映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『白い砂のアクアトープ』第2話感想

『白い砂のアクアトープ』第2話「濡れるのも仕事のうち」

 

 

作品について

安藤真裕さんが絵コンテを切った。篠原俊哉監督と安藤真裕監督が一緒に作品を制作したのは、安藤真裕監督、ボンズ制作『赤髪の白雪姫』(2015)と岡田麿里監督・脚本、篠原俊哉副監督『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018)以来。『花咲くいろは』(2011)の篠原さんや『凪のあすから』(2013)の安藤さん*1のときのように、ローテーションで参加してくれるかな。これで『白い砂のアクアトープ』の演出面は確実に担保される。*2

篠原俊哉監督と辻󠄀充仁プロデューサーは、安藤真裕監督を『凪あす』に欠かせない存在と評している。

nagiasu.jp

太田知章さんが演出。PA作品でおなじみの演出家。

 

 

感想

お母さんと話す決心がつかない風花。やっとお母さんからの電話に出た。

年頃の娘と2日も連絡が取れなくなったから親は心配する。

内海紘子監督、ボンズ制作『SK∞ エスケーエイト』(2021)では、主人公の1人、ランガのお母さんは、息子が毎晩のように出歩いていることについて「夜な夜な抜け出してどこに行ってるやら」と同僚の看護師に話していた。男の子だからこその距離感。

films.hatenablog.com

女の子だったら気が気でないだろう。

 

サーターアンダーギー。沖縄のお菓子。おいしいよね。

おばあの手作り。紅芋が入っているから中身が緑色。

 

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blue hour ©projectティンガーラ

夕闇に包まれる前のほんの短い時間「ブルーアワー」。背景美術が美しい。

写真業界では"golden hour"と呼ぶが、映画業界では"magic hour"とも呼ぶ。そのうち日の出前、日の入り前の、空が濃い青色に染まる瞬間を"blue hour"と呼ぶ。

en.wikipedia.org

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夏凛はくくるやうどんちゃん(月美)のお姉さん。

占い師さんはうどんちゃん(月美)のお母さんだったのか。つまりうどんちゃん(月美)の家は母子家庭。第1話で風花に身の上話をしていた。

痛んだ水槽の備品交換に見積り300万円。

 

館長のおじいと飼育員のウミやん。おじいは館長の仕事で外回り。ぎっくり腰でお休み中ということは、ウミやんは年配かな?

初対面の人にも、誰に対してもローテンションな空也。実は女子が苦手。

お化粧やマニキュアや香水などは動物にとって毒になり得る。だからスタッフは禁止。

ウミやんの、私物の(自家製)焼酎入りアイス、

 

動物園などでも餌を工夫しているよね。ペンギンの餌は、冷凍のマアジを流水で解凍、ビタミン剤をエラに入れる。尻尾を持って、頭から食べさせる。

トラブルは、小さな子どものお客さんには受けていたけれど。

中途半端な覚悟の風花に、怒るくくる。失敗そのものに対して怒ったわけではない。生き物たちが大切だから。生き物たちを傷つけたら許さない、と。

風花は事前にトレーニングを受けたわけでもなく、いきなり本番だったので無理だった。

その風花はくくるの夢を知らないので仕方がないという側面はある。そんなくくるをフォローするため夏凛が風花にお話した。くくるはがまがま水族館を立て直すことに躍起で、新人スタッフの面倒を見てあげられるほど心に余裕がない。

おじいは今年の夏いっぱいで水族館を閉館して引退する予定。その日が、カレンダーに印がついていた2021年8月31日。

 

毎朝お供え物の魚を楽しみにしているらしいキジムナー。風花がメモを見ながら「まくとぅそーけー​、なんくるないさー」と唱えた後、すぐに祠から姿を現した。

 

