映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『薬屋のひとりごと』第1話第2話第3話感想

薬屋のひとりごと
第1話「猫猫」
第2話「無愛想な薬師」
第3話「幽霊騒動」

 

 

作品について

日向夏さんのライトノベルが原作。

 

kusuriyanohitorigoto.jp

長沼範裕監督。シリーズ構成も兼務。『魔法使いの嫁』OVA1(2016)と第1期(2017)の監督・シリーズ構成。鏑木ひろ監督の『君に届け』シリーズ(2009,2011)や『となりの怪物くん』(2012)や『鬼灯の冷徹』第1期(2014)の助監督または副監督。

筆坂明規さんが副監督。金子ひらく監督『徒然チルドレン』(2017)の副監督。

柿原優子さんがシナリオ統括。稲垣隆行監督『ジュエルペット サンシャイン』(2011-2012)、浅香守生監督『ちはやふる』第2期第3期(第2期は加藤綾子さんと共同)、岸誠二監督『月がきれい』(2017)、篠原俊哉監督『色づく世界の明日から』(2018)及び『白い砂のアクアトープ』(2021)のシリーズ構成・脚本。

中谷友紀子さんがキャラクターデザイン・総作画監督。田中裕太シリーズディレクター(監督)『Go!プリンセスプリキュア』(2015)、土田豊シリーズディレクター(監督)『トロピカル〜ジュ!プリキュア』(2021)のキャラクターデザイン・総作画監督

稲垣敬文さんと正田聡史さんがアニメーションプロデューサー。稲垣敬文さんは元ライデンフィルムのアニメーションプロデューサー。板村智幸監督、宮西哲也チーフディレクター『よふかしのうた』(2022)のアニメーションプロデューサー。正田聡史さんはOLMの制作担当や制作デスク。

制作担当の住友英司さんは、以前GONZOStudio五組でアニメーションプロデューサーを務めていた。現在はOLM所属のようだ。

TOHO animation STUDIOとOLMが共同でアニメーション制作。

TOHO animation STUDIOは、かつて「I&A」や「TIA」としてアニメーション制作を行っていたが、2022年9月に東宝が子会社化し株式会社TOHO animation STUDIOに社名変更した。映画製作・配給会社がアニメーション制作会社を所有・経営する事例は、東映アニメーションがある。また、アニメ製作会社がアニメ制作会社を所有・経営する事例は、アニプレックスの子会社であるA-1 Pictures、CloverWorks、Boundaryがある。

OLMは『ポケットモンスター』シリーズやレベルファイブ作品で知られる。WHITE FOX社長の岩佐岳プロデューサーが退社した2007年以降は子ども向けアニメしか制作しない方針だったが、2017年から(大人向け)深夜アニメに再参入。直近の代表作は、渡辺歩総監督、川越一生監督『古見さんは、コミュ症です。』(2021-2022)、渡辺歩監督、中野悟史副監督『サマータイムレンダ』(2022)。

 

2クール。初回は第1話第2話第3話を連続放送。

 

 

感想

おもしろい。

花街の薬師だった少女が人さらいに拉致され後宮に売られた。下女として働かされていたが、玉葉妃と梨花妃と2人の赤ちゃんの病気を治す方法をひそかに伝えたら、玉葉妃の侍女に任命された。毒見役をしながら、持ち込まれる問題を推理して解決策を提示する。

設定は、あきづき空太さんの少女漫画『赤髪の白雪姫』及び安藤真裕監督、赤尾でこさんシリーズ構成・脚本のテレビアニメと少し似ている。

物語は、韓国ドラマや中国ドラマの歴史ファンタジーを日本の二次元コンテンツとして翻案したような感じ。『宮廷女官チャングムの誓い』のように活躍。

壬氏や玉葉妃の依頼を猫猫が解決するフォーマットは、白川紺子さんのライト文芸後宮の烏』及び宮脇千鶴監督、大島里美さんシリーズ構成・脚本のテレビアニメと共通する。

侍女仲間や上司が優しい善人なのも日本の創作物ならでは。あまり宮廷や後宮内の政治は前面に描かれないようだ。

films.hatenablog.com

酒見賢一さんの『後宮小説』を原作とする、鳥海永行総監督『雲のように風のように』(1990)はおもしろかった。現代日本後宮ものが広まった切っ掛けの1つとされる。

films.hatenablog.com

 

デイヴィッド・ショア クリエイター・ショーランナー・エグゼクティブプロデューサー『Dr.HOUSE』(2004-2012)は、医学を題材にしたシャーロック・ホームズがコンセプト。

アーサー・コナン・ドイルの『シャーロック・ホームズ』シリーズやアガサ・クリスティの『エルキュール・ポアロ』シリーズよりも、同じくアガサ・クリスティの『ミス・マープル』シリーズの方が近いかも。

films.hatenablog.com

 

かつては白粉(おしろい)として塩化水銀(I)や鉛白が使われていた。1887年に起きた慢性鉛中毒事件がきっかけで有毒性が知られるようになり、1934年に鉛を含む白粉が製造禁止になった。

www.shiseido.co.jp

https://www.env.go.jp/chemi/tmms/husigi/hg_husigi_22.pdf

バーベキューで夾竹桃の枝を使ってしまった事故が時折起きている。

銀食器はヒ素に含まれる硫化ヒ素に反応して変色する。現在のヒ素は純度が高く、硫化ヒ素がほとんど含まれていないらしい。
https://www.ntv.co.jp/megaten/archive/library/date/99/7/0711.html

