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『RRR』感想

『RRR』
原題(テルグ語):"రౌద్రం రణం రుధిరం"
英語題名:"RRR" or "Rise Roar Revolt"
製作年:2022年
製作国:インド
言語:テルグ語、英語
公開日:2022年3月25日

 

 

作品について

S・S・ラージャマウリ監督。

叙事詩的アクション・ドラマ映画。

 

 

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RRR

 

 

感想

おもしろい。いい映画。

実在の革命指導者コムラム・ビームと革命家アッルーリ・シータラーマ・ラージュの友情と対立、そして大英帝国との戦いを描いたフィクション。

谷口悟朗監督、村田和也副監督、大河内一楼さんシリーズ構成、吉野弘幸さん副シリーズ構成、大河内一楼さん谷口悟朗さんストーリー原案『コードギアス 反逆のルルーシュ』シリーズ(2006-2008)の、祖国ブリタニアに反逆する元第11皇子ルルーシュランペルージと、軍人として帝国の中から変えようとする枢木スザクの関係をほうふつとさせる。

ラーマ・ラージュはインド帝国警察(Indian Imperial Police)の警察官という設定。インド人でありながら大英帝国の側について忠実に職務に励むが、実は面従腹背で、大いなる計画を進めている。

1984年』『動物農場』で知られる小説家ジョージ・オーウェルは、20代のときインド帝国警察に勤務していた。警部補(Assistant District Superintendent)として5年半勤めたのち、除隊した。「帝国の汚れ仕事」に間近で触れていたことが、その後の人生や創作に多大な影響を与えたと語っている。

 

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S・S・ラージャマウリ監督の『マッキー』(2012)は現代インド、『バーフバリ』シリーズは神話時代のインド、『RRR』(2022)は20世紀前半のインドが舞台。それぞれ異なる作風。

インド人が自国で製作した映画なので気にされないが、もしアメリカやイギリスなどで白人が製作したら「白人の救世主(white savior)」と見なされる描写がいくつかある。

 

言葉が通じないが故のロマンティックコメディ。ジェニーが「奥様と呼ばないで。ジェニーよ」("Don't call me madam. It's just Jenny, yes?")と言ったのを、長い名前だと勘違いしていた。

ジェニーは、マッリが総督公邸に幽閉されていることをビームが知る手がかりとして、またビームがラーマを救出する手助けとしての役割が与えられている。物語的にも時代的にも、主人公の恋愛対象としての描写が薄いのは仕方ないのかもしれない。

 

幼少期のラーマを演じたヴァルン・ブッダデーヴが可愛い。

難しい役を演じ切った。村人たちを守るために大勢の敵を殺し、目の前で母と弟が殺されるのを目撃し、そして降伏したふりの父の自爆によって敵を全滅させるため爆弾を隠し持つ父を殺す。

 

『バーフバリ』シリーズでも感じたが、S・S・ラージャマウリ監督とK・K・センティル・クマール撮影監督は空間を広く使って演出するね。

終盤の戦いは、フランシス・フォード・コッポラ監督・製作『地獄の黙示録』(1979)を思い浮かべた。

コムラム・ビームの初登場シーンは、ジョン・ファヴロー監督・製作『ジャングル・ブック』(2016)の本家という印象を受けた。原作者ラドヤード・キプリングイギリス領インド帝国で生まれ育ち、インドが舞台の小説を書いた。

ジャングル・ブック』(2016)でアカデミー賞英国アカデミー賞、視覚効果協会賞などを受賞した、Moving Picture Company (MPC) がVFX制作で参加している。同じくロンドンにある Framestore、アメリカの Digital Domain、2020年7月に解散したアメリカの Rhythm & Hues Studios が参加している。

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総督の血が、王冠と "The sun never sets on the English Empire" を汚す。

総督一家を殺害し、大英帝国軍を壊滅させたので、ビームとラーマたちはテロリストとして大英帝国から狩られることになる。

史実では2人とも志半ばで倒れたが、彼らの遺志を受け継いだ人たちによって独立運動が続いていく。

1947年8月15日、インドがイギリスからインド連邦として独立した。1950年1月26日にインド共和国になった。

 

拷問など暴力表現が多い。日本でのレイティングはG指定。PG12指定どころか、R15+指定でもいいような気がする。

 

 

キャスト

コムラム・ビーム - N・T・ラーマ・ラオ・ジュニア(杉田智和)
A・ラーマ・ラージュ - ラーム・チャラン(日野聡)
幼少期のラーマ - ヴァルン・ブッダデーヴ(田所あずさ)
ヴェンカタ・ラーマ・ラージュ - アジャイ・デーヴガン(早川毅)
シータ - アーリヤー・バット(久保ユリカ)
幼少期のシータ - スパンダン・チャトゥルヴェーディー
サロージニ - シュリヤ・サラン
ヴェンカテシュワルル - サムドラカニ(中村和正)
スコット・バクストン総督 - レイ・スティーヴンソン(野島昭生)
キャサリン・バクストン総督夫人 - アリソン・ドゥーディ(今泉葉子)
ジェニファー(ジェニー) - オリヴィア・モリス(内田真礼)
ジャング - チャトラパティ・セーカル
ペッダイヤ - マカランド・デシュパンデ(峰晃弘)
ヴェンカット・アヴァダニ - ラジーヴ・カナカーラ
ラッチュ - ラーフル・ラーマクリシュナ(竜門睦月)
エドワード - エドワード・ソネンブリック(峰晃弘)
ロキ - アーマリーン・アンジュム(上絛千尋)
マッリ - トゥインクル・シャルマ(田所あずさ)
チンナ - チャクリー
ジェイク - エドゥアルド・ブハク(峰晃弘)
「Etthara Jenda」シーン登場 - S・S・ラージャマウリ(特別出演)

 

日本語字幕版
翻訳:藤井美佳
テルグ語監修:山田桂子

日本語吹替版
演出:市来満
翻訳:橋本有香里

 

 

スタッフ

監督:S・S・ラージャマウリ(S.S. Rajamouli)
共同監督:Thrikoti Peta
脚本:S・S・ラージャマウリ(S.S. Rajamouli)
台詞:サーイ・マーダヴ・ブッラー(Sai Madhav Burra)
原案:K・V・ヴィジャエーンドラ・プラサード(K.V. Vijayendra Prasad)
製作:D・V・V・ダナイヤー(D.V.V. Danayya)
撮影監督:K・K・センティル・クマール(K.K. Senthil Kumar)
プロダクションデザイン:Sabu Cyril
編集:A・スリーカル・プラサード(A. Sreekar Prasad)
音楽:M・M・キーラヴァーニ(M.M. Keeravani)
衣装デザイン:Rama Rajamouli
視覚効果スーパーバイザー:V. Srinivas Mohan
製作会社:DVV Entertainment
配給:Pen Studios (North India), Lyca Productions (Tamil Nadu), KVN Productions (Karnataka), HR Pictures (Kerala)

配給(日本):ツイン (2022年10月21日公開)