ヤミ金融の一歩手前? 見積もりを取ってもらった業者の2人。株式会社崖渕興業。がけっぷち。

くくるからウェルカムボードに込めた真心のことを聞いていたので、壊した2人組に激怒した風花。

真摯に謝罪していればまだましだったのだが、「あいー、すみません。弁償しますよ。おいくらですかねー?」とへらへら笑いながら弁済の話を持ちかけたので、堪忍袋の緒が切れた。

ホースで水をかけて撃退したことで、塩をまくほど怒っていたくくるの気が晴れた。

 

空也はお酒好き。くくるのおばあの梅酒が好物。絡み酒、泥酔して記憶をなくす。

櫂はくくるに好意を持っている。夏休みは水族館の仕事を手伝う、と。

ゴーヤーチャンプルー

 

アイドルのことを打ち明けた風花。おばあちゃんに自分の姿を見せてあげられるラストチャンスだというルカの話を聞いて、センター候補を辞退した。ルカは気に病んでいるだろうね。自分のせいだと。重しに。

心が通い合ったくくると風花。

くくるの夢を風花が支える。

 

 

おもしろい。

 

 

演出

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傷ついた手、心を探る手 ©projectティンガーラ

手に焦点を当てた演出が多い。「手と手を取り合う」「意志を固める手」「働いている人の手」「怪我をした手」「揉み手」など。「夢を諦めたけれど、他の人の夢を応援する」というテーマにそったモチーフ。

サーターアンダーギーを受け取る手」「さやえんどうをむく手」。

 

動物がよく出てくる。水族館の生き物だけではなく、猫や鳥なども。水島努監督『SHIROBAKO』(2014)で猫や馬の作画について描かれていたけれど、動物の作画は難しい。上手いアニメーター、信頼できるアニメーターが大勢いないと、こんな演出はできない。P.A.WORKSがアニメーターを育ててきたことが、このようなアニメを制作できるという企画の判断の根拠になっているのだろう。

 

「何でもー?」「ほんとにー?」と風花に詰め寄るくくるの表情芝居。ごはん屋カメーで「この夏は仕事するぞー!」と叫ぶお芝居。安藤真裕さんの絵コンテだとわかると、ああなるほどと感じる。『花咲くいろは』や、安藤真裕監督、塚田拓郎監督、岡田麿里さん原作・脚本、Lay-duce制作『荒ぶる季節の乙女どもよ。』(2019)などの表情芝居は、絵コンテで描かれていたキャラクターの表情をアニメーターが汲み取って作画したそうだ。関口可奈味さんか石井百合子さんが、『花咲くいろは』のBD特典ブックレットか何かで語っていた。『花いろ』で巴さんが怒りながら喜翆荘の螺旋階段を上がるシーンや、『荒乙』第12話での曾根崎先輩の表情とか。安藤真裕監督による絵コンテが掲載されていた。

 

 


TVアニメ『白い砂のアクアトープ』ノンクレジットOP / ARCANA PROJECT「たゆたえ、七色」

VFXできらきらさせている。10GAUGEの依田伸隆さんがOPディレクター。様々な作品でPV、CM、OP/ED、MVなどを手掛けている。作画さんや制作さんを擁しているアニメ制作会社ではないが、アニメ業界で勢いのある会社。

エンディングアニメーションは篠原俊哉監督。『凪のあすから』のEDと同様に幻想的な映像。

 

第1話のエンディングアニメーションが特殊EDであることは予想できた。安藤真裕監督『天狼 Sirius the Jaeger』(2018)や篠原俊哉監督『色づく世界の明日から』(2018)でも、第1話は10GAUGEによる特殊EDだった。『白い砂のアクアトープ』第1話EDは、やっていることはシンプルだけど、手間がかかっている。

 

 

Blu-ray Disc

 

 

 

CD

 

 

 

 

キャスト

海咲野くくる:伊藤美来
宮沢風花:逢田梨香子
照屋月美:和氣あず未
久高夏凛:Lynn
仲村 櫂:土屋神葉
屋嘉間志空也阿座上洋平
おじい:家中宏
おばあ:定岡小百合
宮沢絵里:園崎未恵
照屋さつき:儀武ゆう子
城居ルカ:菊池紗矢香
マネージャー:前田玲奈

