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百合とアニメと映画の感想

『リコリス・リコイル』へのアサウラさんの関わり方

 

インタビュー

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アサウラさんによると、アサウラさんの初期プロットはほとんど『リコリス・リコイル』に使われていないようだ。主要キャラクターはある程度はそのまま残っているが、千束がフキに近い性格のギャルだったなど、キャラクター設定も足立慎吾さんの影響が反映されている。

 

八咫烏」「彼岸花」「君影草」「花葵」の歴史や、現在のDAやリコリスの設定は足立慎吾さんが考えた。公的な後ろ盾が必要だと。当初はもっと規模の小さな秘密組織だった。

身の丈に合わないことを考えるから扱いきれずに馬脚を露わす。足立慎吾さんとプロデューサーは、現代社会や歴史、経済、政治や外交、主権者(国民)と三権分立(立法権、行政権、司法権)などに対する理解が乏しいのでは?

 

本読み(脚本会議)でスタッフ全員が「真島のほうが正論言ってない?」という意見に賛同したそうだ。創作物とはいえ、テロリストの主張に共感した主要スタッフは倫理観がおかしい。

たとえどんなに正論であったとしても、違法な手段による主張は説得力を持たない。それを理解していない、または理解していながら感情を優先するのは危険。感化されやすいということ。

テロリズム政治的主張が目的で行われることが多い。テロ対策ではテロリストの主張を報道・拡散しないのが鉄則。

 

 

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アサウラさんを引き込んだのも、足立慎吾さんと同様に A-1 Pictures 社長の柏田真一郎さん。柏田真一郎さんが『デスニードラウンド』を読み、担当編集の萩原猛さんに連絡を取った。だから企画協力でクレジットされている。

 

リコリス・リコイル』は条件から考えた。女子高生、女の子、制服、銃を撃つ。上京したばかりの頃、立ち入り禁止区域前で見ていたら警備員から警戒された。すぐ近くを通ったJKには警備員は警戒せず。そこからJKと制服は迷彩服という設定を着想した。

 

登場する銃器は、初期段階でアサウラさんが提案した。

また、千束の銃の構え方 CAR system は、友人の深見真さんがアサウラさんに教えたそうだ。チャド・スタエルスキ監督、デヴィッド・リーチ監督『ジョン・ウィック』(2014)が公開される前の出来事。

主人公が殺さないにせよ銃を撃つのはまずいという話になり、千束が非殺傷弾を使う設定になった。ただ第1話で非殺傷弾が車のドアを貫通しているのは演出による嘘なので気にしないでほしいと。

着弾時のエフェクトがなく、撃たれた人が吹っ飛ぶだけでは超能力で倒されたようにも見えるし、絵的にダサい。マーティン・スコセッシ監督『ディパーテッド』(2006)で、血しぶきが粉っぽい特殊なエフェクトだった。撃たれた瞬間に弾頭がはじけ飛んで血しぶきみたいに見えるならOKかもと。プラスチックゴムの粒粒を加工して作る、架空の弾丸プラスチックフランジブル弾を設定した。

ゴム弾は弾頭が軽く、遠距離ではパワーが落ちるので近距離にならざるを得ない。弾が軽いと狙いがぶれる。だから近距離戦なので CAR system を採用するに至った。千束の銃は先端にスパイクがついている特別製。

ミリオタ的には足立慎吾さんが銃器の描き方を工夫していると感じたらしい。足立慎吾さんが演出に徹して、シリーズ構成・脚本をプロの脚本家に任せればよかったのにね。

(注:筆者には軍事の知識はないので、Twitter Spaces で聞いた話をまとめただけです。)

 

 

深見真さんによるとアニメのシリーズ構成は難しいそうだ。監督のやりたいことは監督によって違う。プロデューサーによっても違う。構成をもっと書き込んでほしいとか、構成をこんなに書き込まれても困るとか。原作ものはまるでパズル。1話数でここまで持っていきたい、と考えて構成する。オリジナルはよりどころが何もない、他スタッフとの考えのすり合わせが難しい。

 

 

余談

アニプレックスYouTubeチャンネルで配信されているラジオ「ANIPLEX presents ANIMEコンシェルジュ」は、次回のゲストが足立慎吾さん。インタビューを読むと、話せば話すほどボロが出る人のようだから、どんな失言をするのか。

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