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百合とアニメと映画の感想

『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 永遠と自動手記人形』感想: 名作映画

ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』
製作年:2019年
製作国:日本

 

 

作品について

暁佳奈さんの小説が原作。

藤田春香監督。初監督作品。京都アニメーションの他の監督や演出家と同様にアニメーターから演出家に転向し、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』で監督デビューした。
https://w.atwiki.jp/sakuga/pages/1858.html
https://w.atwiki.jp/anime_wiki/pages/14932.html

吉田玲子さんがシリーズ構成。

高瀬亜貴子さんがキャラクターデザイン・総作画監督

京都アニメーション及び子会社アニメーションDoが制作。アニメーションDoはかつて京都アニメーション大阪スタジオだった。2000年4月7日に分社化で株式会社アニメーションドゥウを設立したが、2020年11月1日に吸収合併し株式会社京都アニメーション アニメーションドゥウ事業部になった。

 

 

テレビ放送

2021年10月29日に日本テレビ系が『金曜ロードショー』で、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン』テレビシリーズの特別編集版を放送。

kinro.ntv.co.jp

films.hatenablog.com

2021年11月5日に、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝 - 永遠と自動手記人形 -』(2019)を放送。

kinro.ntv.co.jp

金曜ロードショー』プロデューサーの岩佐直樹さんと北條伸樹さんによると、外伝を放送しようという話があり、それならテレビシリーズを先に視聴者に観てもらうべきだと考え、特別編集版の放送につながったそうだ。

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もしできるなら、劇場版も放送したい、視聴者に観てもらいたいと思っているとか。

 

 

感想

何度観てもおもしろい。名作映画。

前半は原作小説が基になっていて、後半はオリジナルストーリー。

前半はヴァイオレットとイザベラ(エイミー)の関係、後半はヴァイオレットとテイラー、ベネディクトとエイミー、そして全編に渡りエイミーと義妹テイラーの関係を主軸にまとめた物語。

 

英国文学の伝統を受け継いでいる。寄宿学校での brotherhood / sisterhood。良家のお嬢様と使用人。舞踏会。

全寮制女学校生活のショットを積み重ねるシーンで、弦楽器の劇伴がいい。特にチェロの低音が。

生徒たちの靴のヒールが校舎の床を叩く、カツカツ、コツコツという効果音がいい。

 

「これはあなたを守る魔法の言葉です。エイミー、ただそう唱えて」

 

エイミーがテーラーの名前を呼ぶ最後の演出は、ロアルド・ダール著『オ・ヤサシ巨人BFG』及びスティーヴン・スピルバーグ監督・製作、メリッサ・マシスン脚本、フランク・マーシャル製作、キャスリーン・ケネディ製作総指揮『BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント』(2016)をほうふつとさせる。

 

藤田春香監督の今後の活躍に期待。

 

 

アニメーション制作

京都アニメーションufotableは全部社内で制作している、下請けを使っていない、と勘違いしている人が多い。

韓国や中国などの下請けがなければ、日本の商業アニメはほぼすべて制作できない。

京都アニメーションは長年提携している韓国のStudio Blueに動画・仕上げ・背景をずっと頼んでいる。元請け制作を始めたばかりの頃は原画も前身企業Ani Villageが担当していた。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン』では、途中から神龍(シェンロン)が動画と仕上げでクレジットされている。また『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』では神龍と火鳥動画制作集団が動画と仕上げでクレジットされている。神龍は海外動仕の窓口。元請け制作会社やグロス請け制作会社から仕事を受注し、中国の関連会社に仕事を割り振り、上がってきた素材を発注した制作会社に納品する。

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ufotableも外国の下請けを使っている。『劇場版 鬼滅の刃 無限列車編』では、海外動仕のF.A.Iインターナショナルや、背景でStudio Blueなどがクレジットされている。テレビアニメ第1期『鬼滅の刃 竈門炭治郎 立志編』では、海外の下請け会社が数えきれないほどクレジットされている。

外国の下請けに頼るのは、予算の問題ではなくスケジュールの問題。毎週30分アニメを放送するためには国内スタッフだけでは不可能。1話数で例えば動画4000枚から5000枚、作品によっては1万枚にもなる。

たとえばP.A.WORKSは1年目の動画マンの目標として1か月350枚を掲げた。上達すれば1か月500枚も可能になる。月500枚を3か月達成すれば原画に昇格するための試験が受けられる。他社も似たような感じだろう。