 

 

第2話スタッフ

脚本:柿原優子
画コンテ:安藤真裕
演出:太田知章

総作画監督:秋山有希
作画監督:宮崎司、中山みゆき、井上裕亮

原画:
 P.A.WORKS
 三好有香 天野和子 川邉あや
 塩川友哉

 大東百合恵 冨田真理 中山みゆき
 林怡君 島田千裕 佐野勝
 月岡英明 蓮田ひろき

第二原画:
 P.A.WORKS
 三宮哲太 矢野康平 鈴木菜々美
 岡田夏実 小林瑞季

 菊地智子

 中村プロダクション J-CUBE 月面

動画検査:室賀由起子(P.A.WORKS)

動画:
 P.A.WORKS
 藤嶋未央 髙田友美 茶山咲良

 DRMOVIE
 Min Hong-yi Park Hyeon-ju Yoon Eun-joo
 Lee So-yeong Gong Jin Lee Seon-mi
 Kim Boo-kyung Son Yeong-ju Anh Mi-gyeong
 Kim Kwan-woo Jung Ju-ri Cho Chae-won
 Choi Mi-na Lee Mi-ok Heo Young-jin
 Ko Jin-ju Jang Sun-hye Choi Eun-ju
 Jang Hee-doek Lee You-jin Yi Min-kyoung
 Kim Young-won Lee Eun-bin Lee Da-young

 Jeon Hae-jin Jang Chul-ho

動仕管理:Kim Seok-jeong
翻訳:Moon Seong-ha

色指定:門松諭生(ステラ・ロード)
仕上げ検査:菊池慶翔(ステラ・ロード)

仕上げ:
 ステラ・ロード
 遠藤花歩 江口亜紗美 永井唯香
 奥智恵 新井理恵 大場昭子

 DRMOVIE
 Yoo Young-hye Park Se-na Jung Su-hyun
 Kim A-jin Kim Min-lee Park One-jung
 Hwang Seong-kyeong Lim Jung-a Kim Min-ju
 Kim Ok-hee Jung su-young Choi So-ri
 Lee Eun-jeong Jo Ye-jin Kwon Min-kyoung
 Kim Min-one

 Lee Jin-hee   Lim Jeong-a

 D-COLORS
 橋本千春 鴨井さつき 山崎あかね
 圓次美和 角下瑞絵 那須彩香
 小暮将大

 J-CUBE

背景:
 スタジオ・イースター
 朝倉大智 坂下祐太 石川真理
 曽根原理恵 片岡乃梨子 妹尾想
 秋山慎太郎 志村美幸 平田卓也
 田中伸哉 小浦未来 牧岡聡
 岩田百代 楊梦龍 鈴木くるみ

撮影:
 T2studio
 並木智 梶原幸代
 朝日康平

3DCG:
 P.A.WORKS
 林誠一郎 郭超儀 田口優香
 川上真菜美 市川元成

3Dモデリング
 P.A.WORKS
 井上佑紀 大野陽生 森重柚香
 郭超儀 川上真菜美 田口優香
 伊東大毅 林誠一郎 鈴木晴輝
 市川元成

 T2studio
 武川佳史 日塔友恵 秋元央

 バイブリーアニメーションCG
 箕輪綾二 菊地学 河野真一朗
 李植 原品貴好

 株式会社 Marco
 小川耕平 Pan Xiaofeng

 IKIF+.inc
 佐藤良樹 渡部里奈

Special Effects:村上寿美江

担当制作:山下知晃、園部怜司

 

 

