映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『海賊王女』第1話感想

『海賊王女』第1話「記憶」

 

 

作品について

『B: The Beginning』(2018)に続き、中澤一登さん原作・監督のオリジナルアニメ。

ToyGerPROJECT、中澤一登監督、高橋哲也監督、藤井サキ監督のチーム監督制。日本のアニメ業界では珍しい。Team ニコ(小西賢一、神谷友美、袖山麻美、林佳織、信田ユウ)の『大図書館の羊飼い』(2014)くらいでは? 総監督/監督/副監督/助監督/シリーズ演出/シリーズディレクターなどの体制はよくあるけれど。2人監督制もときどきある。

Production I.G のプロデューサー黒木類(黒木るい)さんは、多田俊介監督の『ツバサ TOKYO REVELATIONS』『ツバサ 春雷記』『“文学少女”シリーズ』『黒子のバスケ』シリーズ『銀河英雄伝説 Die Neue These』、『ポケットモンスター THE ORIGIN』、吉村愛監督『アオハライド』、本広克行総監督&塩谷直義監督『劇場版 PSYCHO-PASS サイコパス』などのアニメーションプロデューサー。野村和也監督『ジョーカー・ゲーム』ではエグゼクティブプロデューサー。

www.production-ig.co.jp

www.wantedly.com

カートゥーンネットワークの放送枠 "Adult Swim" "Toonami" と Crunchyroll にて8月から先行放送・配信されている。有り体に言えば外国受けを狙った企画。「18世紀」「王女」「侍」「海賊」というテーマがまさしくそれ。

 

 

配信

FODで毎日放送(MBS)のテレビ最速放送と同時に独占配信中。第1話は無料配信。

fod.fujitv.co.jp

 

 

感想

おもしろい。

PV で「絶対嫌!」と言っていたからシリアスな話かと思っていたら、スラップスティック・コメディだった。

cartoon を日本の anime の画作りに取り入れたら、という作風。squash and stretch。

 

フェナは「白の境界線(ホワイトマージナル)」と呼ばれている。

 

国家が黙認している遊郭の島「シャングリラ」。ジェフリー・エプスタイン……は違うか。

フェナの水揚げ。初夜権*1

 

ドロワーズ

 

不幸な身の上の孤児のもとにある日迎えが来るという物語は、英国文学や児童文学の伝統。チャールズ・ディケンズが有名。J.K.ローリング著『ハリー・ポッター』シリーズもその伝統にのっとっていた。

日本のアニメや漫画などでも王道として用いられている。『海賊王女』の場合は下品になりかけているが。

ヒロイン(主人公)を若くてかっこいい男性が助け出すところは少女漫画や少女小説のようだ。実際、中澤一登監督は「最初から「少女漫画」を作ろうとは決めていた」と語っている

www.lisani.jp

 

オープニングテーマ「海と真珠」もエンディングテーマ「サイハテ」もいいね。

 

 

余談

オープニングアニメーションのスタッフクレジットは英語表記もされているが、複数人いる役職を複数形で書くなど正しい。

押井守監督『イノセンス』(2004)の感想記事でも書いたけど、色々なところで間違った英語表記が散見される。

films.hatenablog.com

アメリカのテレビ業界における executive producer は、映画業界とは異なり producer より強い権限を持つ。映画業界は producer が単独の責任者なので、作品を世に送り出した功績をたたえ映画賞の作品賞を授与される。executive producer は製作費の一部を投資した責任者だったり、映画製作になんらかの貢献をしたり、ときには主演俳優の拍付に使われたりする。テレビ業界では executive producer は企画・資金調達・脚本作り・スタッフィング・キャスティング・ネットワークとの交渉に深く関わり、producer は現場責任者。executive producer が多すぎて誰が本当の責任者かわからないので、脚本会議を統括し、番組制作にも深く関わる人をショーランナー (showrunner) と呼ぶようになった。ちなみにテレビドラマの監督は、各話監督にすぎず、権限はほとんどない。各話監督は showrunner の指示に従う。だからテレビドラマの監督をやらない映画監督が多い。実績と知名度がある映画監督は、自分の製作会社を通して executive producer としてテレビドラマに関わる。

『海賊王女』におけるエグゼクティブ・プロデューサーは、日本のアニメ業界における用法だと思う。製作費を出資した責任者であり、アニメ制作について意見も言うが、監督を支配するわけではない。

 

 

キャスト

フェナ・ハウトマン:瀬戸麻沙美
雪丸鈴木崚汰
紫檀櫻井孝宏
花梨:悠木碧
槐:佐藤元
楓:逢坂良太
椿:大須賀純
真樺:田中進太郎
サルマン:村治学
オットー:平田広明
グレイス・オマリー:深見梨加
チン・シー:金田愛
シャーロッテ・ベリー:薮内満里奈
メアリ・リード:七瀬彩夏
ハンナ・スネル:河野ひより
アルテミシア:茉莉邑薫
アン・ボニー:森谷彩子
アルビダ:日野まり
アベル・ブルーフィールド:森川智之
コーディ:八重畑由希音
フランツ・ハウトマン:中谷一博

