映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第11話の演出

ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』第11話「みんなの夢、私の夢」

 

 

感想

歩夢

とぎれとぎれの生垣を通して侑を見せることで、歩夢が侑を見つけた喜びを表している。垣根は境界のメタファーでもある。歩夢は侑の隣にいると思っていたけれど、離れてしまっていた。

「私飲み物買い出しに行ってくるね」と言った歩夢は、侑が気づいてくれないことにもやもや。せつ菜がついてきてくれたけれど。

道路標識や信号機や非常口による、精神的な逃げ場のメタファー。モンタージュ

歩夢の感情の起伏に合わせて手振れを大きくして、歩夢から侑へpan。

両脚で侑の脚を挟む。

スマホもメタファー。歩夢が部室で侑を待っていた時は当然スマホは1つ、机の上、伏せた顔の横に置いていた。歩夢が侑にしがみついたときは、2人のスマホは重なっている。

 

 

演出

伊礼えりさんは上手い若手アニメーターだと認識していたけれど。演出は初挑戦かな(OPやEDの演出を除く)。

w.atwiki.jp

 

広角レンズのレイアウトがまず目を引く。

さらにローアングルやハイアングルを多く用いている。

恣意的なフレーミング。キャラクターの配置。フレームの端に寄せて、空間を広く開ける。キャラクターの顔をフレームから外して表情を見せない。つまり観客にキャラクターの心情を想像させる。

POVショット。手振れ。カメラワーク。

 

計算している分、自然ではなく人工的なcinematographyになっている。高畑勲監督は『かぐや姫の物語』(2013)で、今目の前にある光景をささっと描きとめた、と語っていた。小津安二郎監督、スタンリー・キューブリック監督など逸話に事欠かない。伊礼えりさんの演出により、女子高校生たちの生活をこっそり覗き見ているのではなく、映画監督のもとで明確な意図をもって演じられたお芝居を見ている。

 

 

作画

感情芝居がいい。

侑が自室で椅子に座るときに両手でスカートを整えるお芝居。ロングショット。

 

 

絵コンテと演出

河村智之監督の『ラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会』は、近年では数少なくなった、絵コンテと演出を同じ人がすることを心がけているようだ。

 

伊礼えりさんは最初に脚本を読んだとき歩夢にすごく感情移入したそうだ。脚本ではもう少し穏やかだったけれど、心の赴くままに演出したと。大切な人と一緒に同じ夢を見たいと思う子どもの普通の姿。ただアイドルの物語でこの演出をやっていいのか悩んだけれど、監督が通してくれた。

 

 

キャスト

高咲侑:矢野妃菜喜
上原歩夢:大西亜玖璃
中須かすみ:相良茉優
桜坂しずく:前田佳織里
朝香果林:久保田未夢
宮下愛:村上奈津実
近江彼方:鬼頭明里
優木せつ菜:楠木ともり
エマ・ヴェルデ:指出毬亜
天王寺璃奈:田中ちえ美

 

 

第11話スタッフ

脚本:平林佐和子
絵コンテ・演出:伊礼えり

作画監督:市原圭子、伊礼えり、尾尻進矢、北島勇樹、木村文香、鐘文山、舘崎大、冨吉幸希、山内尚樹
作画監督補佐:粕川みゆき、三沢聖矢
総作画監督:横田拓己、冨岡寛、渡邊敬介

動画チェック:佐藤瑠美
色指定・セル検査:清田直美

 

 

シリーズスタッフ

原作:矢立肇
原案:公野櫻子
監督:河村智之
シリーズ構成:田中仁
オリジナルキャラクターデザイン:KLabGames
キャラクターデザイン:横田拓己
デザインワークス:めばち
美術監督:西倉力
セットデザイン:片岡一巳
色彩設計赤間三佐子
CGディレクター:飯沼佑樹
撮影監督:杉山大樹
編集:小口理菜
音響監督:長崎行男
音響効果:宅間麻姫(スワラ・プロ)
音楽プロデューサー:武沢由佳子
音楽:遠藤ナオキ
音楽制作:ランティスサンライズミュージック
企画プロデューサー:若林悠紀
プロデューサー:大塚大、小田誠
アニメーション制作:サンライズ
製作:2020 プロジェクトラブライブ!虹ヶ咲学園スクールアイドル同好会(サンライズバンダイナムコアーツ、ブシロードKADOKAWA)