなかった。
また、題名にプリンセスを入れたり宣伝でプリンセスを強調していたため、男の子から敬遠されてしまった。
それを受けて、ウォルト・ディズニー・スタジオは中性的な題名、象徴的な題名を選ぶようになった。"Rapunzel"は"Tangled"に、"The Snow Queen"は"Frozen"に変更された。

アメリカ本社が『雪の女王』から"Frozen"に変えたのに対し、ウォルト・ディズニー・ジャパン(日本法人)が邦題として『アナと雪の女王』を選んだのは興味深い。理由の1つとして、ハンス・クリスチャン・アンデルセンの童話が原作だとわかりやすく示すためでもあるだろう。*3

 

 

感想

何度観てもおもしろい。

 

現代的な価値観で描かれたディズニープリンセス
2010年代のプリンセス像の鏑矢だったかな?
1990年代のディズニー・ルネサンス期に描かれたディズニープリンセスから再び変化を見せ始めた。

 

 

ゴーテルは毒親かな?

 

念願であった、初めて外に出たラプンツェルの躁鬱。双極性障害でしょうか。

 

 

今作で特筆すべき点は髪の毛の描写。
髪を塊としてではなく、1本1本の毛として描いている。これは、それまで3DCGアニメーションでは難しかった表現。
ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオのエンジニアたちは『塔の上のラプンツェル』制作のために、髪の毛をシミュレーションするソフトウェアを開発した。

 

 

ディズニー・ルネサンスの1990年代が終わり2000年代に入ると、ウォルト・ディズニー・フィーチャー・アニメーションの映画は興行的にパッとしなくなる。
ピクサー・アニメーション・スタジオが1995年に『トイ・ストーリー』を発表し、アニメーションは2D手描きアニメーションから3DCGアニメーションへと流れが変わっていった。
WDFAも2D手描きアニメーションから3DCGアニメーションに転換を始めたが、なかなか上手くいかない。

ウォルト・ディズニー・ピクチャーズとピクサーの提携契約が期限を迎える頃になると、ピクサーがよその映画スタジオと組むことを恐れたウォルト・ディズニー・カンパニー幹部らがピクサーの経営者と株主を説得して買収の同意を取り付けた。
そのためピクサーエドウィン・キャットマルをWDFAの社長、ジョン・ラセターをCCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)*4に迎え入れ(ピクサーの経営と兼任させ)、制作現場の立て直しを図った。
かつてのWDFAは経営者が企画を決めて現場にあれこれ指図するトップダウン型だった。それをジョン・ラセターエドウィン・キャットマルは、クリエイター主導のボトムアップ型に変えていった。

そうした改革が実を結び始めたのが『塔の上のラプンツェル』。

 

 

近年のディズニー・アニメーションに比べて、少ない人数のスタッフで制作したんだね。

グレン・キーンが主人公ラプンツェル専任のdirecting animatorなのはわかる。
4人のanimation supervisorsと2人のsupervising animatorsはどういう仕事の分担なのか。

 

 

Ultra HD Blu-ray

5月13日に4K UHD BDが発売されるのか。
だから宣伝として金曜ロードショーで放送したのかな。

www.disney.co.jp

 

 

キャスト

ラプンツェルマンディ・ムーア、デラニー・ローズ・ステイン(幼少時) / 日本語吹替 - 中川翔子小此木麻里(歌唱シーン)、諸星すみれ(幼少時)
フリン・ライダー / ユージーン・フィッツハーバート:ザッカリー・リーヴァイ / 日本語吹替 - 畠中洋
ゴーテル:ドナ・マーフィ / 日本語吹替 - 剣幸

フックハンド:ブラッド・ギャレット / 日本語吹替 - 岡田誠
ビッグノーズ:ジェフリー・タンバー / 日本語吹替 - 石原慎一
ウルフ:日本語吹替 - IKKAN
ショーティー:ポール・F・トプキンス / 日本語吹替 - 多田野曜平
スタビントン兄弟:ロン・パールマン / 日本語吹替 - 飯島肇
警護隊長:M・C・ゲイニー / 日本語吹替 - 佐山陽規
ヴラッド:リチャード・キール / 日本語吹替 - 田中英樹
花を置く少女:デラニー・ローズ・ステイン / 日本語吹替 - 飯田汐音

グレノ:日本語吹替 - 根本泰彦
店の悪漢:日本語吹替 - 小西のりゆき、村上勧次朗、Kuma
王妃:日本語吹替 - 菅原さおり
衛兵:日本語吹替 - 落合佑介、遠藤純平
踊る少年:日本語吹替 - 宮崎亜友美
スカーフの女性:日本語吹替 - さとう優衣
パンを持った女性:日本語吹替 - 鶴岡瑛梨

 

 

スタッフ

監督:バイロン・ハワード、ネイサン・グレノ
脚本:ダン・フォーゲルマン
原作:グリム兄弟『ラプンツェル』(グリム童話)
製作:ロイ・コンリ
製作総指揮:グレン・キーン、ジョン・ラセター
音楽:アラン・メンケン
編集:ティム・マーテンズ
制作会社:ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
製作会社:ウォルト・ディズニー・ピクチャーズ、ウォルト・ディズニー・アニメーション・スタジオ
配給:ウォルト・ディズニー・スタジオ・モーション・ピクチャーズ

 

score producer: Alan Menken
作詞:グレン・スレイター (Glenn Slater)
歌曲オーケストレーション・歌曲編曲:Michael Starobin
指揮者/ボーカル編曲:Michael Kosarin
オーケストレーション/スコアプロデューサー:Kevin Kliesch
additional orchestrators: Jennifer Hammond, Danny Troob

 

プロダクションデザイン:Douglas Rogers
アートディレクター:David Goetz, Dan Cooper as co-art director

ストーリーボードアーティスト:Paul Briggs, Michael LaBash, Matthew Merenda, Stephan Franck (uncredited)
ストーリーアーティスト:Joseph Mateo, Aurian Redson, John Ripa, Marc Smith, Lissa Treiman, Lissa Trieman, Josie Trinidad, Chris Ure; Stephen J. Anderson as additional story artist, Dean Wellins as additional story artist, Chris Williams as additional story artist; Gil Zimmerman (uncredited)

アニメーションスーパーバイザー:Glen Keane, John Kahrs, Clay Kaytis, Frank Hanner as technical animation supervisor
スーパーバイジング・アニメーター:Lino DiSalvo, Mark Mitchell

ディレクティング・アニメーター:グレン・キーン (ラプンツェル担当)

キャラクタースーパーバイザー:Carlos Cabral
キャラクターデザイン:Glen Keane, Jin Kim, Shiyoon Kim, Bill Schwab

hair simulation lead: Eric Daniels
character technical director on hair simulation: Hubert Leo
hair process lead: Sean Jenkins
hair TD: Hidetaka Yosumi (四角英孝)

視覚効果スーパーバイザー:Steve Goldberg
CGスーパーバイザー:Jesus Canal

*1:Walt Disney Animation Studios, 旧名称Walt Disney Feature Animation

*2:原題: "The Princess and the Frog"

*3:正確には原案と言うべきかな。完全に別物なので。

*4:製作する作品に関する最終責任者