『ミセス・ダウト』
原題:"Mrs. Doubtfire"
製作年:1993年
製作国:アメリカ合衆国
公開日:1993年11月24日
作品について
クリス・コロンバス監督。
ロビン・ウィリアムズ主演・プロデューサー。
アン・ファインの小説『マダム・ダウトファイア』が原作。
コメディドラマ映画。
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感想
名作映画。何度観てもおもしろい。大好きな映画の1作。
BDとDVDの両方を持っている。クリス・コロンバス監督のオーディオコメンタリーはLDとDVDには収録されていたが、BDには収録されていない。
家族がテーマ。親の離婚や別居を経験した子どもたちをはじめ、様々な形の家族と暮らす子どもたちへのメッセージが込められている。
当初の脚本では、スチューはミランダと結婚した後2人きりになるため、子どもたちを全寮制の学校に行かせ家から追い出すことを考えているなど腹黒いキャラクターだった。クリス・コロンバス監督は、スチューが善人であるほど、子どもたちを愛しているほど、ダニエルの悔しさや怒りが引き立つと考え、脚本を書き直した。
男性が何らかの理由で女装して働くという話は、シドニー・ポラック監督・製作『トッツィー』(1982)と共通している。
ロビン・ウィリアムズは巧みな即興のお芝居で知られている。
クリス・コロンバス監督は、まず脚本通りに数テイク演じてもらい、その後は好きに演じてもらったそうだ。ロビン・ウィリアムズのアドリブを受けて、他の役者たちもアドリブで芝居を返している。即興テイクもたくさん採用され、完成作品の編集に活かされた。
ダニエルが学校から帰る子どもたちを迎えに行った序盤のシーンで、ロビン・ウィリアムズがジャック・ニコルソンの物真似をするとナタリー役のマーラ・ウィルソンがそれを真似た。2人が、ライオンが吠えるような表情をするシーン。子役が大人の役者と打ち解けている証拠と言える。役者がリラックスしていると、いいお芝居が生まれる。
ロビン・ウィリアムズのお芝居で、撮影現場にいるキャストもスタッフも笑いっぱなしだったらしい。
著作権や商標権の侵害になりそうな即興は、すべて調べ上げて許可を取るか、没にするかしかない。
ジョアキーノ・ロッシーニ作曲のオペラ『セビリアの理髪師』より、カヴァティーナ"Largo al factotum"をロビン・ウィリアムズが歌った。
冒頭のアニメーションは、名アニメーターで名アニメーション監督のチャック・ジョーンズが手掛けた。BD/DVDにはアニメーションの完全版やペンシルテストが映像特典として収録されている。
アメリカのアニメーション制作はプレスコなので、先に何も映像がない状態で声優が演じる。アニメーターは声優の芝居を聞きながら、キャラクターの絵の芝居を考えて描く。
『ミセス・ダウト』ではアニメーションとダニエル・ヒラード(ロビン・ウィリアムズ)の芝居を同じフレームにおさめるため、演出の都合でアフレコのようにしたと、クリス・コロンバス監督がオーディオコメンタリーで語っていた。ダニエルが働いている姿を観客に見せ、ダニエルの性格や信念、演出家との芸術談義を示す意図がある。
チャック・ジョーンズは1963年から1967年に『トムとジェリー』の短編34作を制作した。またワーナー・ブラザースのキャラクター、バッグス・バニーの『ルーニー・テューンズ』『メリー・メロディーズ』などでも知られる。*1
クリス・コロンバス監督『ホーム・アローン2』(1992)でケビンが観ていたアニメーションもチャック・ジョーンズの作品。チャック・ジョーンズ監督、ドクター・スース原作・脚本『グリンチのクリスマス』(1966)。1966年12月18日にCBSで放送されたテレビスペシャル。
プール内のお店のバーテンダーは、ロビン・ウィリアムズの兄ロバート・トッド・ウィリアムズが演じた。かえるのイラストが印の、カリフォルニア州にあるワイナリー Toad Hollow Vineyards の創業者の1人だった。
トリビア
ヒラード家はサンフランシスコのスタイナー通2640にある家でロケーション撮影された。作中で言及される住所 2640 Steiner St は実在する。
ダニエルが働くテレビ局のシーンは、カリフォルニア州オークランドにあるKTVUで撮影された。フォックス放送に属するテレビ局で、2014年にFox Television Stations, LLCがCox Media Groupから買収し所有している。
