映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『イエスタデイをうたって』第6話: 柚原チカがすべてを持っていった

イエスタデイをうたって』第6話「ユズハラという女」

 

 

感想

こたつの中

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©冬目景集英社イエスタデイをうたって製作委員会


こたつの中で睡眠中の柚原が伸ばした足がぶつかる、色っぽい演出。
足が当たった後、リクオが足をずらす。少し距離を取る。
恋人や夫婦や家族ならつながったままにしているかもしれない。親友はどうだろう?

元恋人という微妙な関係だから、身を引いた。

 

 

柚原チカが弾いていたピアノ曲フレデリック・ショパン作曲『幻想即興曲』。

 

柚原が立ち上がった時の重心移動の芝居が上手い。

 

冷蔵庫の材料で料理を考えて作れる柚原。その後の会話で、一人暮らしを始めてから料理を覚えたと。
豆腐とわかめのお味噌汁、ネギ入り卵焼き、野菜いため、サラダ、ほうれん草のお浸し。

土下座した後、こたつに潜り込む柚原の芝居が上手い。

 

杜田先生が榀子たちを誘って女子会。90年代に「女子会」って言葉あったのかな?

酔った榀子の千鳥足の芝居が上手い。

 

リクオが柚原を押し倒したとき、こたつの掛布団が引っ張られ、天板が動き、柚原が綺麗に重ねた雑誌が崩れる描写が上手い。

「別にいいけど」「火止めなきゃ」と。
元彼だから人となりは知っているし、居候している身だし、えっちしたいならしてもいいよと受け入れる柚原。
リクオが覆いかぶさってきて最初は驚くけど、まぶたを下げて目をそらす芝居が良い。

梅干し入りお粥。

カメラマンになりたいのと尋ねて、「なりたいでなれるような、甘い世界じゃないしな」と返ってきたので、「そっか」とつぶやきそれ以上は聞かない柚原。
自分のことと重ね合わせたのだろうね。

タオルを絞り、リクオの額に乗せて、畳についた両手で身体を支えて胡坐をかく柚原の芝居が上手い。
微笑んだ柚原の髪の毛が数房揺れる動きも。
インターフォンが鳴って立ち上がる芝居も。

 

コートを着た後、髪をふわりと広げる柚原の芝居が上手い。

 

背の低いハルを見上げる構図にするためにも、リクオを地面に這いつくばらせたのかな。
怒っているハルがその場の主導権を握っている一方、リクオは逃げ腰。

 

静かにキレてる榀子。振り返った榀子の表情を、視聴者には見せずリクオの反応だけで想像させる演出が良い。
ハルの素直な怒りの方がリクオにはまだ気持ちが楽だろうね。

 

「作るのもそうだけど、やっぱご飯は誰かと食べたほうがおいしいよね」

――柚原チカ

作った料理を喜んで食べてくれる人がいると作り甲斐があるよね。

お味噌汁、サバの塩焼き、肉じゃが?(汁気が多いけれど)。

 

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©冬目景集英社イエスタデイをうたって製作委員会


柚原がリクオを振ったことを今ならわかる気がする、と話しているリクオとそれを聞いた柚原の反応を、それぞれ空間を開けたレイアウトで描いている演出が良い。

 

「なんで私怒ってるんだろ……」と、告白されて振ったのに、女性を部屋に上げていたことについて、リクオに理不尽な態度をとったことを後悔している榀子。
Aパートで、「自分の都合のいい時だけ頼って。私って図々しいのかな」とも自覚していたようだけど。

 

リクオのアパートにやって来たものの決心がつかず立ち去ろうとする榀子に、引き留める柚原のシーン。
柚原を上手に、榀子を下手に常に置くため、カメラがせわしなく2人のそばを回り込む。
柚原は榀子の誤解を解こうと思いつく。
榀子は彼女(仮)の女性と話をするのが怖い。

柚原がてっきりリクオに彼女はいないと思ってたと、こたつに肘をつき掌に顎を乗せて喋る芝居と髪を撫でる芝居が上手い。
榀子が柚原に恋人ではなく大学時代の友達だと首や手を振りながら答える弁明する芝居も。

 

柚原がタバコに火をつけて吸う芝居が上手い。*1
人差し指で灰皿に灰を落とす芝居も。

窓際でたばこを吸っていて、外からの風で髪の毛と煙がたなびき、顔をしかめるようにゆっくり瞬きする芝居が良い。

この時に居候をやめてリクオの家から出ていく算段を考えていたのだろうね。
直後の夕焼けの演出が良い。

 

魚住へ

突然ですが、ピアノのバイトが本採用になって給料が前借できたので出ていきます。短い間だったけどありがとね。

追伸 ―
いい加減なわたしはどうやらピアノが好きみたいです。魚住も頑張って下さい。

 置手紙の追伸が良い。

 

 

おわりに

すごいな。
たった22分で柚原チカを魅力的に描いた。

喜多村英梨さんのお芝居が素晴らしい。

 

 

スタッフ

藤原佳幸監督
伊藤良太副監督

脚本:田中仁
絵コンテ:田中雄一
演出:藤原佳幸、金成旻

制作進行:伊勢戸啓介

作画監督
 藤原奈津子 渥美智也
 小林恵祐  久保茉莉子
 曾我篤史

 ZEXCS
 松本翔

 寿門堂
 菊永千里  海保仁美
 上野沙弥佳 乘冨梓

総作画監督吉川真帆

原画:
 吉野彰敏  大津豪
 上武優也  小林恵祐
 重国浩子  千葉山夏恵
 國分瑞生  浪上悠里
 新沼拓也  狩野正志
 村長由紀  林原麻紀
 西島翔平  南部広海
 伊藤幸   山本珠里
 渡辺舞   葛原詩乃
 永井里奈  小室有土
 井上みゆき 濱口明
 本多みゆき

第二原画:
 全後映   小田道子
 安江杏珠  水野公彰
 大迫光紘  齋藤めぐみ
 佐藤光晃  清水綾乃
 酒井ひかる 降籏秀吉
 髙嶌聖也  富樫彩菜
 岡根田芽代

 アトリエ・ココ

動画検査:大原真琴、全後映、小田道子

動画:
 石井邦俊  大原真琴
 小田道子  全後映
 清水綾乃

 寿門堂

色指定・検査:竹内優太

仕上げ:
 石黒けい  伊藤裕香
 竹内優太  呉政宏
 真壁源太  芦原明音

 寿門堂

背景:
 スタジオイースター
 干場佳織  石川真理
 曽根原理恵 妹尾想
 平田卓也  関口蓮
 王葆祺   相澤諒
 木津海音  村上悠太
 田中伸哉  牧岡聡
 片岡乃梨子 香取希
 岩田百代

撮影:
 伊藤邦彦  工藤康史
 杉浦誠一  福岡由惟
 水沼賢誠

撮影協力:
 アスラフィルム
 寿門堂

*1:念のため言っておきますが、私は喫煙したことはありません。気分が悪くなるので嫌いです。純粋にアニメートを評価しています。