映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『天官賜福』第1話感想

『天官賜福』第1話「太子の嫁入り」
原題:天官赐福 第一话“太子新娘”
ピンイン:Tiān Guān Cì Fú "Tàizǐ xīnniáng"
英語題名:Heaven Official's Blessing Episode 1 "The Bride Prince"

 

 

作品について

『魔道祖師』と同じ原作者 墨香銅臭 によるウェブ小説の中国アニメーション。日本で発展した"anime"の様式で制作された。*1

films.hatenablog.com

前作と同様に、ソニー・ミュージックソリューションズとアニプレックスが配給権・販売権を買い付けて、日本語版を制作。

tgcf-anime.com

アニプレックスプロデューサー黒﨑静佳さんの趣味かな? 去年のAniplex Online Festの番組で、プロデューサーの仕事についていろいろ語ってたけど。

cocotame.jp

cho-animedia.jp

woman.mynavi.jp

企画の2人は稟議書を通してお金を出した責任者枠。

放送枠の都合でテレビ放送はカット版。一部の配信サービスでは本来の尺で配信されている。

 

 

Amazon

 

 

 

感想

中国アニメーションは、文化の違いなのかセンスの違いなのか、理解できないところが多々ある。中国の映画やテレビドラマは、そういうものだと理解できるのに。*2

『天官賜福』は話が比較的わかりやすい。

スカートが破れてしまった女性に隠すための布として自分の服を提供しようと脱ぎ掛けたら、舐めるような視線のせいで勘違いした女性が「あの、何をするんです……?」「やっ! やらしいわね!」と殴る。中国ではこういう描写がまだ生きているのか。韓国で、日本の昔の少女漫画を読んだりアニメを観たりして育った世代が、現在の映画やテレビドラマを制作しているように。

生殖器崇拝はどこの地域にもある。

法力を使うと、空中投影でビデオ通話ができる。

狐の嫁入り

中国なのにワイヤーアクション(wire fu)ではない。香港映画で培われた撮影技術だけど、中国本土の作品でも用いられている。

鬼というより、落ち武者のゾンビ。

 

画作りはいい。3D空間のカメラワークに2D手描き作画のレイヤーを載せて動かしている。カメラマッピング

口パクの速度が日本より遅いのかな? 口の動きが静止して見える。タイムシート上では日本より間隔が長いはず。中国語だとこのタイミングが合っているのかもしれない。

百度百科では、脚本・絵コンテ・演出・作画監督総作画監督を全12話まとめて書いている。メインスタッフもほんの一部しか書いていないし。中国の記事編集者はスタッフに興味ないんだね。

baike.baidu.com

 

Bilibiliで原語版のクレジットを見たところ、作画工程などは韓国子会社などに投げているようだった。

www.bilibili.com

 

 

余談

撮影出身で演出家・監督の武山篤さんが撮影監督を務めたらしい。2015年の『プラスティック・メモリーズ』以降の仕事が確認できないようだけど、中国案件に関わってたのか。
https://w.atwiki.jp/enshutsu/pages/157.html

中国案件は金額は高いが、関わるべきではないと認識されている。プロデューサーなど上の人間が権力を振りかざして、重箱の隅をつつくリテイクを際限なく繰り返す。しかもそのリテイクをしてもクオリティは上がらない。無駄なリテイク。また上の人間は損益の判断が早いので、関わっているプロジェクトが突然中止になることもよくある。骨折り損のくたびれ儲け。中国共産党の関係で、日本人スタッフの名前はクレジットされないこともよくある。日本のクリエイターが中国のアニメーション制作会社に引き抜かれている、と主張する記事がたまにあるが、現場のことを理解しているのか疑問だ。

 

 

キャスト

謝憐(シエ・リェン):姜広涛 / 神谷浩史
三郎(サンラン):馬正陽 / 福山潤
霊文(リンウェン):黄鶯 / 日笠陽子
南風(ナンフォン):文森 / 古川慎
扶揺(フーヤオ):胡良偉 / 小林千晃
裴茗(ペイ・ミン):凃雄飛 / 諏訪部順一
裴宿(ペイ・シュウ):凌飛 / 増田俊樹
半月(バンユエ):陶典 / 花澤香菜

小蛍(シャオイン):沖佳苗

 

 

第1話スタッフ

脚本:春日幽鈴、蜜餃、桃玖玖
絵コンテ:キム・ブヨン、オム・ユジョン
演出:オム・ユジョン

総作画監督:イ・サンミ

 

 

メインスタッフ

原作:墨香銅臭(モーシャントンシウ)
監督:李豪凌(リー・ハオリン)
シリーズ構成・脚本:春日幽鈴
総演出監督:オム・ユジョン
キャラクターデザイン・総作画監督:イ・サンミ
サブキャラクターデザイン:キム・ミジン、パク・ミンジョン、ユ・ミンジ、ホン・インス
撮影監督:武山篤
3DCG監督:顧晶(グー・ジン)
音楽:楊秉音(ヤン・ビンイン)
エグゼクティブプロデューサー:Zhang Shengyan (张圣晏)、Luo Yanyan (骆艳艳)
プロデューサー:Liu Qi (刘綦)、Pan Linlin (潘琳琳)、Wang Rong (王蓉)
アニメーション制作:絵夢動画(Haoliners Animation League)
製作:Bilibili

 

企画:中野秀紀、岩上敦宏
プロデューサー:黒﨑静佳
監修:時墨悠希舞
日本版制作:株式会社ソニー・ミュージックソリューションズ、株式会社アニプレックス

音響監督:麦島哲也
翻訳:本多由枝
録音・調整:中西一仁
録音アシスタント:木村翔
音響制作担当:米屋林太郎
音響制作:HALF H・P STUDIO

オープニングムービー制作:10GAUGE、依田伸隆、小林敦史、泉香織

オフライン編集:増永純一
ビデオ編集:IMAGICAエンタテインメントメディアサービス、佐野智将、宮本隼跳

宣伝プロデューサー:太田今日子
宣伝:荻野万里江、大八木優斗
アシスタントプロデューサー:高階誠

セールスプロモーション:市瀬真知
ライセンス:木村奈津子、近藤辰也
配信・番販ライセンス:花倉麻里、水野加奈子

WEB制作:上辻康二、前野燿子 / Kirksville co.,ltd.、戸須景子、明石沙也加
プロモーションデザイン:LUCK'A Inc.
宣伝協力:AQUA

製作:ソニー・ミュージックソリューションズ、アニプレックス

*1:中国も3DCGアニメーションが主流だけど。

*2:SF小説『三体』で知られる劉慈欣の短編小説『流浪地球』を原作とした、郭帆監督『流転の地球』(2019)は視覚効果がよくできていた。中国のVFX制作会社Base FXを筆頭に、韓国のDexter StudiosやドイツのPixomondoなどが制作していた。Base FXはHBOの『ザ・パシフィック』や『ボードウォーク・エンパイア』のVFXで名を馳せた。2012年にはIndustrial Light & MagicとStrategic Alliance Agreementを結んで以降は、ILMが元請けした仕事に参加している