映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』第9話の感想と、演出と作画

第9話
「星祭りの夜に」

 

  

 

感想

cold open

雨宮さんに気を使いながら説明するなな。

雨宮さんと香子の目配せ。

 

「人生は二度繰り返される物語のように退屈である。」 ウィリアム・シェイクスピア
"Life is as tedious as a twice-told tale." — William Shakespeare, The Life and Death of King John

 

心ここにあらずななな。

第99回と第100回のイメージが貼られた掲示板のカットはレイアウトが良い。
絵を見つめるななと、衣装の型紙の図を見る華恋とまひる
ななには太陽の光が差し込んでいるが、華恋とまひるは影になっている。
左から入ってきて、ななの左隣に立つ純那。
構図はシンメトリーで、影によってアシンメトリーになっている。またこの斜めに走る影はななを撮る際の特徴でもある。
純那の言葉に関心を示さず、右に立ち去るなな。
華恋の後ろを通る瞬間、ミディアムショットにカットを変える。
ななの表情を見せない。
なながフレームから出る間際に気づいて、立ち去るななを見る華恋とまひる
純那の瞬きをクロースアップで。

 

 

Aパート

遠景にミロのヴィーナス。右向き。

戯曲「スタァライト」の英語版。"The Starlight Gatherer"

 

The Star remembers it all.

When Fury was Passion.
When Curse was Faith.
When Escape was Bravery.
When Jealousy was Affection.
When Despair was Hope.
When Arrogance was Pride.

The Star remembers it all, together with its twinkles.

 

And it shall be bestowed upon you, the Star which you have longed for——

 

左に倒れ掛かっている塔が、物置代わりの空き教室に。

第7中学校 文化祭
『情熱が目覚めるとき』

ななが「スタァライト」を繰り返していた時と同様に使い込まれた台本。

ななを窓の枠やカーテンでフレーム内フレーム。

「星摘みの塔」。

ここでもななの左隣に立つ純那。

太陽の光がちょうどななの足元までしか届かず、ななと純那は影に。

英語の戯曲本なのに本を閉じる向きが日本語の本のもの。または撮影処理で表紙と裏表紙の貼り込みミスか。

「最高の舞台、大切な仲間たち、全部守りたいから。運命の舞台に」
ななのクロースアップ。右向き。

華恋の言葉とななの言葉。最高の舞台という同じ言葉でも異なる意味。対比。

 

Bパート

窓枠に閉じ込められたななと純那を、備品を手前にPAN。

胸元に抱えていた第99回スタァライト台本を見つめる、ななのPOVショットで。

純那の反応を描くときは、ななの顔を見せない構図。ななの腰、スカートだけ。

「私の純那ちゃんはじゅんじゅんなんて呼ばれてない。絶対に呼ばせない」
独占欲があふれてるななの言葉が良い。

「え?」という純那の反応を、右向きでフレーム右端。

「そんな脚本、知らない。何もかも変わってっちゃう。次のスタァライト、そんなの私のスタァライトじゃない!」

純那の右目のエクストリームクロースアップ。フレーム右半分。

階段を下りるななを左向きに。
廊下を歩くななを左向きで、フレーム左端に。

華恋が再演を変えたと気づいたななを窓枠に閉じ込め、夕陽の逆光で。
茫然とたたずむななの後姿をハイアングルで。

華恋の「アタシ再生産」バンク。
華恋だと気づいたからこそ、久々のバンクを使うコンテ。

 

レヴュー

「舞台に実ったたわわな果実。だけど皆柔らかだから誰かが守ってあげなくちゃ。99期生、大場なな。私が守るの。ずっと、何度でも!」
ななの口上の舞台照明は赤色レーザーで第99回聖翔祭スタァライトの印を描く。

ななのロングショットをズームアウトして、華恋の脚の間から撮影。

絆のレヴュー
星々の絆

左手の小太刀で目を隠す。

下手のなな、上手の華恋。
斬り合って、上手と下手が入れ替わる。
上手のなな、下手の華恋。

華恋の「ノンノンだよ」でななが表情を変えているけれど、少し早すぎる気がする。
ななは皆を守りたいという信念を持ってずっと闘ってきたわけで、特に意味を持たない「ノンノンだよ」程度で揺らいではいけない。

「舞台少女は日々進化中。同じ私達も同じ舞台もない。どんな舞台も一度きり。その一瞬で燃え尽きるから、愛おしくて、かけがえなくて、価値があるの。一瞬で燃え上がるから、舞台少女は皆、舞台に立つたびに新しく生まれ変わるの」

純那とまひる。ひかりと双葉。香子とクロディーヌ。
暗い自室で写真を見つめる真矢。

ななの印から離れる、つまりななの舞台から降りる華恋。

PAN。歌う華恋と異なり、表情を見せないなな。

 

