映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『フラグタイム』の感想

『フラグタイム
製作年:2019年
製作国:日本

 

 

作品について

佐藤卓哉監督。

さとさんの漫画が原作。

 

佐藤卓哉監督とプロデューサーの寺田悠輔さんは、『あさがおと加瀬さん。』(2018)を手掛けた。

須藤智子さんがキャラクターデザイン・総作画監督。『あさがおと加瀬さん。』の作画監督

 

 

感想や演出など

オープニングも良い。小川充子さんの絵を口羽毅さんが撮影で仕上げたそうだ。佐藤卓哉監督とは『好きっていいなよ。』のエンディングアートで一緒に仕事をしている。

暗転の間と音を消す音響演出が上手。暗転は意図的に長めの尺を割いている。時間を止める力にまつわる話でもあるので、当然その時間が止まっている間は環境音(効果音)などを無音にするのが一般的な演出。この作品もそれを踏襲しているけれど、音を切る、音を入れるタイミングが良い。

遥が美鈴の手を引いて駈け出し、2人の姿がシルエットになる演出が上手い。また動きとフォルムも上手い。

砂時計や流れ落ちる砂そのものを使った演出。また海岸の砂浜など。

放課後の教室で美鈴が無意識に時間を止めてしまったとき、遥の後ろの背景で夕陽の光が一瞬輝いたと思う。撮影処理で加えられたエフェクトのはずだけど、その理由は何だろう? カメラは動いていなかったはずだし。

階段の場面でダッチアングル。一般的にダッチアングルは恐怖や不安などを表すためホラー映画などで使われる。この作品では基本的に地面と平行にカメラを置いているので、美鈴が遥の内面に踏み込むシーンが構図の変化によって特別な印象を与えている。

力がなくなった後、鳥が2羽並んで飛んでいるカットが良い。言わずもがな、美鈴と遥のメタファー。

 

小林由香利の描き方が良いなと思った。

周辺をぼかす背景美術が良い。描き込む線を減らし、筆で払うように色を減らしていく。
時間を止めた廊下で美鈴と遥が寝転んでいるカットがわかりやすい。

 

あさがおと加瀬さん。』は絵コンテが3人、演出が3人だった。3つのエピソードから成り立っているので、それぞれテレビシリーズのような感じで絵コンテを切り演出処理している。
『フラグタイム』は絵コンテも演出も5人ずつ。パートコンテ、パート演出かな。映画など長い作品において話の切れ目で分担するやり方。

 

キャラクターデザイン・総作画監督の須藤智子さんが、影無しのデザインについて話をしている。影なしのデザインは作画が難しい。上手いアニメーターは影なしでも立体感のある人物を描くが、それは誰でもできるものではない。
新世界より』で石浜真史監督が影なし作画について、アニメ制作に多くの人が関わるので「思った以上に大変なことだった」と語っている。

animestyle.jp細田守監督が一連の作品で影なし作画を行っている。影なしの絵柄はアニメを見慣れていない人にも受け入れられやすい傾向があると言われている。

 

1週目入場者プレゼントの描き下ろし漫画「勘違いのふたり」をもらった。

主題歌CDとサウンドトラックを購入。とても素敵。
Every Little Thingの「fragile」とHYの「AM11:00」のカバー。伊藤美来さんと宮本侑芽さんのハーモニーが良い。シンプルにまとめた谷口尚久さんの編曲も心地よい。
rionosさんはシンガーソングライターで他のアーティストに楽曲提供も行っているので歌の人という印象があるが、『あさがおと加瀬さん。』に続き劇伴を担当。音響監督を兼任している佐藤卓哉監督の音響演出プランでもあるのだろうけれど、『あさがおと加瀬さん。』も『フラグタイム』もミニマルな構成の楽曲が多い。インタビューで好きな作曲家に久石譲さんを挙げていたり、今作では久石譲さんがかつて使っていたスタジオのピアノで弾けて嬉しかったと語っていたり。楽曲からも影響を受けているのが感じ取れる。

パンフレットにスタッフとキャストのクレジット一覧が載っていなかったのが残念。『あさがおと加瀬さん。』のパンフレットにはあったのに。Blu-ray Discを買うまで全員分確認しようがない。『フラグタイム』は劇場限定BDの販売が公開直前に中止されたし。

 

『フラグタイム』をウェブ連載の時から読んでいて単行本を買った。好きな漫画。
だから素敵なアニメになって嬉しい。

 

 

 

ポニーキャニオンの公式通販「きゃにめ」で、設定資料集(原画集、絵コンテ集、アフレコ台本)が販売されている。

canime.jp

 

キャスト

森谷美鈴:伊藤美来
村上遥:宮本侑芽
小林由香利:安済知佳
島袋美由利
拝師みほ
梅原裕一郎
田所あずさ
高橋未奈美
佐倉綾音
石橋桃
大塚さくら
小野将夢
熊谷健太郎
河内奏人
新祐樹
杉崎亮
鈴木花穏
田中誠
東城咲耶子
保住有哉
吉貞萌
若山詩音

