映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『エスパイ』感想

エスパイ』
製作年:1974年
製作国:日本
公開日:1974年12月28日

 

 

作品について

福田純監督。

小松左京さんの小説が原作。

スパイ・アクション・ファンタジー映画。

 

 

Amazon

 

 

感想

ストーリーがあまりおもしろくない。

田村の超能力の消失もアイデンティティークライシスとして活きていない。超能力がなくても肉弾戦で勝てるでしょ、というキャスティング。

三木は、視聴者に超能力の説明をするために作られた映画オリジナルキャラクターで、いてもいなくても変わらない。初めての殺人で苦悩する描写はあるが、印象に残らない。

マリアは敵に拉致され、薬で洗脳され、性暴力を受ける。でもそれだけ。その描写が作品に必要だとは思えない。洗脳が解けて逃げ出したと、法条の台詞で説明された。

ウルロフがしょぼい。「逆エスパイ」の規模が小さいが、少数精鋭の組織にも思えない。バルトニア首相暗殺による世界大戦の勃発が目的なのに、三木の排除にやたらと人数を割く。

「超能力は愛」「愛こそすべて」という陳腐な言葉で終わらせた。

 

エスパイ』では、超能力が科学的に証明されていると語られている。小松左京さんの『復活の日』『日本沈没』などに比べると、『エスパイ』は空想科学としての側面が強い。いわゆるソフトSF。ハードSFではない。

2023年現在からみると、半世紀前の超能力の扱いや位置づけが垣間見えて興味深い。

アメコミ映画でも超能力が登場するが、サイエンスフィクションではなくファンタジー

作中では「逆エスパイ」は超能力を悪用する人たちや組織という意味で使われている。

「サイキックカーテン」を首相の周りに張り巡らせているから大丈夫だという。「念動力の壁だ。これさえ張っておけば、よほどものすごいエネルギーが使われるか、エスパイ自身の超能力が破壊されない限り、首相の命はまず安心と言える」。フラグ。町中の教会の鐘が鳴り響き、エスパイは苦痛で戦闘不能になった。超音波を念動力で数倍に増幅させていると。

1974年の映画なので、飛行機のコックピットに簡単に入れる。

 

 

キャスト

田村良夫:藤岡弘
マリア原田:由美かおる
三木次郎:草刈正雄
法条:加山雄三
ウルロフ:若山富三郎(特別出演)
巽五郎:内田勝
バルトニア首相:スティーブ・グリーン
サラバット:岡田英次
寺岡:睦五郎
ゴドノフ:ジミー・ショウ
国連調停委員:ロジャー・ウッド、アネスト・ハーネス
アブドウラ:ウィリー・ドーシー
ボール:山谷初男
エスパイA:ロルフ・イェッサー(ロルフ・ジェッサー)
エスパイB:ゲルマル・ライナー
エスパイC:フランツ・グルーバー(フランツ・グルーベル)
エスパイD:バート・ヨハンソン
バルトニア首相秘書:デュケネ
バルトニア護衛官:ギンター・グレイブ
特別機機長:ロバート・ダンハム
特別機副機長:ヘンリー
三木の少年時代:ジュリー・クラブ
ジュディ:ケリー・バンシス
ジュリエッタ高村ルナ
P・B:アンドリュー・ヒューズ

政府要人:伊藤光
記者:勝部義夫
警備員:細井利雄、守田比呂也、加藤茂雄
カメラマン:今井和雄
男:光秋次郎
バルトニア首相の声:梶哲也
アーメットの店員:アブドウラ・ミッツ

 

 

スタッフ

監督:福田純
脚本:小川英
原作:小松左京
製作:田中友幸田中文雄
特技監督中野昭慶
協力監督:大森健次郎
撮影:上田正治、原一民
美術:村木忍
照明:森本正邦
録音:伴利也
編集:池田美千子
効果:東宝効果集団
整音:東宝録音センター
音楽:平尾昌晃、京建輔
由美かおる衣裳デザイン:志村雅久
衣裳:林健
メイクアップ:秋田乃吏子
技斗:渡辺高光、高橋一俊、ジャパン・アクションクラブ、大野剣友会
記録:小林孝子
スチル:中尾孝
製作担当者:篠田啓助
助監督:西川常三郎
製作:東宝東宝映像
配給:東宝

 

特殊技術
撮影:富岡素敬
照明:大口良雄
合成:三瓶一信
作画:塚田猛昭
光学撮影:宮西武史
操演:小川昭二
特殊効果:渡辺忠昭
監督助手:田淵吉男

 

主題歌「愛こそすべて」
挿入歌「見知らぬ国へ」
作詞:山口洋子
作曲:平尾昌晃
編曲:京建輔
歌:尾崎紀世彦
(フィリップス・レコード)