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『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』の感想

『ザ・マミー 呪われた砂漠の王女』
原題: The Mummy
製作年:2017年
製作国:アメリカ合衆国

 

 

作品について

カール・フロイント監督『ミイラ再生』(1932)、テレンス・フィッシャー監督『ミイラの幽霊』(1959)、スティーヴン・ソマーズ監督『ハムナプトラ 失われた砂漠の都』(1999)に連なるリブート。

『ザ・マミー』は開発段階でレン・ワイズマン監督、次いでアンディ・ムスキエティ監督が携わったが、2人とも降板した。
開発段階で監督が交代するのはよくあること。企画の決定権を持つのがプロデューサーであり、監督と制作方針の違いがあれば可能な限りすり合わせして、無理なら監督が降りる。

 

ユニバーサル・ピクチャーズは「ダーク・ユニバース」フランチャイズ構想を持っていたが、紆余曲折の末、今後はシネマティックユニバースではなく独立した古典ホラー映画のリメイクに路線変更した。

もともとはゲイリー・ショア監督『ドラキュラ ZERO』が第1作に予定されていたが、ダーク・ユニバースからは外された。そのため『ザ・マミー』が第1作になった。

ビル・コンドン監督による『フランケンシュタインの花嫁』(1935)のリブートがダーク・ユニバースの第2作になる計画だったが、開発が中断された。ビル・コンドン監督もユニバーサル・ピクチャーズも急いで製作するのはやめようと考えた。

 

フジテレビと電通が製作に関与したらしい。おそらく製作費*1の一部を出資したのかな。
フジテレビは放送権を持っていた。だから世界フィギュアスケート選手権が開催中止になって、フジテレビは急きょ『ザ・マミー』にその放送枠の番組編成を差し替えできたのだろう。

1990年代から00年代にかけて、東宝東和と丸紅が製作会社Mutual Film Companyと提携していたので映画製作に投資していた。アンジェリーナ・ジョリーの『トゥームレイダー』シリーズなどがそれ。

IMDb情報からの推測だけど、電通ユニバーサル・ピクチャーズと提携しているのでは? リストに載っている洋画はユニバーサル製作・配給作品か、ユニバーサルが配給のみ担当した映画。

www.imdb.comNBCユニバーサル・エンターテイメントジャパンはかつて電通子会社のジェネオン エンタテインメント*2だったから、その買収・売却の縁でユニバーサル・ピクチャーズ作品に関与しているのかな。

 

感想

おもしろい。
酷い話だけど。プロデューサーと監督と映画スタジオはよくこんな脚本にOKを出したね。
ダーク・ユニバースのための設定や描写が空回りしてる。

 

文字通りトム・クルーズのモンスター映画。

 

ベッキーの吹き替え(つまり声の芝居)が上手い。他の声優の芝居から浮いてない。
宣伝目的の芸能人枠なのにまともなキャスティング。

 

キャスト

ニック・モートントム・クルーズ, 森川智之
ジェニー・ハルジーアナベル・ウォーリス, 沢城みゆき
アマネット:ソフィア・ブテラ, ベッキー
ヘンリー・ジキル博士:ラッセル・クロウ, 山路和弘
クリス・ヴェイル:ジェイク・ジョンソン, 中村悠一
グリーンウェイ大佐:コートニー・B・ヴァンス, 高岡瓶々
マリク:マーワン・ケンザリ, 鈴木達央
セト:ハビエル・ボテット
メネフトラ王:セルヴァ・ローゼリンガム
ブルック(警官):鰻和弘(銀シャリ)
アレン(警官):橋本直(銀シャリ)
教授:藤吉浩二
レポーター1:水越健
レポーター2:竹内夕己美
現場監督:一馬芳和
助手:濱野大輝
兵士9:辻井健吾
兵士10:野川雅史
パイロット3:西村太佑
パイロット:名村幸太朗
ヘレン:ローナ・クロカー, 佐々木奈緒
フェンプル:ニール・マスケル, かぬか光明
レポーター4:小若和郁那
レポーター5:真木駿一
女1:東内マリ子
ディラン:大泊貴揮

 

www.fukikaeru.com

 

スタッフ

監督:アレックス・カーツマン
脚本:デヴィッド・コープクリストファー・マッカリー、ディラン・カスマン
原案:Jon Spaihts and Alex Kurtzman & Jenny Lumet
製作:アレックス・カーツマンクリス・モーガン、ショーン・ダニエル、サラ・ブラッドショー
製作総指揮:ジェブ・ブロディ、ロベルト・オーチー
撮影監督:ベン・セレシン
編集:ポール・ハーシュジーナ・ハーシュ、アンドリュー・モンドシェイン
音楽:ブライアン・タイラー
プロダクションデザイナー:Jon Hutman, Dominic Watkins
セット装飾:Jille Azis, Daniel Birt (ナミビア), Liz Griffiths (追加撮影)
衣装デザイン:Penny Rose
特殊効果スーパーバイザー:Dominic Tuohy, Terry Glass (追加撮影)
視覚効果スーパーバイザー:Asregadoo Arundi, Greg Butler for MPC, Eric D. Christensen for Factory VFX, Mark Curtis for ILM Vancouver, Scott M. Davids for Level 256 VFX, Jim Gibbs for Atomic Fiction, Pablo Helman for ILM, David Lingenfelser for Furious FX, Erik Nash, Darren Poe, Radley Teruel for Factory VFX, Edson Williams
アニメーションスーパーバイザー:Tom Goodenough for MPC, Glen McIntosh for ILM, Omar Morsy for MPC
製作会社:Dark Universe, パーフェクト・ワールド・ピクチャーズ, K/Oペーパー・プロダクツ, Secret Hideout/Conspiracy Factory/Sean Daniel Company
提供:ユニバーサル・ピクチャーズ in association with フジテレビ & 電通
配給:ユニバーサル・ピクチャーズ東宝東和

 

日本語吹替え版スタッフ

翻訳:栗原とみ子
演出:高橋正浩
日本語版制作:株式会社ニュージャパンフィルム

*1:日本の映画業界は広告宣伝費を含めて計算するので製作費の数字を盛る。邦画の製作費○○億円は話半分に聞くべし。アメリカなど主要な国の映画業界では純粋に映画そのものの製作にかかった金額。広告宣伝費は製作費とは別枠でお金をかける。

*2:さらにその前はパイオニアLDC