 

 

第1話スタッフ

脚本:窪山阿佐子
絵コンテ:中澤一登
演出:髙橋哲也

作画監督中澤一登、高橋敦子

原画:
 津坂美織 寺野勇樹

 氏平達綺 石塚健 西野美沙樹
 福原麻衣 福嶋沙映 下妻日紗子
 藤元美典 小谷杏子

第二原画:
 西原千恵

動画検査:
 古林美里

動画:
 Production I.G
 石坂望 李曉林 奥田絵里奈
 加藤理佐子 笹野桜子 佐藤花香
 佐藤聖菜 三戸萌々恵 竹前雄大
 立川麻美 友松照稀 NGAI HIU TUNG
 晝田仁美 松井佑奈 芳野汐理
 渡邉えり

 金允智 古林美里

 ゆめ太カンパニー
 キッカンジャナ・アサマ 劉麟 関麻里香
 清水聖美 奥嶋千晴 正田杏樹
 趙麗竹 鶴嘴友希乃

 アニタス神戸 ギークトイズ テレコムアニメーションフィルム
 マカリア えかきや

 月面 HONGKONG YI LONG CULTURE MEDIA CO., LIMITED

動画管理:
 阿部良弘

色彩設計補佐・色指定・検査:
 木谷友美

仕上げ:
 Production I.G
 上野詠美子 有澤法子 相子深雪
 懸田七海 西村知恵利 古川天斗
 渡辺夏海 松原慎司 山本美幸
 池田光子

 ゆめ太カンパニー
 齋藤亜沙美 渡邊深雪 渡川真帆
 李翊寧 諫本桜花

 マカリア バード Triple A 月面
 HONGKONG YI LONG CULTURE MEDIA CO., LIMITED

仕上げ管理:
 富田逸人 芹澤莉佳 村本拡臣

原図整理:
 曽野由大

美術監督
 Bamboo
 竹田悠介 垣堺司

美術ボード:
 垣堺司 大貫賢太郎 竹田悠介

背景:
 Bamboo
 大貫賢太郎 佐々木拓夢 須藤裕美子
 坂倉敦子 垣堺司 宗政拓也
 柳川真梨 中嶋友美 鈴木崇仁
 山本亜沙美
 
 水上恵理 加藤美紀 山田那央子
 小椎尾佳代 岡本春美

撮影監督補佐:
 村井沙樹子

撮影:
 谷内潤

撮影管理:
 古川文男

制作進行:
 大場幸

 

OPアニメーション

ディレクション
 山下敏幸(ハイパーボール)

コンテ・演出:
 藤井サキ

原画・作画監督
 中澤一登

第二原画:
 片山貴仁 服部聰志 大谷里恵
 渡辺愛 MÖCHOKO 下妻日紗子
 具志堅眞由 津坂美織 大曽根
 原修一 平岡恵実 氏平達綺
 沼田くみ子 福原麻衣

動画検査:
 古林美里

色指定・検査:
 土井和 木谷友美

美術:
 Bamboo

撮影:
 Production I.G

特効処理:
 三皷梨菜(ハイパーボール)

モーショングラフィックス
 松田潤(ツー・ワイディー)

 

予告イラスト:
 細居美恵子

 

「海と真珠」
作詞・作曲・編曲:梶浦由記
歌:JUNNA

「サイハテ」
作詞:饗庭純
作曲・編曲:出羽良彰
歌:鈴木みのり

 

 

メインスタッフ

原作:中澤一登×Production I.G
監督:ToyGerPROJECT、中澤一登、高橋哲也、藤井サキ
脚本:窪山阿佐子
キャラクター原案・絵コンテ・総作画監督中澤一登
メインキャラクターデザイン・総作画監督:高橋靖子
キャラクターデザイン:西村理恵
メカニックデザイン常木志伸
コンセプトアート:西田稔
色彩設計:土井和
美術:竹田悠介、楠元祐也、田中孝典
カラースクリプト:藤井サキ
特殊効果:村上正博、村上寿美江
2DW:濱中亜希子
画面効果:髙橋哲也
撮影監督:荒井栄児
編集:石井知
音響監督:中澤一登
音響監督補佐:鐘江徹
音響効果:倉橋裕宗
録音調整:星野賢爾
録音助手:宮崎愛菜
音楽:梶浦由記
スーパーバイザー:佐々木史朗
音楽プロデューサー:佐藤正和、深水円
音楽制作:フライングドッグ
エグゼクティブ・プロデューサー:ジェイソン・デマルコ(Jason DeMarco)、サラ・ビクター(Sarah Victor)
コ・プロデューサー:寺島真樹子
プロデューサー:黒木類
アソシエイト・プロデューサー:清水紀衣、ギル・オースティン、ヘザー・ホーン、松本拓也、伊藤将生
アシスタント・プロデューサー:遠藤亜美、木梨美涼
アシスタントアニメーションプロデューサー:大場幸
アニメーション制作:Production I.G

*1:伝承はあるが、本当に行われていたか証拠が乏しい。