『博士の異常な愛情 または私は如何にして心配するのを止めて水爆を愛するようになったか』
原題:"Dr. Strangelove or: How I Learned to Stop Worrying and Love the Bomb" (known simply and more commonly as "Dr. Strangelove")
製作年:1963年
製作国:アメリカ合衆国
公開日:1964年1月29日
作品について
スタンリー・キューブリック監督・脚本・プロデューサー。
ピーター・ジョージの小説『破滅への二時間』が原作。映画の脚本を共同執筆。
政治風刺ブラックコメディー映画。
Amazon
感想
何度観てもおもしろい。名作映画、いや傑作映画。
『博士の異常な愛情』はアメリカとソビエト連邦の冷戦を風刺した作品。皮肉なことに、再び世界が第二の冷戦に陥っている。人間は現在でも地球を破壊することができる。
アメリカ空軍基地の司令官ジャック・D・リッパー准将が統合失調症やパラノイアにより、ソ連を核攻撃するように命令を出す。Brigadier General Jack D. Ripper の名前は、1888年から1891年にかけてロンドンを恐怖に陥れた正体不明の連続殺人犯「切り裂きジャック」(Jack the Ripper)から採られている。
小松左京さんのSF小説『復活の日』(1964)では、アメリカの狂信的な反共軍人ガーランド中将(映画では統合参謀本部議長)が全自動報復装置を起動させ、人類を滅亡させた。猛毒の新型ウイルス「MM-88」によるパンデミックを、ソ連の生物兵器による攻撃だと信じ込んで凶行に及んだ。
1962年のキューバ危機では、核攻撃の命令が出されたがソ連軍の将校が命令の信憑性を疑い冷静に判断したため、最悪の事態は辛くも回避されたという事実がある。
10月27日、ソビエトの潜水艦を発見したアメリカの空母部隊が浮上を促すために機雷を投下、ソビエトの艦長は攻撃が始まったと誤解して、アメリカの空母に対して核魚雷の発射命令を出したのです。このときは艦内にいた参謀の一人が浮上を促す合図ではないかと冷静に判断し、発射は行われませんでした。
空軍基地に掲げられている看板には、"Peace is Our Profession" と記されている。平和のために戦うとは、風刺が効いている。
2024年現在の要注意人物はドナルド・トランプ、ウラジーミル・プーチン、習近平らがいる。彼らは地球を破壊できるだけの兵器を手中に収めている。アメリカ大統領選挙は2024年11月5日に行われるが、残念ながらトランプが再選される可能性が高い。
キャスト
ストレンジラヴ博士:ピーター・セラーズ;大塚周夫、山路和弘
ライオネル・マンドレイク大佐:ピーター・セラーズ;愛川欽也、山路和弘
マーキン・マフリー大統領:ピーター・セラーズ;中村正、山路和弘
バック・タージドソン将軍:ジョージ・C・スコット;池田忠夫、宝亀克寿
ジャック・D・リッパー准将:スターリング・ヘイドン;家弓家正、佐々木勝彦
"バット"・グアノ大佐:キーナン・ウィン;吉沢久嘉、楠見尚己
T・J・"キング"・コング少佐:スリム・ピケンズ;富田耕生、辻親八
アレクセイ・デ・サデスキー(ソ連大使):ピーター・ブル;滝口順平、三木敏彦
ロザー・ゾッグ少尉 / ソギー:ジェームズ・アール・ジョーンズ;田中信夫、魚建
ミス・スコット:トレイシー・リード;渡辺典子、水落幸子
スティンズ:ジャック・クレリー;寺島幹夫、田原アルノ
ディートリッヒ:フランク・ベリー;青野武、田中一永
カイベル:グレン・ベック;中田浩二、上田陽司
エース・オーウェンズ:シェイン・リマー;桑原たけし、斎藤志郎
ゴールディ:ポール・タマリン;大竹宏、松原政義
フェイスマン:ゴードン・タナー;勝田久、島香裕
ナレーション:N/A;矢島正明、田原アルノ
NETテレビ版
演出:小林守夫
翻訳:木原たけし
調整:前田仁信
制作:東北新社
https://fukikaemaniax.web.fc2.com/tv-on-air/06-a.html#21
初回放送:1971年8月8日『日曜洋画劇場』(21:00-22:56)※キューブリックの要望でノーカット放送
解説:淀川長治
ソフト版
演出:壺井正
翻訳:高間俊子
制作:グロービジョン
https://fukikaemaniax.web.fc2.com/vhs-dvd/06-c.html#17
NHK BS版字幕翻訳:松岡葉子
スタッフ
監督:スタンリー・キューブリック
脚本:スタンリー・キューブリック & テリー・サザーン & ピーター・ジョージ
原作:ピーター・ジョージ
製作:スタンリー・キューブリック
アソシエイトプロデューサー:ヴィクター・リンドン
撮影監督:ギルバート・テイラー
プロダクションデザイン:ケン・アダム
美術監督:ピーター・マートン
衣装:ブリジット・セラーズ
編集:アンソニー・ハーヴェイ
音楽:ローリー・ジョンソン
録音:リチャード・バード
サウンドスーパーバイザー:ジョン・コックス
ダビングミキサー:ジョン・オルドレッド
サウンドエディター:レズリー・ホッジンズ
メイクアップ:スチュアート・フリーボーン
ヘアドレッサー:バーバラ・リッチー
特殊効果:ウォーリー・ヴィーヴァーズ
トラベリングマット:ヴィク・マーガッティ
記録:パメラ・カールトン
助監督:エリック・ラトレイ
プロダクションマネージャー:クリフトン・ブランドン
製作会社:Hawk Films Ltd., Polaris Productions
配給:コロンビア ピクチャーズ
配給(日本):コロムビア映画 (1964年10月6日公開)