韓国では今でも銀製の箸を使う。韓国料理店で体験できる。

夢遊病は『アルプスの少女ハイジ』で知った。

後宮に入れられた妃は幼馴染の武官と結ばれるために、皇帝のお手付きにならないよう策を巡らせ、病を装い、夢を叶えた。

 

池上永一さんの小説『テンペスト』を原作としたNHKのテレビドラマで、GACKTが色っぽいサディスティックな宦官を演じていた。

 

中谷友紀子さんによるキャラクターデザインと相田美里さんによる色彩設計は華やかで艶やかだね。

背景美術に合わせて、キャラクターや衣装や小物の彩度が高い色彩設計にしたのかな。撮影処理でもフィルターやエフェクトをかけている。

日常芝居が巧み。ロングショットで芝居させるのは、クロースアップでの芝居よりも難しい。全身の動きを描く必要がある。人間の日常生活の動きはアニメ的な嘘をつけない。視聴者は違和感にすぐに気づく。これが本来の意味で「作画がいい」ということ。

エンドクレジットを見ると、CGIが効果的に使われていたようだ。視聴者は3DCGだと気づかないでしょ。実写映画のVFXにはinvisible effectsという種類がある。セットエクステンションなど、文字通り観客が気づかない視覚効果。

井川麗奈さんと長谷川早紀さんがオープニングアニメーションの原画を描いていた。2人とも長沼範裕監督『魔法使いの嫁』シリーズのメインスタッフだった。

 

シナリオ統括という役職を設けたのは、長沼範裕監督がシリーズ構成を兼務しているからだろう。

「シリーズ構成」という役職は、監督やプロデューサーと一緒にシリーズ全体のストーリー構成を考え、制作に必要な設定資料を作成することと、各話脚本家たちのリーダーという2つの仕事がある。シリーズ構成を経験豊富な脚本家が務めることが多いのは、他者が書いた脚本を必要に応じて修正し一定水準まで引き上げる責任があるからだ。

魔法使いの嫁』は全話の脚本を高羽彩さんが書いていたので問題はなかった。

長沼範裕監督はアニメーター出身の監督・演出家であり、脚本執筆の経験はあまりない。だから自分で脚本を書くことはできても、他者が書いた脚本をブラッシュアップすることは難しいと思われる。

柿原優子さんが「シナリオ統括」として、各話脚本家から上がってきた脚本の品質を保つ役目を負っているのだろう。

 

 

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キャスト

猫猫(マオマオ):悠木碧
壬氏(ジンシ):大塚剛央
高順(ガオシュン):小西克幸
玉葉妃(ギョクヨウ):種﨑敦美
梨花妃(リファ):石川由依
里樹妃(リーシュ):木野日菜
阿多妃(アードゥオ):甲斐田裕子
小蘭(シャオラン):久野美咲
紅娘(ホンニャン):豊口めぐみ
桜花(インファ):引坂理絵
貴園(グイエン):田中貴子
愛藍(アイラン):石井未紗
梅梅(メイメイ):潘めぐみ
白鈴(パイリン):小清水亜美
女華(ジョカ):七海ひろき
やり手婆:斉藤貴美子
漢羅門(カン・ルォメン):家中宏
李白(リハク):赤羽根健治
やぶ医者:かぬか光明
ナレーション:島本須美

 

 

各話スタッフ

第1話

脚本:柿原優子
絵コンテ:長沼範裕
演出:筆坂明規

総作画監督:中谷友紀子
作画監督:大田謙治、山田佳奈莉、菅原美幸、廣田茜、宮井加奈長森佳容

 

第2話

脚本:千葉美鈴
絵コンテ:長沼範裕
演出:藤田健太郎

総作画監督:中谷友紀子、長森佳容、廣田茜
作画監督:小島えり、亀山朋子、チャ ミョンジュン、ク ジャチョン

 

第3話

脚本:小川ひとみ
絵コンテ:長沼範裕
演出:山本恭平
演出助手:丸山喬平

総作画監督:中谷友紀子、中嶋敦子宮井加奈
作画監督:和泉百香、西道拓哉、吉田肇、山道到威、島崎望
作画監督補佐:山本恭平

制作協力:ROLL2

 

 

メインスタッフ

原作:日向夏
キャラクター原案:しのとうこ
監督・シリーズ構成:長沼範裕
副監督:筆坂明規
シナリオ統括:柿原優子
キャラクターデザイン:中谷友紀子
サブキャラクターデザイン:長森佳容宮井加奈
プロップデザイン:ヒラタリョウ、みき尾
色彩設計:相田美里
美術監督:髙尾克己
撮影監督:石黒瑠美
CGIディレクター:永井有
2Dデザインワークス:南條楊輔
編集:今井大介
音響監督:はたしょう二
音響効果:出雲範子
音楽:神前暁、Kevin Penkin、桶狭間ありさ
音楽プロデューサー:小林健
劇中音楽制作:東宝ミュージック
エグゼクティブプロデューサー:山中一孝
チーフプロデューサー:高橋敦司、武井克弘
プロデューサー:菱山光輝、平原唯灯、川村文、森下勝司、武藤大司、岡本順哉、藤村智子
アニメーションプロデューサー:稲垣敬文、正田聡史
アニメーション制作:TOHO animation STUDIO×OLM
製作:「薬屋のひとりごと」製作委員会

 

製作:大田圭二、佐藤貴博、前田起也、釜秀樹、守屋光春、沢辺伸政、阿部隆二
原作協力:「ヒーロー文庫」編集部、高原秀樹
アソシエイトプロデューサー:岩田誉生、尾上太基、蛯名涼
宣伝プロデューサー:石川朱里

プロダクションマネージャー:吉澤隆
制作担当:住友英司
制作デスク:和田愛
設定制作:谷元麻佑