オープニングアニメーションスタッフ

OPディレクター・画コンテ:依田伸隆(10GAUGE)
演出:太田知章

総作画監督:秋山有希
作画監督:宮崎司、小島明日香、水野紗世、井上裕亮

原画:
 P.A.WORKS
 天野和子 三宮哲太 西澤皓人
 矢野康平 渡辺志歩紀 岡田夏実
 米本えり 三好有香 鈴木奈々
 柳原一義 飯沼篤哉 田邊有紀
 松宮杏実 塩川友哉 田中未来
 川邉あや 小林瑞季 宮尾拓明

動画検査:
 P.A.WORKS
 白敷桃子 髙田友美 藤嶋未央

動画:
 IRO animation

色指定・仕上げ検査:中野尚美(ステラ・ロード)

仕上げ:
 ステラ・ロード
 越田侑子 遠藤花歩 江口亜紗美
 菊地慶翔 永井唯香 奥智恵
 新井理恵 大場昭子

背景:
 スタジオ・イースター
 神山瑶子 曽根原理恵 干場佳織
 秋山慎太郎 妹尾想 朝倉大智
 鈴木くるみ

撮影:
 10GAUGE
 松木大祐 小林敦史 泉香織

3DCG:
 P.A.WORKS
 森重柚香 伊東大毅

担当制作:城村輝

 

 

エンディングアニメーションスタッフ

画コンテ・演出:篠原俊哉

原画:三宮哲太

動画:藤嶋未央

色指定・検査・彩色:中野尚美(ステラ・ロード)

背景:鈴木くるみ

撮影:朝日康平、兼久卓

3DCG:郭超儀

担当制作:野久楓

 

 

メインスタッフ

原作:projectティンガーラ
監督:篠原俊哉
シリーズ構成:柿原優子
キャラクター原案:U35
キャラクターデザイン・総作画監督:秋山有希
生きもの設定・サブキャラクターデザイン:牧野博美
プロップ設定:宮岡真弓
色彩設計:中野尚美
美術監督:鈴木くるみ
美術監修:東潤一
美術設定:塩澤良憲
撮影監督:並木智
撮影監督補佐:朝日康平
2D works:村上瞭
3D監督:鈴木晴輝
特殊効果:村上正博、村上寿美江
編集:髙橋歩
音響監督・整音:山田陽
音響効果:山谷尚人
録音:松下春香
音楽:出羽良彰
音楽プロデューサー:臼倉竜太郎
音楽A&R:吉池真由美
音楽制作:ランティス
方言監修:儀武ゆう子
水族館監修:魚津水族館
水族館取材協力:足立区生物館、サンシャイン水族館しながわ水族館、DMM かりゆし水族館、横浜・八景島シーパラダイス
協力:一般社団法人 南城市観光協会
企画:鶴田直一、安藤卓、櫻井優香、辻󠄀充仁、横沢隆、金子広孝、前田吉輝、小川泰
製作:町隆幸、白石俊博、吉江輝成、堀川憲司、篠崎文彦、伊藤幸弘
プロデューサー:藤野麻耶、山口慶、臼倉竜太郎、仲村直人、尾形光広、齋藤宙央、岩佐貴博、大森慎司
プロデュース:infinite、永谷敬之、茂山愛保、浜辺恵那
アシスタントプロデューサー:池亀彩加、池田智和、片山怜子
ラインプロデューサー:橋本真英
制作デスク:小西翼
設定制作:舘彩華
アニメーション制作:P.A.WORKS
製作:「白い砂のアクアトープ」製作者委員会(DMM pictures、フォアキャスト・コミュニケーションズバンダイナムコアーツ、ピーエーワークス角川メディアハウスTOKYO MX、AQUA ARIS、BSフジ)

*1:安藤真裕監督が『凪のあすから』本編は第8話からの参加だったのは、『絶園のテンペスト』(2012)を監督していたのと『凪あす』第1クールOPの絵コンテ・演出をしていたから。

*2:P.A.WORKSの演出は盤石と言いたいけれど心配事もある。許琮さんや菅沼芙実彦さんという、主力の演出家たちが外部で仕事を始めたようだから。