『薬屋のひとりごと』第4話「恫喝」
作品について
感想
おもしろい。
巧みな日常芝居に裏打ちされた繊細な演出。
食事は生死を司る。料理、食事、毒見などの日常描写を丁寧に描くことで、愛する子どもを死なせてしまった罪悪感から自暴自棄になっていた梨花妃が、立ち直り生きることを選択したことを印象付ける演出。
謹慎が解けた侍女に、起きてすぐに水が欲しいと言う。口に入れるものを望むということは、あなたを信頼しているというメッセージ。だから侍女は涙を流した。台詞1つでそれを描く演出。
梨花妃は玉葉妃への嫉妬心から玉葉妃の言葉を無視し、愛する子どもを死なせてしまった。
梨花妃の侍女は、白粉の危険性を聞いてはいたが理解しておらず、良かれと思って梨花妃にお化粧をしていた。だから梨花妃はずっと体調が悪化していた。
猫猫が激怒。
「やって、しまった」と気づいた猫猫はじりじりと横に逃げている。
第4話では前3話を凌駕している。
猫猫や小蘭の食事の動きが上手い。人間の動きは緩やかな曲線の軌道を描く。
猫猫が梨花妃の口に重湯を流し込むと、梨花妃ののどが上下して飲み込む。
高順からもらった饅頭を喜んで食べる。
食事の描写の上手さに関しては、宮崎駿監督が知られている。宮崎駿監督作品では、『ルパン三世 カリオストロの城』(1979)でのルパンと次元のコミカルな動きなど、結構デフォルメしていることもある。
梨花妃が子どもの手に愛おしく触れる。壊れそうなほど小さな手をそっと触ると、赤ちゃんも無意識に反応してお母さんの指を握る。この1カットだけで、梨花妃が子どもをいかに愛していたかを物語っている。
元気になった梨花妃が、疲れ切って眠る猫猫の髪を優しくなでていたのは、二度と叶わない夢を思いながらだったのかもしれない。亡き我が子と過ごした短い時間を回想するとき、自分の手を見つめていた。
布の動きを、数本の線で表現している。
アニメーションにおいて、アニメーターは絵の役者、声優は声の役者。アニメーターもキャラクターの心情に沿って演技をする。
人間の身体の動きをよく観察し、それを絵に描き起こしているということ。
スタジオジブリ作品のドキュメンタリーなどでも、宮崎駿監督も高畑勲監督も、観察しなさいとよく言っている。
ちなさんが絵コンテ・演出、もああんさんが作画監督。道理で。
しかも原画を7人で全カット描いている。第二原画もすべて自分たちで。
現在のアニメ制作ではスケジュールの都合で、レイアウト及びラフ原画を描く人と、ラフ原画を清書して完成させる人が分かれている。
少人数の作画監督と原画マンで作り上げるには、制作スタッフをはじめ多くの人たちの協力が必要。いいフィルムを作るために、多くの人たちが頑張ったという証。
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キャスト
猫猫(マオマオ):悠木碧
壬氏(ジンシ):大塚剛央
高順(ガオシュン):小西克幸
玉葉妃(ギョクヨウ):種﨑敦美
梨花妃(リファ):石川由依
里樹妃(リーシュ):木野日菜
阿多妃(アードゥオ):甲斐田裕子
小蘭(シャオラン):久野美咲
紅娘(ホンニャン):豊口めぐみ
桜花(インファ):引坂理絵
貴園(グイエン):田中貴子
愛藍(アイラン):石井未紗
梅梅(メイメイ):潘めぐみ
白鈴(パイリン):小清水亜美
女華(ジョカ):七海ひろき
やり手婆:斉藤貴美子
漢羅門(カン・ルォメン):家中宏
李白(リハク):赤羽根健治
やぶ医者:かぬか光明
ナレーション:島本須美
第4話スタッフ
脚本:柿原優子
絵コンテ・演出:ちな
原画
ミャン MYOUN
jiseo 渡部さくら
杉山圭吾 DDASANG
Ori
メインスタッフ
原作:日向夏
キャラクター原案:しのとうこ
監督・シリーズ構成:長沼範裕
副監督:筆坂明規
シナリオ統括:柿原優子
キャラクターデザイン:中谷友紀子
サブキャラクターデザイン:長森佳容、宮井加奈
プロップデザイン:ヒラタリョウ、みき尾
色彩設計:相田美里
美術監督:髙尾克己
撮影監督:石黒瑠美
CGIディレクター:永井有
2Dデザインワークス:南條楊輔
編集:今井大介
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
音楽:神前暁、Kevin Penkin、桶狭間ありさ
音楽プロデューサー:小林健樹
劇中音楽制作:東宝ミュージック
エグゼクティブプロデューサー:山中一孝
チーフプロデューサー:高橋敦司、武井克弘
プロデューサー:菱山光輝、平原唯灯、川村文、森下勝司、武藤大司、岡本順哉、藤村智子
アニメーションプロデューサー:稲垣敬文、正田聡史
アニメーション制作:TOHO animation STUDIO×OLM
製作:「薬屋のひとりごと」製作委員会(東宝、日本テレビ放送網、イマジカインフォス、OLM、電通、小学館、スクウェア・エニックス)
製作:大田圭二、佐藤貴博、前田起也、釜秀樹、守屋光春、沢辺伸政、阿部隆二
原作協力:「ヒーロー文庫」編集部、高原秀樹
アソシエイトプロデューサー:岩田誉生、尾上太基、蛯名涼
宣伝プロデューサー:石川朱里
プロダクションマネージャー:吉澤隆
制作担当:住友英司
制作デスク:和田愛
設定制作:谷元麻佑