映画の後には紅茶とお菓子を

百合とアニメと映画の感想

吹き替えのオフィシャル化で既存のテレビ版の放送や新録が許可されない問題

『天使にラブ・ソングを…』の感想記事に吹き替えについて追記したけれど、独立した記事にしておきたいと思ったのでここに記しておく。

films.hatenablog.com

 

ウォルト・ディズニー・スタジオに限らず大手映画会社は吹き替えのオフィシャル化を推し進めているので、テレビ版の吹き替えはなかなか放送や配信などの許可が下りないようになってきている。

 

インディ・ジョーンズ クリスタル・スカルの王国』では、それまでの『インディアナ・ジョーンズ シリーズ』で吹き替えを担当した村井國夫さんのバージョンを制作したいとシネフィルWOWOWBSジャパン(現・BSテレ東)が許可を求めたものの、ルーカスフィルムに拒否されたそうだ。

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また、BSジャパンが『クール・ランニング』の日本テレビ版をリクエストしたけれど、(日テレ版のマスターテープは存在するのに)ソフト版しか使わせてもらえなかったり、『アルマゲドン』の新録が許諾されなかったりしたそうだ。

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日本の配給会社の担当の人たちはテレビ局のリクエストに応えようと頑張って掛け合ってくれているけれど、アメリカ本社から却下されるらしい。

 

20世紀フォックス(現「20世紀スタジオ」)もウォルト・ディズニー・カンパニーに買収されたため、今後は新録が難しくなったり、既存のテレビ版などが公開できなくなったりする可能性がある。特に20世紀フォックスは『吹替の帝王』シリーズ(Blu-ray Disc)や『吹替の名盤』シリーズ(DVD)という、現存する吹き替え版をできる限りすべて収録するラインナップがある。さらに、シリーズに組み込まれていない作品でも、例えば『サウンド・オブ・ミュージック』のように全部のバージョンを収録しているものもある。20世紀フォックスの好きな作品は、廃盤になる前に購入しておくのがいいだろうね。

 

 

案の定、20世紀フォックス作品のBD/DVD発売がウォルト・ディズニー・ジャパンに変更された。

20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパンが発売していた20世紀スタジオ及びサーチライト・ピクチャーズほかの作品は、 2020年5月1日(金)以降は、ウォルト・ディズニー・ジャパンが発売することになりました。

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4月14日の時点では、まだ20世紀フォックスの日本支社(配給・製作担当)と「20世紀フォックス ホーム エンターテイメント ジャパン株式会社」(映像ソフト担当)の記述のままだった。

現在発売されている複数の吹き替え版を収録したBD/DVDも、流通在庫をもって廃盤になる可能性がある。

20世紀フォックス作品も、ディズニー公認の吹き替え版以外はお蔵入りになる日も近いかな。

 

 

Wikipediaの英語版に、日本の外画吹替について詳しく書かれている。

Foreign films usually contain multiple Japanese-dubbing versions, but with several different original Japanese-dubbing voice actors, depending upon which TV station they are aired. NHK, Nippon TV, Fuji TV, TV Asahi, and TBS usually follow this practice, as do software releases on VHS, Laserdisc, DVD and Blu-ray.

en.wikipedia.org

テレビ東京が無視されているのはなぜだ。『木曜洋画劇場』で吹き替え版制作に力を入れていたらしいのに。

他にも、映画館では子ども向け映画を除き原語音声と日本語字幕で上映される。近年では吹き替え版と字幕版の両方を上映している、と。

著名な俳優のfix声優の一覧まである。

アニメや声優から日本語吹き替えに興味を持つ人もいるのだろうね。

 

 

1つの映画でも複数の吹き替え版が存在する作品は数多くあり、それぞれに違った魅力がある。

映画の著作権者として吹き替えをクオリティコントロールしたい事情は理解できるけれど、ファンの楽しみを奪わないでほしい。

 

 

2021年2月3日追記:
テレビ局が制作した吹き替え版も、放送後は映画自体の著作権者の所有物になる。素材のデータ形式移し替えやアーカイブ化などの過程で、著作権者に不要と判断されてしまったものは処分されてしまう。吹き替えのオフィシャル化で統一するという目的だけでなく、必要ないから廃棄という場合も多いようだ。

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吹き替えに限らず、映画、テレビ番組、ラジオ番組など同様のことを聞く。様々な作品が、大人の事情で消されていく。悲しきかな。