『トゥルーマン・ショー』
原題:"The Truman Show"
製作年:1998年
製作国:アメリカ合衆国
公開日:1998年6月5日
作品について
ピーター・ウィアー監督。
アンドリュー・ニコル脚本・プロデューサー。
サイコロジカル・SF・風刺・コメディドラマ映画(psychological science fiction satirical comedy-drama film)。
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感想
何度観てもおもしろい。いい映画。名作映画。
トゥルーマン・ショー:
— なお (@naotie) 2019年4月16日
ピーター・ウィアー監督。アンドリュー・ニコル製作脚本。
名作。人間の風刺。この映画の観客に対しても、リアリティ番組『トゥルーマン・ショー』を観て楽しんでいる視聴者側の人間かを問いかけている。
The Truman Show (1998)
『トゥルーマン・ショー』は、ラストシーンの痛烈な風刺を成立させるために、96分間に渡りストーリーを描いてきたと言っても過言ではない。
クリストフが父親のようにトゥルーマンを見守っている、という解釈があるが、私はそれを否定する。作中番組の根本は人権侵害の上に成り立っているテレビ番組であり、疑似的な家族愛でもって非人道的な行為を帳消しにはできない。免責されるべきものではない。たとえクリストフが番組開始時はトゥルーマンを道具としてしか見ていなかったが、次第に親としての愛に目覚めたのだとしても。傲慢。父権主義の最たるもの。
リアリティ番組『トゥルーマン・ショー』が世界220ヶ国で放送され続けているという設定は、作中世界がディストピアであることを示している。手塚治虫さんの名作漫画『火の鳥』「生命編」(1980年初出)や、リチャード・バックマン(スティーヴン・キング)原作のポール・マイケル・グレイザー監督『バトルランナー』(1987)と同じ穴の狢。
よってリアリティ番組『トゥルーマン・ショー』を見ている視聴者も、番組製作者やテレビネットワークやスポンサーと等しく同罪。
トゥルーマンの疑問が確信に変わった切っ掛けとして、妻メリルが夫との会話にそぐわない露骨な商品の宣伝をしたことが描かれる。プロダクトプレイスメントへの風刺。
作中番組でメリル・バーバンクを演じていたハンナ・ジルは、愛していない男性と結婚し、夫婦生活を送っていたことになる。お見合い結婚のように、夫婦として暮らしているうちに相手を愛するようになったかもしれないけれど。トゥルーマンの狂気を目の当たりにし、途中で耐えられなくなって、逃げ出す。
『トゥルーマン・ショー』は、シミュレーテッド・リアリティ、実存主義、監視社会、プライバシー、リアリティ番組、メタ哲学、宗教について考察した作品だと批評されている。
また、ディストピア・フィクション、メタフィクション、心理ドラマ、ロマンティック・コメディ、風刺、社会派SFといった要素を織り交ぜた hybrid genre (あるいは cross-genre, multi-genre, mixed genre) だと説明されている。
『トゥルーマン・ショー』は陰謀論と関連付けて語られることがある。実際、『トゥルーマン・ショー』を見て、自分は監視されているという被害妄想を抱き始める人がいるそうなので。統合失調症の可能性もある。
エンドクレジットでは、キャストは Truman's World と Christof's World と The Viewers に分けてクレジットされている。
似た題材の作品がいくつかある。
24時間365日テレビ番組の被写体として撮影・放送されるという題材は、ロン・ハワード監督・製作、ブライアン・グレイザー製作『エドtv』(1999)がある。マシュー・マコノヒー主演。
この種の台本なしの番組は、リアリティーショーと呼ばれている。
違いは、『エドtv』は自分からプライバシーをさらけ出す人の物語。『トゥルーマン・ショー』は、生まれたときからずっと監視され続け、それを大勢の他人のための娯楽として消費され続けた人の物語。
『トゥルーマン・ショー』の方が出来がいい。
M・ナイト・シャマラン監督・脚本・製作『ヴィレッジ』(2004)は、隔絶された箱庭世界の中でその事実を知らずに生きる人々、という点が共通している。
音楽
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲 ピアノソナタ第11番 第3楽章「トルコ行進曲付き」。ヴィルヘルム・ケンプ演奏。ドイツ・グラモフォン。
フレデリック・ショパン作曲 ピアノ協奏曲第1番 第2楽章。アルトゥール・ルービンシュタイン演奏、スタニスワフ・スクロヴァチェフスキ指揮。BMG Classics/RCA Victor。
ヴォルフガング・アマデウス・モーツァルト作曲 ホルン協奏曲第1番 第1楽章。Philharmonia Baroque Orchestra 管弦楽、Nicholas McGegan 指揮、Lowell Greer ソロ演奏。Harmonia Mundi France。
キャスト
トゥルーマン・バーバンク:ジム・キャリー;堀内賢雄、宮本充
クリストフ:エド・ハリス;納谷六朗、堀勝之祐
メリル・バーバンク / ハンナ・ジル:ローラ・リニー;佐々木優子、高島雅羅
マーロン / ルイス・コルトラン:ノア・エメリッヒ;中田和宏、山野井仁
ローレン・ガーランド / シルビア:ナターシャ・マケルホーン;渡辺美佐、五十嵐麗
アンジェラ・バーバンク:ホランド・テイラー;定岡小百合、定岡小百合
カーク・バーバンク:ブライアン・ディレイト;稲葉実、田中正彦
過去のトゥルーマン:ブレア・スレイター
ローレンス:ピーター・クラウス;古田信幸、?
