映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『葬送のフリーレン』第1話感想

『葬送のフリーレン』TVSP「旅立ちの章」
第1話「冒険の終わり」
第2話「別に魔法じゃなくたって…」
第3話「人を殺す魔法」
第4話「魂の眠る地」

 

 

作品について

山田鐘人さん原作、アベツカサさん作画の少年漫画が原作。

 

frieren-anime.jp

斎藤圭一郎監督。『ACCA13区監察課 Regards』(2020)を夏目真悟監督と共同で監督(初監督)。『ぼっち・ざ・ろっく!』(2022)の監督(山本ゆうすけ副監督)。

鈴木智尋さんがシリーズ構成・脚本。『ワンパンマン』シリーズ(2015,2019)、『ACCA13区監察課』シリーズ(2017,2020)のシリーズ構成・脚本。

長澤礼子さんがキャラクターデザイン・総作画監督。『takt op. Destiny』(2021)のキャラクターデザイン・総作画監督

岩澤亨さんがアクションディレクター。『takt op. Destiny』(2021)のアクションディレクター。

福士裕一郎さんがアニメーションプロデューサー。『ワンパンマン』第1期(2015)、『ACCA13区監察課』シリーズ(2017,2020)、『Sonny Boy』(2021)、『takt op. Destiny』(2021)などのアニメーションプロデューサー。

中目貴史さんがアニメーションプロデューサー。新海誠監督『君の名は。』(2016)の制作デスク。

マッドハウスがアニメーション制作。

 

連続2クール。

 

 

感想

おもしろい。

フリーレンが愛を知る物語。

長命種のエルフと人間の関係。岡田麿里さんは、篠原俊哉監督『凪のあすから』(2013)や、自分の監督作品『さよならの朝に約束の花をかざろう』(2018)(篠原俊哉副監督)でテーマに書いていた。

films.hatenablog.com

2時間枠の第1話だから尺に余裕がある。テンポやpacingがゆったりしている。キリのいいところまで話を進めるために、1話数に詰め込みすぎていない。そのため話に余韻を持たせた演出になっている。倍速やスキップ視聴、ファスト動画などタイパ主義の人には理解できないだろう。「間」の演出というものを。

第1話は4つのパートに分けて制作したようだ。絵コンテ、演出、作画監督はパートごとに1人ずつ。

だから2時間の長編映画という印象を受けなかったのか。あくまで30枠テレビシリーズを4話分連続放送しただけ。

長澤礼子さんは『takt op. Destiny』ではシャープな線の絵柄だったけれど、『葬送のフリーレン』では柔らかい線の絵柄だね。

日常芝居が上手い。アクション作画よりも難しいのが日常芝居。アクション作画はコツを掴めば、手癖でも見栄えのする派手な絵を描けるようになる。アニメの嘘がつきやすい。人間の動きは皆見慣れているので、下手な動きは目立つ。日常芝居は嘘をつけない。

背景美術もいいね。新海誠監督作品に代表されるようなフォトリアルな美術ではないので、美術が微妙と思う人がいるようだがそれはアニメ美術の価値を理解できないだけ。作品世界を魅力的に見せるための巧みな背景美術。

撮影処理は派手にかけていない。作画によるキャラクターの芝居に自信があるからこそなせる業。作画が微妙なときは撮影処理で誤魔化す、というのがアニメ制作あるある。

劇伴も素晴らしい。Evan Call。初回2時間スペシャルはフィルムスコアリングで制作したそうだ。映画音楽は編集したラフカットに合わせて作曲する。テレビシリーズでは、作曲家と音響監督と監督が打ち合わせ、音楽メニューをもとに数十曲を短期間で制作する。ダビング工程で、音響監督または選曲担当者、あるいは各話演出家や監督が劇伴を選び、映像に合わせて音楽編集する。ごくまれにテレビアニメでフィルムスコアリングを行う作品がある。

crea.bunshun.jp

 

葬送行進曲というジャンルがある。葬儀の際に演奏することを想定して書かれた、ゆったりした行進曲。

ヘンデルモーツァルトベートーヴェンショパンベルリオーズメンデルスゾーン、グノー、ワーグナーグリーグマーラーフォーレエルガーブリテンショスタコーヴィチなどの音楽が知られている。

イギリスの前女王エリザベス2世の国葬で葬列と共に棺を移動させるイメージ。


Queen Elizabeth II Funeral: royal family say final goodbye

 

 

余談

kinro.ntv.co.jp

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第1話を2時間スペシャルとして『金曜ロードショー』で放送。異例の措置。

第2話以降はアニメ枠『FRIDAY ANIME NIGHT』を新設して放送。15年続く『アナザースカイ』を土曜夜に移動させてアニメ枠を新設した。

芸能人を毎回ゲストに呼んで制作する番組を移動させる。しかもアニメのために。放送業界では珍しい。

金曜ロードショー』での放送は日本テレビの提案だったらしい。

mantan-web.jp

それだけ日本テレビが力を入れている。

日本テレビのプロデューサー岩佐直樹さんは以前『金曜ロードショー』のプロデューサーだった。アニメのプロデューサーとしての経験は豊富。

共同企画でクレジットされている佐藤貴博さんは、日本テレビの映画事業部に所属していた実写映画プロデューサーだった。アニメを担当するのは初めて。

dime.jp

「企画」やそれに類するクレジットは製作委員会への出資を決裁した人につける肩書きで、実際に企画を立て企画書を書いた人という意味ではない。

 