現在のアニメでは、たくさんの細かい線で成り立っているキャラクターデザインが一般的。だから原画1カット、動画1枚を描くのに時間がかかる。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン』のキャラクターデザインは、近年のアニメの中でも突出して複雑。これを少人数のスタッフで制作し高いクオリティを実現しているのだから驚異的。

さらに大昔のアニメとは異なり、現在のアニメ制作ではレイアウトが重視される。つまり遠近法(パース)を利かせた構図で、キャラクターの動きのお芝居を描く必要がある。演出に沿って、360度どの角度からでも描くのは難しい。誰でもできることではない。

 

京都アニメーションufotableも、1話数まるごと制作を委託するグロス出し(発注)はしていないと思う。

 

 

撮影

京都アニメーションが優れている点の1つは撮影(コンポジットと視覚効果)。京アニ作品が「作画がいい」と思われているのは、実はこの撮影のおかげでもある。アニメーターの実力に加えて、撮影の力によるところが大きい。

屋内でも屋外でも、光源を意識した写実的な照明を当てている。時代設定により、屋内なら間接照明を志向している。実写でも俳優に照明をたくさん当てるのではなく、演出により high-key lighting や low-key lighting などを使い分けることで高級感がある映像を作り出す。それがアメリカやイギリスの映画業界で日常的に行われていること。監督の右腕として、監督の creative vision / artistic vision を具現化するのが撮影監督の仕事。だから映画賞の授賞式などでも見られるように、監督は撮影監督に賛辞を贈る。

 

 

編集

アニメ制作における編集は2工程ある。1つ目がCT(カッティング)で、一般的にイメージされる映像編集のこと。映像素材をまず最初から最後までつなぎ合わせて、カット割りを(もう1度)考え、尺や間を調整する。2つ目がV編で、映像編集スタジオの高価な機材を使って最終調整をする。このV編のことを、元請け制作会社や作品によって「ビデオ編集」「HD編集」と表記する。

ヴァイオレット・エヴァーガーデン』テレビシリーズでは「HD編集」とクレジットされていたが、『ヴァイオレット・エヴァーガーデン 外伝』と『劇場版 ヴァイオレット・エヴァーガーデン』では「2K編集」とクレジットされている。テレビシリーズはフルHD(1920x1080)で作業していたのに対し、『外伝』と『劇場版』はDCI 2K(2048x1080)で作業したということかな。

 

 

クレジット

京都アニメーションでは通常、1年以上仕事の経験を積んだスタッフの名前のみが記載される。

藤田春香監督の強い希望で、制作に参加した人全員の名前がクレジットされた。

「災禍に見舞われたスタッフを含め、制作に参加した全員の生きた証しです」

web.archive.org

 

 

Blu-ray Disc

テレビアニメ

映画

 

 

 

 

キャスト

ヴァイオレット・エヴァーガーデン石川由依
クラウディア・ホッジンズ:子安武人
ギルベルト・ブーゲンビリア浪川大輔
カトレア・ボードレール遠藤綾
ベネディクト・ブルー:内山昂輝
エリカ・ブラウン:茅原実里
アイリス・カナリー:戸松遥
ローランド:各務立基
ネリネ齋藤綾京田尚子(劇場版)
ティファニーエヴァーガーデン:沢田敏子
ディートフリート・ブーゲンビリア木内秀信
ブーゲンビリア夫人:高島雅羅
ルクリア・モールバラ:田所あずさ
ローダンセ:野沢由香里
イベリス・コノウエ:土井真理
ブルーベル・ユノア:柚木尚子

スペンサー・モールバラ:木村昴日笠陽子(幼少期)
シャルロッテ・エーベルフレイヤ・ドロッセル中島愛
ダミアン・バルドゥール・フリューゲル:津田健次郎
アルベルタ:小山茉美
ルベリエ:星野充昭
オスカー・ウェブスター:滝知史
クラーラ・マグノリア川澄綾子
エイダン・フィールド:浅沼晋太郎
マリア:須藤祐
イルマ・フェリーチェ:日笠陽子
イザベラ・ヨーク:寿美菜子
テイラー・バートレット:悠木碧
ユリス:水橋かおり

リオン・ステファノティス:上村祐翔
リビア・ウェブスター:千本木彩花
アン・マグノリア諸星すみれ
アルド・モリーニ:安原義人
デイジーマグノリア諸星すみれ
エイモン・スノウ:稲垣拓哉

 

 

