『イエスタデイをうたって』第8話: 破壊力のある表情が要所要所に。見せない演出。

『イエスタデイをうたって』第8話「イノセント・ブルー」

感想
おわりに
スタッフ

感想

「うちくる？　散らかってるけど」を第7話とは違うカメラの位置から。
榀子がバッグのひもをぎゅっと握りなおす芝居が良い。

汗ばんでいる手を服にこすりつける。緊張していること、そしてハンカチで拭かない性格を表す演出。

無言の長い歩みをpanで追う。

榀子がバッグから鍵を取り出して、手の向きを変える芝居が上手い。

「あの……ごめん。やっぱり……ごめん」
左手を口元に添えて。

寸止め。
怖くなったのかな？　榀子は。

本人に「強引さがあれば」とまで言われたのに、やっぱり踏み切れないリクオ。

榀子に呆れる杜田先生と、リクオに呆れる福田タカノリ。
クロスカッティングどころか画面分割の演出。

榀子のモノローグを川の橋の上で。

福田梢。
親友で相談したいからとはいえ、新婚夫婦の家にお邪魔したのか。夜に。

アパートの前で待っていたハルの、嬉しそうな顔から一転して寂しい表情になる感情芝居が良い。
リクオの視界に入っていない。

台詞を使わず、映像の積み重ねと音楽で日常描写と時間の経過を表す演出。

狭山杏子がコーヒーを淹れている描写が良い。

物憂げな表情のハル。

働いているリクオの姿を見て、ハルがジャンプ傘を開いて立ち去る芝居が上手い。

杜田先生の「それに？」は榀子を少しからかっているお芝居。

f:id:naotie:20200524064810p:plain — ©冬目景／集英社・イエスタデイをうたって製作委員会

コンビニの前で会ったハルと榀子。
気まずい榀子はハルに背を向けたまま会話する。
店内からの照明を浴びて、顔の半分に陰ができている。
まさに、『イエスタデイをうたって』のキャッチフレーズである｢49%後ろ向きで、51%前向きで…｣の演出。

「このまま会わなくなってしまうのは嫌だな」

――森ノ目榀子

f:id:naotie:20200524064837p:plain — ©冬目景／集英社・イエスタデイをうたって製作委員会

リクオが正社員になったと知って喜び、小走りで駆け寄る榀子。芝居が上手い。
タイトスカートでブーツだから歩幅が狭い。

リクオの話をもっとよく聴こうと、小首をかしげる榀子の芝居が可愛い。

「魚住君はこうって決めたら突き進むタイプだから」
人差し指でリクオを指す榀子のPOVショット。
無意識に言った後に、ハルの受け売りだと気づいてしまった榀子。本人によると、続けてハルの言葉だと言おうと思っていたらしいけど。
リクオの話し声が遠くなる音響演出。
掲げていた右腕が力なくだらんと下がり揺れる芝居が巧い。

煮魚。サバの味噌煮。
アク取りシートを乗せてフライパンに蓋。