映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第7話の感想と、演出と作画

第7話
大場なな

 

 

感想

cold open

アバン

2018年3月3日
第99回 聖翔祭 本番当日

舞台装置が学生のものとは思えない規模。
帝国劇場級。

アバンコンテ・演出・原画は小出卓史さん。

 

2018年3月5日
第99回 聖翔祭 終了から2日後
1年A組・B組 合同打ち上げ

ミロのヴィーナスがフレーム中央。正面向き。

スマホで目を隠したなな。
ななのスマホ越しの構図。

フレーム右端で、フレームの外を見ているなな。

華恋とまひるの背後に写るミロのヴィーナスは右向き。

生徒たちに褒められるななをクロースアップから目のエクストリームクロースアップまで3段階。

ななの愛称「ばなな」はこの時に華恋がつけたもの。

左向きのミロのヴィーナス。

舞台少女「大場なな」はこの日生まれた。

 

 

 

Aパート

2018年3月26日
聖翔音楽学
春期休暇初日

スマホでななの目を遮る。
床下からのローアングル、ロングショットで薄暗い廊下に一人たたずむななを撮影。孤独。
ハイアングル、ロングショットで寮の談話室に立っているなな。
廊下T字路に立っているななをハイアングル、ロングショットで。
部屋で本を読む純那をスマホで撮影するなな。
廊下でのモノローグと違い、純那が画面に映るとななの声が明るくなる。

 

2018年4月9日
聖翔音楽学
新学期

PCのディスプレイかテレビに付箋がいっぱい。

第99期生の8人と20人、2人(成瀬さんと逢坂さん)退学。

純那を左端、ななを右端。

 

2018年5月16日
第100回 聖翔祭
オーディション開始

左向きのミロのヴィーナス。

渡り廊下を左から右に。アイレベル。
中庭を右から左に。2人を非常階段から見下ろす。
バルコニーから手を振る生徒2人。ローアングル。
手を振りかえすなな。ハイアングル。
そびえ立つ無機質な校舎。ローアングル。
校庭。木々や植物。1本だけぽつんと立つ樹。
校舎バルコニーで遠くを見る生徒1人。アイレベル。
校舎周囲のベンチに腰かけ本を読む、またはスマホを触っている生徒1人。フレーム右端。アイレベル。興味深いレイアウト。
校舎階段の踊り場で外を見る生徒1人。背後からローアングルで。
細長い廊下で椅子に座り本を読む生徒1人。誰かを待っている? 撮影者からは見下ろしている。
ロッカールームでおしゃべり。フレーム中央でロッカーを背に立つ生徒とそばのベンチに座っている生徒。立っている生徒にじわじわズームイン後、ミディアムショットでフレーム左端にとらえじわじわズームイン。
退学した生徒のロッカー。ネームプレートが外されている。

 

真矢の「あなたは何故!」に合わせて、校舎バルコニー、ベンチ、階段踊り場、廊下の椅子の生徒たちが撮影者を(振り返り)見る。

 

購買でアイスクリームを見ている双葉と香子。第99回聖翔祭スタァライトのポスター。自動販売機。シンメトリー。
「はーやく決めろよー」「もうちょーっと待ってーなー」と気の抜けた、このカッティングにはそぐわないショットと台詞。

 

校舎裏で真矢とななを左端に。柱を挟んで第99回聖翔祭スタァライトのポスター。
左向き真矢を左端。
右向きななを右端。
「大場なな、あなたを許さない」と言われたななの瞳をエクストリームクロースアップ。

 

日が暮れるまでベンチで一人過ごしていたなな。
左側ベンチ、ななの隣に座る純那。
「私達のスタァライトが好き」というななの言葉への反応。微笑む純那を右端にクロースアップ。同じく微笑む華恋とまひるを左端にクロースアップ。
スマホの写真を見つめるななをフレーム中央にクロースアップ。
ここで右側ベンチに座る華恋とまひる
「だって舞台は生き物。同じスタァライトでもまったく同じ舞台なんてありえないもん」と言う華恋とまひるを左端にクロースアップ。
「もういない人もいるしね」と俯く純那を右端にクロースアップ。

 

ベンチに座り空を仰ぎ見るななと、脱衣所のベンチに寝ころび天井を見るななのマッチカット。
「お持ちなさい あなたの望んだその星を」(And it shall be bestowed upon you, the Star which you have longed for—)
キリンの首には星9個。月と太陽
「あ、キリン」
樹の葉っぱをむしゃむしゃ食べるキリン。左側だけ照明が当たっている。中央には順位表。

 

 

 

Bパート

黄色い光。十字。
眩しさに右側に目をそむけ、左上を見るなな。
ななの背後には左側に倒れ掛かる塔のオブジェ。
左向きのキリン。
キリンの優しい瞳。
キリンの首から上をフレーム左端に。
ぼろぼろの座席。
第1話から第6話までのレヴューで使われた大道具が揃っている。
キリンの首を手前に、キリンを見つめるなな。(このショットではキリンは右向き。ななからは左向き)

 

キリンと同じ構図で、左上を見つめるななをローアングルで。逆光。
ポジションゼロに立つななを、顔だけは見えないような構図で。背中を向けている真矢。ローアングル。
「何があなたを変えたの?」と問いかける真矢は背中を向けている。
「眩しい? 私は眩しいの」と抑えた感情のなな。
再び「何があなたを?」と問いかけたときは、ななの方を振り返っている真矢。
「そこま……(で)」と振り返りながら言いかけた真矢を遮る暗転幕。
「ポジションゼロ。届かなくて眩しい」

 

