映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

『沈黙 -サイレンス-』(2016): 傑作映画

沈黙 -サイレンス-
原題: Silence
製作年:2016年
製作国:アメリカ合衆国、イギリス、台湾、日本、メキシコ、イタリア
言語:英語、日本語

 

 

作品について

マーティン・スコセッシ監督による、遠藤周作の小説『沈黙』の映画。

『最後の誘惑』(1988)を監督した後、マーティン・スコセッシ監督が『沈黙』の映画化権を取得して、1990年頃からずっと開発してきた企画。26年越しに実現した。

マーティン・スコセッシ監督は、『最後の誘惑』(1988)、『クンドゥン』(1997)、『沈黙 -サイレンス-』(2016)と、信仰と板挟みになり葛藤する宗教者を描いた映画を制作してきた。

 

放送権

NHK BSプレミアムで放送。

劇場公開時にNHKBS1で特番を放送していた。あれからおよそ4年がかりで放送権を取得したようだ。

 

レイティング

激しい迫害、拷問、処刑のシーンが多いため、アメリカのレイティングはR指定*1、日本ではPG12指定。

 

 

感想

映画館に観に行った。

傑作映画。

 

日本のキリシタンの歴史や文化を映像として後世に残した、という点でもこの映画の意義がある。

 

 

日本の役者から優れたお芝居を引き出す、マーティン・スコセッシ監督の能力が凄い。

 

 

映像が美しい。

テレビで観ると、黒澤明監督作品、溝口健二監督作品、小津安二郎監督作品、成瀬巳喜男監督作品などを思い起こさせる。ライティング(照明)などが。

 

 

キチジローが本作のキーパーソン。

踏み絵でも何でもして、時の権力者には面従腹背で、潜伏キリシタンとして生きる道もあるのに、と個人的には思う。
だから、井上筑後守*2ロドリゴ神父を諭したように、建前だけ信仰心を捨てて、心の中で信仰を続ければいいのに。
通辞もロドリゴ神父に何度も助言していた。

 

 

最後の火葬シーンが印象に残っている。

 

 

ひぐらしの鳴き声を効果的に使っている。

映画館で観ると、エンドクレジットがひぐらしの声と暗闇に包まれる。

 

 

篠田正浩監督『沈黙 SILENCE』(1971)もいつか観たい。まだ機会がないけれど。

 

 

撮影

マーティン・スコセッシ監督はフィルムの質感を好んでいる。またフィルム撮影によって長い間紡がれてきた映画の伝統を重んじている。富士フイルムが映画用フィルム製造から撤退した後、イーストマン・コダックも撤退を検討した際、製造を続けてほしいと他の映画監督や映画プロデューサーたちとともに頼んだのもマーティン・スコセッシ監督だった。映画製作会社などが毎年フィルムを買い上げるという確約をすることで、コダックに映画用フィルム製造を続けてもらっている。

だから『沈黙 -サイレンス-』も基本的に35mmフィルムで撮影した。夜のシーンは、感度が良いデジタル撮影を使った。

Camera
Arri Alexa Studio, Zeiss Master Anamorphic and Angenieux Optimo Lenses (night scenes)
Arricam LT, Zeiss Master Anamorphic and Angenieux Optimo Lenses

Negative Format
35 mm (Kodak Vision3 250D 5207, Vision3 200T 5213, Vision3 500T 5219)
Codex ARRIRAW (2.8K)

www.imdb.com

 

 

 

ロケーション撮影

マーティン・スコセッシ監督とロドリゴ・プリエト撮影監督、プロダクションデザイナーのダンテ・フェレッティは、日本でロケーションを探したものの、相応しい風景の場所や撮影許可が下りる場所があまりなかったため、台湾で撮影した。

外国の風景を使ったのに、日本の風景として違和感がないのはすごい。

 

 

映画賞

ナショナル・ボード・オブ・レビュー賞 脚色賞を受賞した。また、シカゴ映画批評家協会賞 脚色賞にノミネートされた。

アカデミー賞 撮影賞、全米撮影監督協会賞、視覚効果協会賞*3にノミネートされた。

 

 

キャスト

セバスチャン・ロドリゴ神父:アンドリュー・ガーフィールド
フランシス・ガルペ神父:アダム・ドライヴァー
通辞:浅野忠信
キチジロー:窪塚洋介
井上筑後守(井上政重):イッセー尾形
モキチ:塚本晋也
モニカ:小松菜奈
ジュアン:加瀬亮
イチゾウ:笈田ヨシ
クリストヴァン・フェレイラ神父:リーアム・ニーソン
ヴァリニャーノ院長:キアラン・ハインズ
ヨヘイ(トモギ村の村民):パンタ
ツネ( 〃 ):片桐はいり
ヒロ( 〃 ):伊佐山ひろ子
クロ(五島の男):三島ゆたか
ハク( 〃 ):竹嶋康成
ナカ(キチジローの母):洞口依子
タエ(キチジローの妹):石坂友里
ハル( 〃 ):佐藤玲
キチタ(キチジローの弟):藤原季節
モスケ(五島の老人):江藤漢斉
奉行所の侍:菅田俊
奉行所の侍補佐:真柴幸平
牢番1:青木崇高
牢番2:渡辺哲
牢番3:斎藤歩
大男:高山善廣
牢役人:EXILE AKIRA
武士:SABU
岡田三右衛門の妻:黒沢あすか
老僧:中村嘉葎雄

 

 

スタッフ

監督:マーティン・スコセッシ
脚本:ジェイ・コックス & マーティン・スコセッシ
原作:遠藤周作
製作:ヴィットリオ・チェッキ・ゴーリ、バーバラ・デ・フィーナ、ランドール・エメット、エマ・ティリンジャー・コスコフ、アーウィン・ウィンクラー、マーティン・スコセッシ
音楽:キム・アレン・クルーゲ、キャスリン・クルーゲ
撮影監督:ロドリゴ・プリエト
編集:セルマ・スクーンメイカー
製作会社:SharpSword Films, AI Film, Emmett/Furla/Oasis Films, CatchPlay, IM Global, Verdi Productions, YLK Sikelia, Fábrica de Cine
配給:パラマウント映画 (米国)、KADOKAWA (日本)

 

プロダクションデザイン:Dante Ferretti
美術監督:Wen-Ying Huang as supervising art director; Ding-Yang Weng, Michael Tsung-Ying Yang, Wang Zhi-Cheng
セット装飾:Francesca Lo Schiavo
衣装デザイン:Dante Ferretti

第二班監督:G.A. Aguilar

sound designer / supervising sound editor / re-recording mixer: Eugene Gearty

特殊効果スーパーバイザー:R. Bruce Steinheimer

視覚効果スーパーバイザー:Pablo Helman, Jason H. Snell; Kenneth Au for Exceptional Minds, Megan Flood for Exceptional Minds Studio, Sébastien Moreau for Rodeo FX
視覚効果プロデューサー:Annie Cliche for Rodeo FX, Sean Findley, Thilak, Tiffany Wu

*1:日本のR18+指定などとは異なり、アメリカのR指定は「17歳未満の観賞は保護者の同伴が必要」。鑑賞禁止ではない。「17歳以下の観賞を全面的に禁止」するのはNC-17指定。

*2:井上政重。『沈黙』では元キリシタンという設定。

*3:Visual Effects Society Award for Outstanding Supporting Visual Effects in a Motion Picture