『死神坊ちゃんと黒メイド』第2話「坊ちゃんと執事と迷い猫」
感想
グランドピアノのボディに映りこむアリス。鏡に映る姿はその人の心を表す。この演出も同様。
しかもわざわざ、大屋根の内側に映るアリスと、椅子に座っている坊ちゃんを、逆さまのカメラで撮影。大屋根にアリスと坊ちゃんが一緒に並ぶ。触れ合えない2人を、せめて反射だけでも一緒に、と言うかのように。
側面のリムに映るアリスは目が髪に隠れている。表情を見せない。本心を隠している。アリスに捧げるバラードだと教えてもらい、嬉しさを隠している。一緒に聴いてもらいたかったと。
佐山聖子さんは、桜美かつし監督『ふらいんぐうぃっち』(2016)でも猫の演出が巧みだった。
今日の死神坊ちゃん、コンテさせて頂いてます。のっけからの猫話数、猫演出冥利につきます https://t.co/N9jmJ3XF39
— 佐山聖子 (@mill_sister) 2021年7月11日
チトさんのお散歩と、後を追う千夏の描写でわくわくさせる。
「嫌です。ちゃんと誘ってくださらないと嫌です」
「僕と踊っていただけませんか?」
「喜んで」
カーテシー。
ダンスを作画するのは大変。カップルダンスならなおさら。手描き作画のアニメでは、ダンスシーンで、動かしても腰から上の構図で足と地面を描く「接地」を避ける、2人や観客などのクロースアップを挿入する、そもそも動かさない、などの演出を取る。制作現場の状況やスケジュール、描ける作画さんがいるかなどで判断する。
アリスや坊ちゃんのクロースアップをオーバーラップさせながら、上空からのロングショットで見せる。3DCGアニメならではの演出。
腰から下の構図を積極的に使う。上述の通り、「接地」は難しい。
クリント・イーストウッド監督・製作・主演、メリル・ストリープ主演、キャスリーン・ケネディ製作『マディソン郡の橋』(1995)のダンスシーンを思い出す。
ワルツを踊る2人からの、窓を開け放したバルコニーを通って、大きな満月に近づき、そのままエンディングという演出。
キャスト
坊ちゃん:花江夏樹
アリス:真野あゆみ
ロブ:大塚芳忠
ヴィオラ:水瀬いのり
カフ:倉持若菜
ザイン:神谷浩史
ウォルター:内田雄馬
坊ちゃんの母:大原さやか
ナレーション:榊原良子
第2話スタッフ
脚本:白根秀樹
絵コンテ:佐山聖子
演出:山川吉樹
CGディレクター:鈴木勇介
原画:山川吉樹
動画検査:河野隆子、荻原信子
動画:吾梅子
デジタル動画検査:鵜川浩至、石原直樹
デジタル動画:志戸望悠
色指定・仕上げ検査・特殊効果・ペイント:木村美保
メインスタッフ
原作:イノウエ
監督:山川吉樹
シリーズ構成:白根秀樹
キャラクターデザイン:桑波田満
CGディレクター:鈴木勇介
キャラクターモデルディレクター:畑野雄哉
色彩設計:木村美保
美術監督:鈴木朗
撮影監督:福世晋吾
編集:坪根健太郎
音響監督:明田川仁
音響効果:和田俊也
音楽:奥田弦、渡辺剛
音楽プロデューサー:藤平直孝
企画:田島宏行、江波戸憲司、沢辺伸政、藤田亮、太田勝士、久保雅一、春山ゆきお
チーフプロデューサー:髙橋和彰、備前島幹人、佐藤龍伸、木元準久、野瀬和也
プロデューサー:塩入聡太、梅本享、近藤秀峰、伊藤悠公、大和田智之、榊原智康、岩崎沙耶花
アニメーション制作統括:松倉友二
アニメーション制作プロデューサー:松尾洸甫
CGIプロデューサー:北村和人
CGI:SMDE(小学館ミュージック&デジタル エンタテイメント)
アニメーション制作:J.C.STAFF
製作:死神坊ちゃんと黒メイド製作委員会