ヴィヴィアン:ハイジ・シャンツ
ロン:ロン・テイラー
ドン:ドン・テイラー
ディレクター:ポール・ジアマッティ;大川透、桐本琢也
ディレクター:アダム・トメイ
マイク・マイケルソン:ハリー・シェアラー;田原アルノ、田原アルノ
クロエ:ウナ・デーモン 榎本智恵子、?
ネットワーク・エグゼクティヴ:フィリップ・ベイカー・ホール;長島雄一、?
ネットワーク・エグゼクティヴ:ジョン・プレシェット
キーボード・アーティスト:フィリップ・グラス
バーのウェイトレス:オーラン・ジョーンズ
日本人視聴者:ユウジ・オクモト;?、青山穣
スタッフ
監督:ピーター・ウィアー
脚本:アンドリュー・ニコル
製作:スコット・ルーディン、アンドリュー・ニコル、エドワード・S・フェルドマン、アダム・シュローダー
製作総指揮:リン・プレシェット
共同製作:リチャード・ルーク・ロスチャイルド
撮影監督:ピーター・ビジウ
編集:ウィリアム・M・アンダーソン、リー・スミス
音楽:ブルクハルト・ダルウィッツ、フィリップ・グラス
製作会社:スコット・ルーディン・プロダクションズ
配給:パラマウント・ピクチャーズ
配給(日本):UIP (United International Pictures)
プロダクションデザイン:Dennis Gassner
美術監督:Richard L. Johnson
セットデコレーション:Nancy Haigh, J Sanchez (uncredited)
衣装デザイン:Marilyn Matthews
special design consultant: Wendy Stites
supervising makeup artists: Ron Berkeley, Brad Wilder
supervising hairstylists: Bette Iverson, Hazel Catmull
casting director: Howard Feuer
unit production managers: Richard Luke Rothschild, Joseph P. Kane
production supervisor: Philip Steuer
post-production supervisor: Rosemary Dority
first assistant director: Alan B. Curtiss
second assistant director: Jonathan Watson
second second assistant director: David M. Bernstein
second unit director: Michael J. McAlister
second unit assistant director: Robert Huberman
production sound: Art Rochester
sound design: Lee Smith
re-recording mixers: Phil Heywood, Martin Oswin
boat effects designer: Peter Chesney
special effects: Larz Anderson
image engineering coordinator: Blaine Converse
special atmospheric effects: Bolan Jet Air
visual effects supervisor: Michael J. McAlister
visual effects producer: Juliette Yager
Special Visual Effects by Cinesite
digital visual effects supervisor: Brad Kuehn
digital visual effects producer: Ariana Lingenfelser
digital effects supervisor: Kevin Lingenfelser
3D supervisor: Joe Pasquale
digital compositor: David Lingenfelser
digital artists: Ted Andre, Laura Hanigan
CGI animators: Mieko Yoshida, Gokhan Kisacikoglu, Jason Wardle, Eduardo Silva, Richard Klein, Eric Pender
concept matte artist: Roger Kupelian
rotoscope supervisor: Karen Klein
Digital Compositing by The Computer Film Company
3D Matte Paintings by Matte World Digital
visual effects supervisor: Craig Barron
executive in charge of production: Krystyna Demkowicz
visual effects producer: Martin Matzinger
chief digital matte artist: Chris Evans
digital matte artists: Brett Northcutt, Caroleen Green
digital composite supervisor: Paul Rivera
Tru-Talk Title Sequence Designed by Imaginary Forces
Additional Visual Effects by Available Light, EDS, Stirber Visual Network