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『わたしの幸せな結婚』第6話感想

『わたしの幸せな結婚』第6話「決意と雷鳴」

 

 

作品について

顎木あくみさんの小説が原作。

 

watakon-anime.com

久保田雄大さんが監督。ショートアニメ『いたずらぐまのグル〜ミ〜』(2021)の監督。MVは2本の監督経験がある。あおきえい監督『ID: INVADED』(2020)の副監督。

阿保孝雄さんが設定・監修。『NORN9 ノルン+ノネット』(2016)の監督(市村徹夫副監督)。

佐藤亜美さん、大西雄仁さん、豊田百香さんが連名でシリーズ構成・脚本。3人とも初シリーズ構成。

森本浩二さんが脚本開発協力。バンダイビジュアル株式会社取締役、株式会社エモーション代表取締役社長を歴任したプロデューサー。

安田祥子さんがキャラクターデザイン・総作画監督。草川啓造総監督、長山延好監督『ハッピーシュガーライフ』(2018)のキャラクターデザイン・総作画監督

小笠原宗紀さんがシニアアニメーションプロデューサー。キネマシトラスの創業者、代表取締役会長。

キネマシトラスがアニメーション制作。

 

 

感想

鏡の使い方が印象的だった。鏡に映る姿はその人の本心を表す。

3つに割れた鏡のそれぞれに美世の顔が映る。美世の心を映し出す演出。

また美世が囚われていることを、鏡で強調する意味もある。

撮影時に美世の顔を縮小して鏡に貼り込むので、あまり手間をかけずに大きな効果を得ることができる。

継母の香乃子に蹴られた際に、鏡のかけらが1枚落ちる。美世の精神が削られているメタファー。

残った鏡に過去回想を映す。

意識が戻った美世が清霞とゆり江さんに再会し、空を見上げる美世が姿見に映る。

割れた鏡と綺麗な鏡の対比。

 

香耶に清霞から貰った着物を切ると脅された美世を、蔵の奥から覗き込むような構図で描いている。蔵の柱と置かれた品々で美世が囲まれており、美世が追いつめられていることを顕著に表している。フレーム内フレームの構図。

清霞に見つかった香耶が言い訳を始めると、清霞と美世の身体で作られた三角形に香耶が歩いて入り込む。フレーム内フレームの構図。香耶も精神的な囚われ人。香耶もある意味では両親の被害者。

「君なんかでも死んだら美世は悲しむ。また傷を増やすことになるんだ。君の、いや僕たちのせいで」という幸次の言葉とともに、梁と垂れ下がる縄を映す。美世を苦しめたもの(者・物)の象徴として描かれている。

香乃子と香耶は身体的虐待と精神的虐待の両方。香乃子と真一はネグレクト。実の父親である真一から見捨てられたのが、精神的に一番つらいのではないか。

幸次は虐待されている美世を傍観していただけ。自分は無力なので美世のために何もできないと思っていたのだろうけれど、美世は知る由もないので、助けてくれなかった人と美世に認識されている。キャラメルのプレゼントは救いにはならない。

美世救出でようやく、情けない無力な自分から抜け出せた。香耶を支えることができればいいのだが。

 

蔵は、美世が継母から閉じ込められ最初に虐待を受けた場所であり、美世の苦しみの象徴。そこから清霞に救い出されたことで過去と決別したというメタファー。同じ場所を使った対比の演出。

美世が自分で歩いて蔵や屋敷から出ていけば、より効果的だったけれど。

 

桐紋があしらわれている御簾の中に鎮座する「陛下」と呼ばれる存在。みなまで言うな、ということ。キャストクレジットでは「今上帝」。

御簾には朱雀あるいは鳳凰も描かれている。

 

第6話の絵コンテ・演出は小出卓史さん。入江泰浩監督『灼熱の卓球娘』(2016)の卓球や、古川知宏監督『少女☆歌劇 レヴュースタァライト』シリーズ(2018-2021)のアクションたっぷりのレヴューを手掛けたことで知られている。

それらの動の演出に対し、『わたしの幸せな結婚』では静の演出で魅せた。

小出卓史さんが投稿した絵コンテに、上で言及した蔵の中のフレーム内フレーム構図カットがある。

 

作画監督のクレジットは谷紫織さんと5人の間に隙間があるので、谷紫織さんがメインの作画監督で大部分のカットを見て、他5人がヘルプ作画監督という意味だろう。

田中宏紀さんの作画監督と原画は、雷や炎のエフェクト作画かな?

 

 

CD

 

 

Blu-ray Disc

 

 

キャスト

斎森美世:上田麗奈
久堂清霞:石川界人
斎森香耶:佐倉綾音
辰石幸次:西山宏太朗
五道佳斗:下野紘
ゆり江:桑島法子
鶴木 新:木村良平
辰石一志:深町寿成
堯人:石田彰
斎森香乃子:植田佳奈
斎森真一:家中宏
辰石実:堀内賢雄
花:能登麻美子
桂子:久保田民絵

 

 

第6話スタッフ

脚本:大西雄仁
絵コンテ・演出:小出卓史

総作画監督:伊藤晋之
作画監督:谷紫織、大津りか、北原安鶴紗、佐藤ひかる、田中宏紀、渡辺志歩紀

動画検査:佐藤陽将
色指定・検査:松本麻衣

 

 

メインスタッフ

原作:顎木あくみ
原作イラスト:月岡月穂
監督:久保田雄大
設定・監修:阿保孝雄
シリーズ構成・脚本:佐藤亜美、大西雄仁、豊田百香
脚本開発協力:森本浩二
キャラクターデザイン:安田祥子
総作画監督安田祥子、伊藤晋之
プロップデザイン:高倉武史、ヒラタリョウ、みき尾
着物デザイン:HALKA
色彩設計:岡松杏奈
美術監督:片野坂恵美
美術監修:増山修
美術設定:菱沼由典、曽野由大、吉﨑正樹
撮影監督:江間常高
3DCG監督:越田祐史
編集:黒澤雅之
音響監督:小泉紀介
音響効果:鋤柄務
音楽:Evan Call
音楽スーパーバイザー:池田貴博
音楽制作:ミラクル・バス
音楽制作協力:キネマシトラスKADOKAWA
プロデューサー:笠原周造、吉岡拓也、小木曽正泰、小松翔太、木村学、平田秀夫
シニアアニメーションプロデューサー:小笠原宗紀
制作担当:石川祥気、市川泰
アシスタントプロデューサー:森山菜月
アニメーション制作:キネマシトラス
製作:「わたしの幸せな結婚」製作委員会