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『24 JAPAN』第1話の感想

『24 JAPAN』第1話「00:00 - 01:00」

 

 

作品について

あの『24 -TWENTY FOUR-』の日本版リメイク。

www.tv-asahi.co.jp

翻案は2013年のインド版(ヒンディー語)に続いて2作目。インド版は2016年にシーズン2を放送。

神田エミイ亜希子プロデューサーによると、4-5年にわたり権利交渉をした、交渉中に何度も厳しい条件を出された、と。

 

24 -TWENTY FOUR-』はジョエル・サーノウとロバート・コクランの脚本家チームがクリエイター兼ショーランナー兼エグゼクティブプロデューサー。

 

 

ABEMA

テレビ朝日サイバーエージェントのABEMAでは、60分版が配信されている。

abema.tv

 

 

感想

アメリカではテロリズムを描くのは、フィクションの中でも現実味を出しやすい。日本では誰を、何をテロリストとして描くのか。

 

アメリカドラマの主人公は家族に問題があるのがお約束。獅堂現馬は子どもとは上手くいっている。妻とは一時期別居していたが今では関係は良好。娘に「あの人」と言われる母親。娘が夜遊びしているところもそのまま再現。娘はもともとはまじめそうだけど。

 

 

S01E01に忠実な第1話だった。おそらく20世紀フォックスとの契約で、オリジナル版に忠実に制作することになっているのだろうね。整合性を取るのは至難の業だけれど。

第1話はまあいい感じだとは思う。第2話以降も観ようと思うくらいには。

 

外国の優れたコンテンツを日本でリメイクするのだから、本家と比較されるのは当然だし、批判されるのも仕方がない。プロデューサーは真摯に受け止める義務がある。

エンターテインメント業界の格言に、成功はスタッフやキャストなど関係者全員のおかげ、失敗はすべてプロデューサーの責任、というのがある。

 

 

 

著作権

20世紀フォックス(現・20世紀スタジオ)が日本版のIPも所有する契約なの?

 

 

アメリ

アメリカでは、映画監督や映画プロデューサーなどの製作会社と、映画スタジオのテレビ番組製作部門や放送局の番組製作部門がお金を共同で出資してコンテンツを製作する。

テレビシリーズなら、まず脚本家がpilotを目指して脚本を書き、プロデューサーにプレゼンする。プロデューサーは数多くのプレゼンからこれはと思うものを選び、脚本家とさらにアイディアを練る*1。並行してプロデューサーは映画スタジオのテレビ番組製作部門や放送局の番組製作部門*2に声をかけ、共同製作の契約を結ぶ。
pilotの脚本ができたら、プロデューサーは放送局の番組買付部門にプレゼンする。放送局の番組買付部門は数多くのプレゼンからこれはと思うものを選び、プロデューサーと製作会社にpilotを発注する。製作会社は自社で資金調達しているので、自社の資金を投入してスタッフやキャストを選びpilotを製作する。完成したpilotを放送局幹部や番組買付部門に見せる。
(1)pilotが好評なら、放送局は全14話とか全22話など続きを発注する。コンテンツの著作権は製作会社が保有する。スポンサーから支払われた広告費は、放送局と製作会社で分配する。
(2)pilotの作り直しを指示されることもよくある。脚本を書き直したりスタッフやキャストを選びなおしたりしてpilotを再度製作する。作り直したものが好評なら(1)と同じようになる。
(3)pilotが不評なら、その放送局では却下ということ。ほとんどのpilotはこうなる。つまり日の目を見ない。別の放送局や配信サービスに持ち込んでgreen-light(製作許可)が出ることもある。却下されたら、投資したpilotの製作費はすべて水の泡になる。だからプロデューサーや製作会社は必死になっていいコンテンツを生み出そうとする。

テレビ放送されて、日本の視聴率*3に近い存在のNielsen TV ratings*4が出る。パーセンテージから100万人単位の視聴者数が導き出される。広告収入が釣り合ううちは、おおむね毎年続編を製作してだらだら引き延ばす。数字が釣り合わなくなったら、放送局幹部は番組を容赦なく打ち切る。VFXを多用する作品の場合、数字が良くても製作費が高額なので製作会社の都合で打ち切りにすることもよくある。アメリカのテレビ業界では綺麗に完結させることを考えない。ごくまれに綺麗に完結した作品があるが、ショーランナー・製作会社幹部・放送局幹部はどうした、頭を打った?、みたいな印象。

 

イギリスでは、放送局が社内の番組製作部門が製作する場合と、アメリカのように外部の製作会社に発注して番組を放送するだけの場合と両方ある。

 

 

翻って日本は、テレビ局所属のプロデューサーが仕切る。電通博報堂、スポンサー、芸能事務所にばかり気を使う。失敗してもせいぜい人事考課に響くくらい? テレビ局というぬるま湯につかっているプロデューサーに優れたコンテンツを世に出せるとは思えない。

 

 

 

 

キャスト

獅堂家
獅堂現馬:唐沢寿明
獅堂六花:木村多江
獅堂美有:桜田ひより

朝倉家
朝倉麗:仲間由紀恵
朝倉遥平:筒井道隆
朝倉夕太:今井悠貴
朝倉日奈:森マリア
磯村滋子:水野久美

CTU
水石伊月:栗山千明
南条巧:池内博之
明智菫:朝倉あき
マイロ:時任勇気
郷中兵輔:村上弘明
鬼束元司:佐野史郎

美有の友人とその家族
長谷部研矢:上杉柊平
鮫島剛:犬飼貴丈
函崎寿々:柳美稀
函崎要吾:神尾佑

謎の人物たち
神林民三:高橋和也
氷川七々美:片瀬那奈
皆川恒彦:前川泰之

朝倉党首の関係者
上州:でんでん
山城まどか:櫻井淳子
秋山昇:内村遥
金田一忠:天野慶

 

 

第1話スタッフ

Written by Robert Cochran & Joel Surnow

監督:鈴木浩介
日本語版脚本:長坂秀佳
日本語版脚本協力:山浦雅大

 

 

シリーズスタッフ

原作:Based on the U.S. Series "24" Created by Joel Surnow & Robert Cochran
© 2020 Twentieth Century Fox Film Corporation. All Rights Reserved.

日本語版脚本:長坂秀佳
日本語版脚本協力:山浦雅大

日本語版脚本:長坂秀佳
日本語版脚本協力:山浦雅大

監督:鈴木浩介、木内健人、日暮謙、大塚徹

撮影:高柳知之
照明:山口賢二
映像:山本直紀
音声:工藤新一郎
編集:山田典久
サウンドデザイン:石井和之
音響効果:西垣尚弥

音楽:奈良悠樹

 

チーフプロデューサー:五十嵐文郎(テレビ朝日)
プロデューサー:神田エミイ亜希子(テレビ朝日)、下山潤(トータルメディアコミュニケーション)
協力プロデューサー:藤本一彦(テレビ朝日)、船津浩一(テレビ朝日)

制作協力:トータルメディアコミュニケーション
制作:テレビ朝日

*1:これを「開発」(development)という。

*2:アメリカの放送業界は、設備・放送・番組編成などの放送局と、番組を製作する子会社と、別法人なのが一般的。

*3:現在は電通の子会社「株式会社ビデオリサーチ」しか運用していない。

*4:Nielsen Media Researchが運営。