『漁港の肉子ちゃん』
製作年:2021年
製作国:日本
公開日:2021年7月16日
作品について
渡辺歩監督。
西加奈子さんの小説が原作。
大島里美さんが脚本。
STUDIO 4℃がアニメーション制作。
コメディドラマ・アニメーション映画。
NHK Eテレが2022年9月24日(土) 15:00-16:40 に放送した。
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感想
おもしろい。いい映画。名作映画。
肉子ちゃんの経歴が倉田真由美さんの漫画『だめんず・うぉ〜か〜』を思い出させる。
小学生女子の人間関係の描写がリアル。グループのリーダーとメンバー、リーダーに反発する子たち、どちらにも属さない子。反目の理由が、遊びへの誘い方や誘う子の選別という点もあるある。
西加奈子さんが説明する、肉子ちゃんとキクコのキャラクター造形が生々しい。
「太っていてダサくて、男の人に関して奔放で騙されやすい人です。天使のような、キラキラした人を書きたいと思った時、それはやっぱり処女ではなくこういう人だろうって思ったんです。『こうふく みどりの』でもこういうタイプを書いたんですけれど、自分の中に憧れがある。ダサい服を着ていても、変なカップを使っていても平気っていう、こだわりのないところが、真っ白な気持ちの持ち主なんだろうって思わせてくれるんです」
三人称や一人称で小説を書くとエグい印象になるので、娘の視点で描くことにしたそうだ。
小学5年生というのは、幼い子供でもない、でも大人の女性でもない微妙な年頃だ。
「同級生には生理が始まっている子もいる、セックスというものがあることも分かっている、でも具体的にどうするかは知らない、という年頃を考えました。肉子ちゃんの男性関係を嫌だと思っているけれど、何が嫌なのかはっきりしないでモヤモヤしている感じ。もちろんまだ“女”ではないし、でも“女の子”でもない。そういう子に肉子ちゃんといった“女爆弾”みたいな人を語らせようと思ったんです(笑)」
みうが不妊だと思っていたこと、妊娠出産もこれの対比として描いている。
みうがキクコの実のお母さん、肉子ちゃんが育てのお母さんという設定には驚いた。
大竹しのぶさんが上手いのは知っているけれど、Cocomiさんも声のお芝居が上手いね。
脚本の大島里美さんは、10月放送の宮脇千鶴監督、バンダイナムコピクチャーズ制作『後宮の烏』のシリーズ構成を務めている。楽しみ。
渡辺歩監督は『ドラえもん』に長く携わり、シンエイ動画を退社した後は、売れっ子のフリーランス監督・演出家。同時に何作も監督作品を掛け持ちしているけれど、どれもクオリティが高い。
現在は4月から中野悟史副監督、瀬古浩司さんシリーズ構成・脚本、OLM Team Kojima制作(BUG FILMS制作協力)『サマータイムレンダ』が放送中で、来週に最終話を迎える。
泣くお芝居が『ドラえもん』(2005年版)そのもの。渡辺歩監督と小西賢一さんは『ドラえもん のび太の恐竜2006』を一緒に制作していた。小西賢一さんが作画監督。
キャスト
肉子ちゃん:大竹しのぶ
喜久子:Cocomi
二宮:花江夏樹
サッサン:中村育二
マリア:石井いづみ
ゼンジ / ゲスト / 屋台の店主 / じいさん:山西惇
水族館のおじさん/ 受付ロボット / あやしい店の係:八十田勇一
ヤモリ / トカゲ / 松本:下野紘
スタッフ
原作:西加奈子
監督:渡辺歩
脚本:大島里美
絵コンテ協力:イシグロキョウヘイ
演出:秋本賢一郎
キャラクターデザイン・総作画監督:小西賢一
作画監督:廣田俊輔、嶋田真恵、林佳織、秦綾子、吉田奏子
動画監督:小島知之
動画検査:奥坂英珠、加来由加里、よこた かな
色彩設計:伊東美由樹
美術監督:木村真二
CGI監督:中島隆紀
プロダクションエンジニア:平林匡人
編集:廣瀬清志
音響監督:笠松広司
音楽:村松崇継
エンディングイラスト:渡辺歩
題字:望月朝陽
エンディングクレジット:今中千亜季
企画・プロデュース:明石家さんま
チーフプロデューサー:神夏磯秀
プロデューサー:山田貢、田中栄子
アニメーションプロデューサー:青木正貴
アニメーション制作:STUDIO 4℃
製作:吉本興業
配給:アスミック・エース
主題歌
「イメージの詩」
作詞・作曲:吉田拓郎
編曲:武部聡志
サウンドプロデュース:GReeeeN
歌:稲垣来泉
エンディングテーマ
「たけてん」
作詞・作曲・編曲・歌:GReeeeN
(ユニバーサル ミュージック)