校舎に向かて座るななを後ろから。シンメトリー。

左からやってきて、第99回スタァライト台本をななに手渡す純那。受け取り胸に抱え込むなな。

ななの左隣に座る純那。
奥にミロのヴィーナス。

 

「いかに優れた人間でも時には我を忘れることもある」 ウィリアム・シェイクスピア
"Anyway even man and the person how could who excel sometimes forget themselves." — William Shakespeare, Othello

 

「時間はそれぞれの人間によってそれぞれの速さで過ぎる」 ウィリアム・シェイクスピア
"Something as time runs by respective speed by the respective man." — William Shakespeare, As You Like It

 

「もっと」とせがむなな。

 

「前進しない者は後退していく」 ゲーテ
"Wer nicht vorwärts geht, der kommt zurücke." — Johann Wolfgang von Goethe, Hermann und Dorothea

 

「過去が現在に影響を与えるように、未来も現在に影響を与える」 ニーチェ
"Die Zukunft beeinflusst die Gegenwart genauso wie die Vergangenheit." — Friedrich Wilhelm Nietzsche

 

「なりたかった自分になるのに遅すぎることはない」 ジョージ・エリオット
"It is never too late to be what you might have been." — George Eliot

 

「人生で一番の失敗は、失敗をするのではないかと恐れることである」 エルバート・ハバード
"The greatest mistake you can make in life is continually fearing that you'll make one." — Elbert Green Hubbard

 

「人には定めの星がある。綺羅星、明け星、流れ星。己の星は見えずとも、見上げる私は今日限り。99期生、星見純那。掴んでみせます自分星」

洗濯物を箪笥にしまうまひると、ベッドにもたれかかる華恋とひかり。タオルを首にかけて、顔を上げて口を開けて、そっくり。
むくれるまひるが可愛い。

クロディーヌの部屋で、お菓子を食べるクロディーヌと双葉。仲良し。

お風呂に入っている真矢と香子。
離れてるのは、適度な距離感なのか。

 

post-credits scene

1位 天堂真矢
2位 神楽ひかり
3位 西條クロディーヌ
3位 愛城華恋

オーディション最終日。

「されど舞台はつづく」
"The Show Must Go On"

 

 

 

まとめ

 レヴューよりも、ななと純那の会話が今回の主軸。ななを否定するのではなく、守ってくれてたと肯定する純那。

また純那の名言引用の数々が印象的だった。

 

英語圏には「Oxford Dictionary of Quotations」という辞典がある。題名の通りオックスフォード大学出版局が出版している。

global.oup.com

日本語の名言辞典と併せて用いると便利。

 

9月15日追記:

作中に登場した第100回「スタァライト」の衣装デザイン・武器デザイン画は、2Dワークの山口真生さんがデザインしたものらしい。

The preparation for the 100th performance gave a chance to Mai Yamaguchi to showcase her actual design sheets for outfits and weapons, which director Furukawa effusively praised her for.

blog.sakugabooru.com

古川知宏監督が山口真生さんを絶賛していた、と。

Sakuga Blogの書き方だと、山口真生さんのデザイン画をそのまま撮影処理で貼り込んだということかな。

 

キネマシトラスの小笠原宗紀プロデューサーが以前アニメーター募集のツイートをしていた。

それに呼応した外国のアニメーターが今回レイアウトや原画で参加している。

Kometさんは原画。

MLANGさんはレイアウト。

さらに第10話では他のアニメーターが参加している。

 

 

 

 

 

スタッフ

脚本:樋口達人
絵コンテ:小島正幸
演出:山田卓
総作画監督:伊藤晋之、齊田博之
 
作画監督:大下久馬、小栗寛子、小里明花、小池裕樹、小出卓史、角谷知美、
     清水海都、摺木沙織、髙澤美佳、谷紫織、安田祥子、和田伸一
 
     スタジオリング
     徳田拓也
 
原画作画監督:河本零王、杉山有沙、森公太

原画:
青木真理子 青木康哲 浅尾晃成 阿部安佳里 飯田光尋
岩井田夏帆 岡崎伸浩 岡田雅人 桑原寿弥 小出卓史
古保里祐子 坂田浩美 佐藤愛架 繁澤敬二 菅野康平
藍崎灯 辻本健大 丁載栄 長沼智也 水野隆宏
MLANG

第二原画:
田中基寛 大島由葵 中谷昴文 小沼由衣 森公太
長谷田晴香
 
スタジオリング
柿畑文乃
 
STUDIO CL

動画検査:髙橋千尋渡辺美佐

seesaawiki.jp