メインスタッフ

原作:暁佳奈
監督:藤田春香
監修:石立太一
シリーズ構成:吉田玲子
世界観設定:鈴木貴昭
脚本:鈴木貴昭、浦畑達彦
絵コンテ:藤田春香
演出:山村卓也、太田稔、山田尚子、藤田春香
キャラクターデザイン・総作画監督:高瀬亜貴子
作画監督チーフ:門脇未来
作画監督:丸木宣明、明見裕子、丸子達就、角田有希、池田和美池田晶子、岡村公平
動画検査:黒田比呂子
動画検査補佐:多田夏美、根来清夏
小物設定:高橋博行、太田稔
色彩設計:米田侑加
色指定:米田侑加、石田奈央美
仕上検査:竹田明代、宮田佳奈、大塚芙由紀、髙橋奈緖美、森ゆうき、秦あずみ
特殊効果:三浦理奈
美術監督:渡邊美希子
美術設定:渡邊美希子、鵜ノ口穣二
3D美術:鵜ノ口穣二
撮影監督:船本孝平
3D監督:山本倫
編集:重村建吾
音響監督:鶴岡陽太
音響効果:倉橋裕宗
録音:矢野さとし
録音助手:砂庭舞
音響制作担当:矢野智美
音楽:Evan Call
音楽プロデューサー:斎藤滋
音楽制作:ランティス、ハートカンパニー、ミラクル・バス
製作:八田陽子、古川陽子、西出将之、井上俊次、鶴岡陽太
企画プロデューサー:八田英明
プロデューサー:八田真一郎、中村伸一、梅田和沙、鈴木めぐみ、斎藤滋
アシスタントプロデューサー:野々上翠、上田智輝
企画協力:中嶋嘉美、髙橋祥
文芸:松田はる菜
設定マネージャー:栗原一樹
制作チーフマネージャー:藤田貴久
アニメーション制作:京都アニメーション
アニメーション制作協力:アニメーションDo
製作:ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会(京都アニメーションポニーキャニオンABCアニメーションバンダイナムコアーツ、楽音舎)
配給:松竹

 

脚本:鈴木貴昭、浦畑達彦
絵コンテ:藤田春香
演出:山村卓也、太田稔、山田尚子、藤田春香

作画監督チーフ:門脇未来
作画監督:丸木宣明、明見裕子、丸子達就、角田有希、池田和美池田晶子、岡村公平

小物設定:高橋博行、太田稔

原画:
 北之原孝將 髙橋博行 浦田芳憲
 秋竹斉一 唐田洋 瀬崎利恵
 岡野文恵 羽根邦広 小川太一
 澤真平 岩﨑菜美 山口平
 藤田春香 角田有希 浅間英裕
 鈴木沙奈 佐藤宏太 白川亮介
 澤田早絵 森崎志保 宮城良
 栗木亜美 黒田千温 草野すみれ
 髙橋真梨子 門脇未来 安藤京平

 渡邊紗也加 藤田紗英子 松本葵
 横山由季 加茂千夏 徳山珠美
 宮原優介 武地美穂 疋田彩
 壬生麻衣子 川口聖矢 大野由里加
 佐藤知美 芳﨑桃代 以西芽衣
 糸川駿

動画検査:黒田比呂子
動画検査補佐:多田夏美、根来清夏

動画:
 村山健治 端由美子 中峰ちとせ
 中野恵美 佐藤綾 川﨑洋平
 紫藤晃由 藤田奈緒子 樫原敦子
 小髙文靖 宇田淳一 石田敦志
 中西直樹 宮地篤史 杉谷智史
 大野萌 隈嵜那美 松浦礼奈
 棗田麻奈美 細田はな 町田奈緒
 古川かおり 井上真希 臼木美奈子
 堀川一彦 松村元気 甲斐有紀子

 中川怜奈 坂下南帆 西崎早菜
 松浦香奈 大村勇貴 笠間結花
 時盛友樺 成松健吾 柏木平
 小西宙矢 大川由美

 ST.BLUE
 李恩姬 金映珠 金志姬
 李惠眞 李ソラ

 神龍

 火鳥動画制作集団
 任慶豐 王敏 張春燕
 朱明 蔣青松 吳萍
 朱發苗 張東海 劉代兵
 龔衛珠

色彩設計:米田侑加

色指定:米田侑加、石田奈央美
検査:竹田明代、宮田佳奈、大塚芙由紀、髙橋奈緖美、森ゆうき、秦あずみ

特殊効果:三浦理奈

仕上:
 今泉ひとみ 下浦亜弓 津田幸恵
 瀨森由貴 大當乃里衣 西山恵利香
 長谷川徹 豊澤綾 土居翔子
 佐々木里奈 繁昌茜 本位田侑紀
 高木理恵 永安真由美 大橋郁奈
 胡恵美 佐々木祥子 嶋智子
 川合靖美 神原志津子 牧佳栄子