 

 

スタッフ

原作:さと
監督・脚本:佐藤卓哉
副監督:日下直義
キャラクターデザイン:須藤智子
プロップデザイン:西本成司
色彩設計:岩井田洋
美術監督:本多敬
美術設定:きむらひでふみ佐藤正浩、本多敬
美術ボード:志賀友香、高橋英次、塚原千晶、ヘッドワークス
撮影監督:口羽毅
編集:後藤正浩
音響監督:佐藤卓哉
音響効果:今野康之
音響効果助手:安藤由衣
録音調整:清水幸司
録音助手:宇野好絵、二川裕、藤村聡
ダビングエンジニア:田邊萌乃
音響監督補佐・音響制作担当:安野文左衣
音楽:rionos
音楽プロデューサー:中村伸一
音楽制作:ポニーキャニオン
プロデューサー:寺田悠輔、菅原明子、工藤雅世、中冨将仁、佐藤圭介
アニメーションプロデューサー:伊藤光彦、会川慎悟
アニメーション制作:ティアスタジオ、イーストフィッシュスタジオ
製作:「フラグタイム」製作委員会(ポニーキャニオン秋田書店、創通、フジテレビジョンWOWOW)
配給:ポニーキャニオン

 

絵コンテ:長屋誠志郎、吉田りさこ、五反孝幸、どじゃがげん、佐藤卓哉
演出:日下直義、吉田りさこ、岡本恵里香、五反孝幸

総作画監督:須藤智子、丸山翔子
総作画監督補佐:きーくん
作画監督:浅尾宏成、阿部安佳里、大倉雅彦、キム・テギョン、きむらひでふみ、日下岳史、小林大地、佐藤愛架、佐藤元、島崎望、清水由紀子、荆丹燚、杉浦英之、張紹偉、西本成司、新田靖成、橋本淳稔、はっとりますみ、洪範錫、宮本武史、森口弘之、山内大輔

原画:
有田周平 江崎稔 大西貴子
岡村正弘 岡本恵里香 小澤和則
小澤宏貴 笠野充志 亀山進矢
鴨田航 きーくん 日下直義
葛本有 五反孝幸 酒井夏海
佐藤卓哉 塩田学 篠衿花
清水由紀子 杉浦英之 高山好治
武部仁 田中菜々美 谷口繁則
津野満代 寺田浩之 中島楽人
並木祐一 二宮奈那子 橋本正則
奈緒子 藤原千帆 松下純子
森亮太 森山剛史 谷津美弥子
山崎絵美 山本香織 山本早苗

暁 アートベースバン
髙橋こう平 EAST FISH STUDIO
无锡木木欣動画有限公司 尹少鋒
蒋平武 ティアトライブ
テディー Triple A
BN Pictures 猪爪多恵

BIGBANG へばらぎ
studio CANDYBOX 張智程
楊鵬

第二原画:
庵奥亮太 氏家嘉宏
氏家里恵 玉川陽莉
中川美乃里 松本鉄也
宮崎克 八木尚之
EAST FISH STUDIO ティアトライブ
无锡木木欣動画有限公司 星鳴社アニメ制作

動画検査:金子由紀江、中川美乃里、八木尚之、ティアスタジオ仙台、遠藤謙、大柳真夕、安川リベカ、王正陽、渡辺拓海、鈴森風音
色指定・仕上検査:岩井田洋、上田真以、大橋朝子、大場将生、DEEN digital、大須賀隆純、木村千登世
仕上検査補佐:後藤恵子、直島未来、林田萌絵、吉川遥、DEEN digital、大須賀隆純、木村千登世
特殊効果:後藤恵子

撮影監督補佐:澁谷洋輔
CGディレクター:永井努
CGスーパバイザー:室薗勇輝

2Dワークス:伊藤友理香、長屋智浩、花田康一、松田陵平、みぽりん

オープニングプロデュース:佐藤卓哉、山村賢行
オープニングアート:小川充子
撮影演出:口羽毅
編集:後藤正浩

制作協力:オクルトノボル

主題歌
「fragile」
作詞:持田香織
作曲:菊池一仁
編曲:谷口尚久
歌:森谷美鈴(CV:伊藤美来)&村上遥(CV:宮本侑芽)

製作:古川陽子、石井健太郎、難波秀行、大辻健一郎、石垣裕之
エグゼクティブプロデューサー:伊藤裕史、岡村武真、口垣内徹
企画協力:笹木孝弘、阿部知司、渡部直、井﨑愛美、前川綾菜
制作プロデュース協力:ジーアングル、新井通、平田創己、平塚望曜
アソシエイトプロデューサー:田中康太、本橋研一、小林香菜