1位 大場なな
ななと向き合うキリン。ようやく右向きに。シンメトリー。ななはキリンと対等の立場になった?
「眩しいの。今もあの舞台が」と願いを言うななをロングショット、ミディアムショット、クロースアップ。
浮かない表情。
ななの足元に投げられた王冠、またはティアラ。
宝石の光を使ったwashoutでトランジション
カエルのイラストが描かれた表紙のスタァライト台本が降ってくる。

 

「あー、«Lumière d'Étoile»ね。いいんじゃない?」。クロディーヌもフランス語版を知っている。公式サイトによると、スタァライトは「古くより愛されている戯曲で、ミュージカルとして世界中で何度も上演されている名作。」とのこと。

 

第99回 聖翔祭 への1年
大場なな 運命の舞台
2018年5月25日→2017年4月17日

真新しいスタァライト台本に付箋が貼ってある。

 

2017年6月
表紙がよれよれになってきたスタァライト台本。付箋が増えている。

 

2017年9月
グランドピアノを弾く純那と、指示を出す誰かの手。
ぼろぼろになっているスタァライト台本。

 

2017年12月

OP前の打ち上げのテーブルと兼用かな。
「バナナみたい」という華恋の言葉に、先回りして言うなな。
台本を抱えたななに光が差し込むが、顔の上半分に陰が落ちている。
左側に倒れ掛かる塔のオブジェ。根本側にはシートがかけられている。
再び真矢に勝つなな。
「届いたはずなのに、まだ眩しい」と無感情につぶやく。

 

誰もいない舞台裏。
1位 大場なな
キリンの背後に樹。
もう何度目かわからない。
「舞台少女がトップスタァになる瞬間、奇跡とキラめきが起こす化学反応。永遠の輝き一瞬の燃焼。誰にも予測できない運命の舞台。私はそれが見たいのです」。津田健次郎さんの芝居が良い。
じわじわズームイン。
ななの足元に突き刺さる短剣。ひもつき。
樹の枝にかけられたジャケット。
樹のそばにたたずむ少女。

 

2018年5月25日→2017年4月17日

 

2018年5月14日
ななと純那の部屋。よだれを垂らしながら寝ているなな。

第4話Aパートのカットと兼用かな。室内を見渡すハイアングルのロングショットはそのまま、ななが目を覚ますカットは以前のレイアウトを利用して描き起こしたもの。

 

純那の写真を見ているななを左端にクロースアップ。
床に倒れた華恋と、心配するまひる、なな。

 

2018年5月14日
神楽ひかり

 

ひかり、華恋、まひるを見下ろす構図。
ここでようやくななの視点だったことが判明する。
つまり今までの不可思議な構図はななのものであった可能性が高い。

 

窓の外を見ているなな。
「でも誰が来ても私の再演は変わらない。神楽ひかりちゃん、あの子も私の舞台に欲しくなっちゃいました」

 

 

 

まとめ


古川知宏監督によるコンテ。意味深なレイアウトが多い。構図は演出意図により狙ったものであると考えられる。
ななの背景と作品の設定が開示された回。

 

第7話のレイアウトは荒川眞嗣さんが描いたものだと思われる。

動画枚数を抑え、動かさずに魅せる画面を作り出した、荒川眞嗣さんのレイアウトは素晴らしい。

古川知宏監督がコンテに書いた演出意図。その演出意図を汲み取り各セクションのスタッフに伝え実現させた塚本あかねさん。その演出意図を汲んでレイアウトを描いた荒川眞嗣さん。その演出意図に沿って原画を磨き上げた作画監督総作画監督の皆さん。

 

キネマシトラスの小笠原宗紀プロデューサーがTwitterでアニメーターを募集するほど、レヴュースタァライトの制作現場は逼迫していた。

そのためシリーズ中盤に入ってからは、全体的に派手さを抑えた作画になっていた。ただしあくまで派手さのみ。芝居のクオリティはずっと高い水準だ。

動かすことだけではなく、画面作りで演出意図を昇華させる、観客に伝えるその努力を称賛したい。

 

 

 

 

 

ななの気持ちわかる気がする。

今の幸せが壊れるのが怖い。幸せな時間を永遠に閉じ込めておきたい。

自分が家族が死ぬのが怖い。死によって意識が消滅するのが怖い。墓地埋葬法のせいで仮想が義務図蹴られているのが嫌だ。死んだあと身体を焼かれて骨と灰だけになるのだ怖い。

誰もが通る道だとわかっているけれど怖い。

 

 

 

 

 

スタッフ

脚本:樋口達人
絵コンテ:古川知宏
演出:塚本あかね
アバンコンテ・演出・原画:小出卓史

 

総作画監督:伊藤晋之、齊田博之
作画監督:河本零王、杉山有沙、摺木沙織、清水海都、世良コータ、角谷知美、
     小池裕樹、錦見楽、谷紫織、小里明花、小栗寛子、林隆祥
 
レイアウト:荒川眞嗣

 

原画:
塚本あかね 河本零王 杉山有沙 摺木沙織 清水海都
世良コータ 角谷知美 小池裕樹 錦見楽 谷紫織
小里明花 小栗寛子 林隆祥

 

第二原画:
浅尾晃成 阿部安佳里 小里明花 上武優也 河本零王
佐藤愛架 清水海都 髙橋千尋 谷紫織 塚本あかね
森公太
 
石塚理央 桜咲新 嶋田聡史 田仲基寛
 
スタジオリング
青木裕子 杉浦尭侑 谷本馨
 
寿門堂 STUDIO CL

 

動画検査:髙橋千尋渡辺美佐

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