『エクスプロラーズ』
原題:"Explorers"
製作年:1985年
製作国:アメリカ合衆国
公開日:1985年7月13日
作品について
ジョー・ダンテ監督。
サイエンス・ファンタジー映画。
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アメリカでは Shout Factory が2021年5月25日にBDを発売した。
感想
映画初出演のイーサン・ホークとリヴァー・フェニックスを楽しむための映画。イーサン・ホーク、リヴァー・フェニックス、ジェイソン・プレソンが美少年。
途中まではおもしろかった。後半3分の1がつまらない。
地球外知的生命体とのファーストコンタクトというわくわくする題材を活かし切れていない。地球外知的生命体から送られてきたメッセージ、それを解読して子どもたちが宇宙船を作り上げる。宇宙人の子どもも地球人の子どもと友達になりたかった。ここまではいいのに。
それなのに、地球のテレビ番組を見て学んだ、宇宙人による笑えないアメリカンジョーク独演会を10分間も見せられる。作中で、ベンにも「君らのまずいジョークにも笑ってやったぜ」と言われている。
興行的に失敗したのも理解できる。ライヴエイドと同じ日に公開されたこと、そしてロバート・ゼメキス監督『バック・トゥ・ザ・フューチャー』(1985)の翌週に公開されたことが敗因と見なされているが、この映画自体にも問題があったから。
まあ、もともと1985年8月下旬公開予定だったのに、パラマウント・ピクチャーズ上層部が夏の映画商戦期に投入しようと公開日を1か月以上も早めた。そのせいで編集が不十分なまま劇場公開せざるを得なかったらしい。
その影響はストーリーにも大きく表れていて、家族に関するサブプロットが完全に削除されているそうだ。ドライブインシアターで映画の特殊効果の蘊蓄を語っていた(カップルの)青年は、ベンのお兄さんという設定だったと。
Joe Dante speaks about Explorers at the New Beverly - Pt 1/2
ベンの家族について語られていたら、もしかしたら宇宙人の家族との類似点や対比として活きたかもしれないが。ウォルフガングの家族、ダレンの家族の描写だけでは大して意味がない。ウォルフガングとダレン、それぞれのバックグラウンドを語ったに過ぎない。
ワクとニークは親に無断で地球人の子どもに会いに行った。ベン、ウォルフガング、ダレンが親に無断で宇宙旅行をしたのと同じ。似た者同士。
終盤が弱いのは元かららしい。ジョー・ダンテ監督によると、脚本の初期プロットは子供たちが惑星に行って野球で遊ぶ話だったと。パラマウント・ピクチャーズ上層部に相談すると、映画製作しながら考えればいいと言われたので、ジョー・ダンテ監督と脚本家エリック・ルークは撮影しながら終盤の話を即興で考えたようだ。
ファーストコンタクトを描いた1980年代のファミリー向けSF映画なら、ランダル・クレイザー監督『ナビゲイター』(1986)がいい。
スティーヴン・スピルバーグ監督の、ファーストコンタクトを描いた『未知との遭遇』が1977年、地球外知的生命体との友好を描いた『E.T.』が1982年公開。
『エクスプロラーズ』はVHS発売後にカルト映画になったらしい。
ジェームズ・マシュー・バリー著『ピーター・パン』。
ジェリー・ゴールドスミスによる劇伴に、ヤマハの電子楽器が使われている。Digital Keyboards by YAMAHA とクレジットされていた。
キャスト
ベン・クランドール:イーサン・ホーク(頓宮恭子)
ウォルフガング・ミューラー:リヴァー・フェニックス(安達忍)
ダレン・ウッズ:ジェイソン・プレソン(亀井芳子)
ロリ・スウェンソン:アマンダ・ピーターソン(伊藤美紀)
スティーヴ・ジャクソン:ボビー・ファイト
ミューラーの母:ダナ・アイヴィ(宗形智子)
ミューラーの父:ジェームズ・クロムウェル(納谷六朗)
スターキラー / ワク / ワクとニークの父:ロバート・ピカード(江原正士)
ニーク:Leslie Rickert
チャーリー・ドレイク:ディック・ミラー(田中信夫)
ゴードン・ミラー:メシャック・テイラー(星野充昭)
ベンの母:メアリー・ケイ・プレイス
カーラ:Karen Mayo-Chandler
科学教師:Brooke Bundy
その他:達依久子 / 塩田朋子
演出:川合茂美
翻訳:岩佐幸子
調整:蝦名恭範
効果:リレーション
制作:東北新社
初回放送:1992年1月3日『ゴールデン洋画劇場』DVD収録
字幕翻訳:戸田奈津子
スタッフ
監督:ジョー・ダンテ
脚本:エリック・ルーク
製作:エドワード・S・フェルドマン、デヴィッド・ボンビック
製作総指揮:マイケル・フィンネル
撮影監督:ジョン・ホーラ
編集:ティナ・ハーシュ
音楽:ジェリー・ゴールドスミス
製作会社:パラマウント・ピクチャーズ
配給:パラマウント映画