 ST.BLUE
 韓善鍾 宋銀河
 金美蘭 金正恩

 神龍

 火鳥動画制作集団

 FINE COLORs
 安藤のぞみ 小山知子 小松亜理沙
 鈴木咲絵 比嘉あきの 藤原道乃
 椛谷麻衣 砂川あずさ 村吉和奏
 林亜美

美術監督:渡邊美希子
美術設定:渡邊美希子、鵜ノ口穣二
3D美術:鵜ノ口穣二

背景
 落合翔子 内山周哉 細川直生
 篠原睦雄 笠井信吾 平石朋基
 長谷百香 一山沙也香 高山真緒
 山崎詩央里 中村温美 平床美幸
 田峰育子 大石望未 奥出修平
 竹内友紀子 山砥愛瑛
 
 ST.BLUE
 李天馥 朴貞娥
 李美眞 金之熙

撮影監督:船本孝平

撮影:
 田中淑子 髙尾一也 植田弘貴
 松本輝 上野和樹 営野祥大
 須藤啓介

3D監督:山本倫

3DCG:
 柴田裕司 冨板紀宏
 加瀬達規 髙木美槻

文芸:田中敦子

設定マネージャー:栗原一樹

制作チーフマネージャー:藤田貴久

制作マネージャー:
 浅野杏菜 横田圭佑 佐藤陽太郎
 安田早希 張美花 山田香菜
 兼尾結実 西本大悟 松本康二朗
 梁川拓海 韓アルム(ST.BLUE)

アニメーション制作:京都アニメーション
アニメーション制作協力:アニメーションDo

音響監督:鶴岡陽太
録音:矢野さとし
音響効果:倉橋裕宗
録音助手:砂庭舞
音響制作担当:矢野智美
録音スタジオ:Studio2010:、Studio2001:
音響制作:楽音舎

主題歌
「エイミー」
作詞:茅原実里
作曲・編曲:菊田大介(Elements Garden)
歌:茅原実里

音楽プロデューサー:斎藤滋

音楽:Evan Call

音楽制作:ランティス、ハートカンパニー、ミラクル・バス

編集:重村建吾

2K編集:Studio2001:

デジタルシネマスタジオ:キュー・テック
オンライン編集担当:板倉玄
デジタルシネマエンジニア:市原道宏
スタジオコーディネーター:田畑孝之

アシスタントプロデューサー:野々上翠、上田智輝

宣伝プロデューサー:三輪靖史
宣伝:長尾拓馬 後藤博紀 中島茉莉花

劇場営業:鷹取将生 春山千晶 古寺綾香
劇場宣伝:三好英明

予告編制作:川部智貴

ロゴデザイン:ニッポンプランニングセンター

公式サイト制作:
 浜田奈津美 岡田玲奈 久継茂信
 友藤慎也 松尾啓史

公式サイト
 violet-evergarden.jp

企画協力:中嶋嘉美、髙橋祥

法務担当:村元克彦

海外販売:西出将之 蔡愛蓮

商品化窓口:京都アニメーション

グッズ制作:
 神原宏昭 黒田久美 田島類子
 福島正人 田辺幸 山岡麻里沙
 木多浩海

サポーティングスタッフ
 三好一郎(木上益治) 石原立也 武本康弘
 西屋太志 竹西紘一 大橋永晴
 阪井利早 川端桃代 髙島龍平
 市川雄介 山本早希子 松尾恵里
 西川昌志 松田はる菜 佐藤綾乃
 川井田千春 宮下三千翔 大橋則子
 澤美穂 松野京子 上良百世
 栗田智代 出口圭子 広田裕介
 奥村智瑛子 鈴木礼奈 西村美緒
 南知左 中川純佳 塚田将太
 松下恭子 江田美穂子 北岡なな子
 山森愛弓 牟田亮平 河浪栄作
 佐藤達也 引山佳代 野口祐希
 熊野誠也 羽土真衣子

配給調整:黒田康太 飯塚寿雄 向井紘一郎

配給:松竹

プロデューサー:八田真一郎、中村伸一、梅田和沙、鈴木めぐみ、斎藤滋

企画プロデューサー:八田英明

製作:八田陽子、古川陽子、西出将之、井上俊次、鶴岡陽太

製作:
 ヴァイオレット・エヴァーガーデン製作委員会
  京都アニメーション
  ポニーキャニオン
  ABCアニメーション
  バンダイナムコアーツ
  楽音舎

監修:石立太一

監督:藤田春香