2000年代以降、多くのテレビ局は視聴率が取れないからという理由で、地上波プライムタイムからアニメを切り捨ててきた。そのおかげで日本アニメは、テレビ局、映画会社、広告代理店、ナショナルスポンサー、芸能事務所などの魑魅魍魎に足を引っ張られず、成功している。

日本アニメが儲かるとわかり、テレビ局や広告代理店などがすり寄ってきた。テレビ局や広告代理店のアニメ製作部署は以前から製作委員会に出資しているが、それ以外の部署が媚を売り始めた。

懸念される悪影響は、宣伝目的の芸能人ゴリ押し下手くそキャスティング。アニメ映画はすでに宣伝目的芸能人キャスティングに汚染されている。洋画吹き替えも宣伝目的芸能人キャスティングに汚染されている。

トイ・ストーリー』はプロの声優で吹き替えを収録したのに、公開直前になって芸能人キャスティングが発表された。結果的に『トイ・ストーリー』は出来がよく大成功した。

キャスティングする側である配給会社、広告代理店、芸能事務所は金勘定しか考えていない。いいものを作る気がない。もし芸能事務所への忖度がなければ、下手くそ芸能人を更迭できるはずだ。プロの声優から交代させたように。実際は、起用した芸能人が下手でも公開を強行している。利権まみれの芸能村だから。話題性が最優先で質は無視。

ウォルト・ディズニー・ジャパンは、宣伝目的芸能人キャスティングの結果、出演者の犯罪で何作品も吹き替えを作り直している。『アラジン』『アナと雪の女王』『ジャングル・ブック』など。『インクレディブル・ファミリー』のプロ野球選手も更迭かな。それでも懲りずに宣伝目的芸能人キャスティングを続けている。

ポケットモンスター』は芸能人の犯罪のせいで短編映画と主題歌が再公開不可になった。

鬼滅の刃』『呪術廻戦』『SPY×FAMILY』などは、今のところ芸能村の魑魅魍魎による介入を避けられている。

 

 

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キャスト

フリーレン:種﨑敦美
フェルン:市ノ瀬加那
シュタルク:小林千晃
ヒンメル:岡本信彦
ハイター:東地宏樹
アイゼン:上田燿司
クヴァール:安元洋貴
フランメ:田中敦子

 

 

各話スタッフ

2時間スペシャル「旅立ちの章」

脚本:鈴木智
絵コンテ:斎藤圭一郎、北川朋哉、原科大樹、川尻善昭
演出:辻彩夏、北川朋哉、原科大樹、松井健人

総作画監督:長澤礼子
作画監督:長澤礼子、簑島綾香、原科大樹、辻彩夏

 

第1話「冒険の終わり」
脚本:鈴木智
絵コンテ:斎藤圭一郎
演出:辻彩夏
作画監督:長澤礼子

第2話「別に魔法じゃなくたって…」
脚本:鈴木智
絵コンテ・演出:北川朋哉
総作画監督:長澤礼子
作画監督:簑島綾香

第3話「人を殺す魔法」
脚本:鈴木智
絵コンテ・演出:原科大樹
総作画監督:長澤礼子
作画監督:原科大樹

第4話「魂の眠る地」
脚本:鈴木智
絵コンテ:川尻善昭
演出:松井健人
総作画監督:長澤礼子
作画監督:辻彩夏

 

 

メインスタッフ

原作:山田鐘人、アベツカサ
監督:斎藤圭一郎
シリーズ構成:鈴木智
キャラクターデザイン・総作画監督:長澤礼子
コンセプトアート:吉岡誠子
魔物デザイン:原科大樹
アクションディレクター:岩澤亨
デザインワークス:簑島綾香、山﨑絵美、とだま。、長坂慶太、亀澤蘭、松村佳子、高瀬丸
色彩設計:大野春恵
美術監督:高木佐和子
美術設定:杉山晋史
3DCGディレクター:廣住茂徳
撮影監督:伏原あかね
編集:木村佳史子
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
音楽:Evan Call
音楽プロデューサー:有馬由衣
音楽ディレクター:池田貴博
音楽制作:東宝ミュージック、ミラクル・バス
プロデューサー:田口翔一朗、四竈泰介、岩佐直樹、田口亜有理、伊藤悠公、青木遥、菊池瑠梨子
アニメーションプロデューサー:福士裕一郎、中目貴史
アニメーション制作:マッドハウス
製作:「葬送のフリーレン」製作委員会

 

企画:大田圭二、沢辺伸政
共同企画:佐藤貴博、田代早苗、佐藤龍伸、三宅将典、東山敦
エグゼクティブプロデューサー:山中一孝、備前島幹人
チーフプロデューサー:高橋敦司、武井克弘
アソシエイトプロデューサー:竹田晃洋、野呂瀬友里、平原唯灯、浅原桃子
原作協力:「週刊少年サンデー」編集部、大嶋一範、小倉功雅、芳仲宏暢