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百合とアニメと映画の感想

『ビッグ・ファーマ 製薬ビジネスの裏側』

BS世界のドキュメンタリー『ビッグ・ファーマ 製薬ビジネスの裏側』
原題:Big Pharma: Gaming the System
製作年:2020年
製作国:フランス
上映時間:53分

 

 

作品について

NHK BS1
2020年11月10日 23:00-23:46 初放送

www.nhk.jp

 

 

感想

製薬会社は、重大な副作用のリスクを知りながら情報を隠す。
てんかん薬「デパキン」は、妊娠中の女性が服用すると胎児に重大な障害が出る恐れがある。サノフィは1970年代からその危険性を知りながら、保健や医療を管轄する役所や医療機関や患者に情報を隠していた。

製薬会社は、患者や医療機関が治療薬を安価で入手することを嫌がり、圧力をかけて高額の薬を買わせる。
ロシュとジェネンテックは結託して、加齢黄斑変性症の治療薬を高額で販売している。抗がん剤「アバスチン」が加齢黄斑変性症の治療に効果的だと実証されたから、ほぼ同じ成分の薬「ルセンティス」を売り出した。フランスの裁判所は製薬会社の訴訟を棄却したが、医師や医療機関は複雑怪奇な保険制度をリスクと感じ、安価なアバスチンを利用しなくなった。現在では高額なルセンティスが治療に使われている。

製薬会社は、患者が少なく死に至る病気をターゲットとし、高額の価格設定を行い、獲物(あるいは養分)である患者から大金を搾取する。
C型肝炎ウイルスの治療薬「ソバルディ」はもともとファーマセットが開発した薬だった。ギリアド・サイエンシズはファーマセットを買収し、ソバルディを高額で販売した。

COVID-19でも製薬会社が暗躍している。ギリアド・サイエンシズはエボラ出血熱の治療薬「レムデシビル」がCOVID-19に効果があるのではないかと考え、多くの国で特許を申請した。また、レムデシビルをオーファンドラッグとしてFDAに指定してもらうことで、莫大な利益を得ようと企んだ。オーファンドラッグに指定されれば、ジェネリック医薬品が開発されても市場から排除できるらしい。もともとレムデシビルの研究開発に多額の公的資金を投じてもらっていたのに、他人の不幸につけこみ暴利をむさぼろうとした。ドナルド・トランプ大統領はギリアド・サイエンシズへの優遇措置を認めた。消費者団体やバーニー・サンダース上院議員が批判したこともあり、ギリアド・サイエンシズは指定申請を取り下げた。

 

 

スタッフ

監督:Luc Hermann and Claire Lasko
脚本:Luc Hermann, Claire Lasko and Insaf Maadad
プロデューサー:Paul Moreira, Coproducteur exécutif Roy Ackerman
撮影監督:Mathias Denizo, Pedro Brito da Fonseca and Phil Broom
編集:Emmanuel Lejeune
製作会社:Premières Lignes Télévision

www.pltv.fr

French broadcaster: Arte
Producer: Premieres lignes
International sales: CLPB Rights
Other broadcasters: ZDF info, RAI, Al Jazeera, RTS, RTBF, SRF, Télé Québec, VRT, SVT
With the participation of: CNC

www.clpbrights.com

www.imdb.com