『ミセス・ダウト』のVHSは1000万本売れた。20世紀フォックス ホーム エンターテイメントの販売予測を上回っていた。
フランク・シナトラの音楽を映画やテレビドラマで使用するには、高額の原盤権利用料が必要らしい。
1995年頃、新しいジェームズ・ボンド役を探していたMGMの幹部から電話があったので、クリス・コロンバス監督はピアース・ブロスナンを推薦した。
https://www.allarts.org/programs/hollywoods-best-film-directors/chris-columbus-tmhtk6/
https://www.wliw.org/programs/hollywoods-best-film-directors/chris-columbus-tmhtk6/
脚本
『ミセス・ダウト』の脚本。
https://static1.squarespace.com/static/5d78f7aafa2a676e1fcddfe9/t/5fb5316acc268c5e1e65780c/1605710189383/MRS+DOUBTFIRE.pdf
クリス・コロンバス監督は『ミセス・ダウト』の脚本を書き直したがクレジットされていない。
全米脚本家組合の規則で、監督やプロデューサーが脚本執筆した場合のクレジット条件が厳しく制限されている。
https://www.wga.org/uploadedfiles/credits/manuals/screenscredits_manual10.pdf
続編
2001年から続編の構想があり脚本を開発していたが、ロビン・ウィリアムズが2014年8月に死去したため中止になった。
キャスト
ダニエル・ヒラード / ミセス・ダウトファイア:ロビン・ウィリアムズ;山寺宏一、山寺宏一、江原正士
ミランダ・ヒラード:サリー・フィールド;小山茉美、佐々木優子、一城みゆ希
スチュアート・ダンマイア:ピアース・ブロスナン;堀秀行、堀内賢雄、有本欽隆
フランク・ヒラード:ハーヴェイ・ファイアスタイン;渡部猛、島香裕、玄田哲章
ジョナサン・ランディ社長:ロバート・プロスキー;阪脩、川久保潔、富田耕生
グロリア・チェイニー:ポリー・ホリデイ;島美弥子、?、?
リディア・ヒラード:リサ・ジェイカブ(リサ・ジャクブ);伊藤美紀、坂本真綾、渡辺美佐
クリス・ヒラード:マシュー・ローレンス;石田彰、結城比呂、佐々木望
ナタリー・ヒラード:マーラ・ウィルソン;渡辺菜生子、こおろぎさとみ、池上麻里子
セルナー:アン・ヘイニー;竹口安芸子、矢野陽子、京田尚子
ジャック:スコット・カプーロ
ジャスティン・グレゴリー:マーティン・マル
バスの運転手:シドニー・ウォーカー
テレビ局の上司:ジョー・ベラン
アフレコ演出家:テレンス・マクガヴァン
判事:スコット・ビーチ
ミランダの弁護士:ジュリエット・マーシャル
ダニエルの弁護士:ドリュー・レッチワース
バーテンダー:Dr. Toad(ロバート・トッド・ウィリアムズ)
メートル・ドテル:リック・オーヴァートン
スプリンクルズ:ウィリアム・ニューマン
ソフト版
その他:
真地勇志/島美弥子/加藤精三/今西正男/有本欽隆
稲葉実/竹口安芸子/清川元夢/矢津田美恵子/沢海陽子
テレビ朝日版
その他:
上田敏也/小山武宏/丸山詠二/藤本譲/坂口哲夫
田原アルノ/火野カチコ/磯辺万沙子/坂口賢一/宝亀克寿
伊藤和晃/加藤優子/増田ゆき
フジテレビ版
その他:
有本欽隆/小島敏彦/浅井淑子/秋元羊介/石森達幸
茶風林/土方優人/紗ゆり/宝亀克寿/小出悦子
ソフト版
演出:福永莞爾
翻訳:滝沢ふじお
調整:兼子芳博
制作:クリプリ
https://fukikaemaniax.web.fc2.com/vhs-dvd/07-d.html#29
テレビ朝日版
演出:福永莞爾
翻訳:たかしまちせこ
調整:山田太平
効果:リレーション
制作:ムービーテレビジョン
解説:淀川長治
テレビ朝日プロデューサー:松田佐栄子、高橋由佳
https://fukikaemaniax.web.fc2.com/tv-roadshow/07-b.html#14
初回放送1997年4月27日『日曜洋画劇場』
フジテレビ版
演出:春日正伸
翻訳:松崎広幸
調整:栗林秀年
効果:山本洋平
制作:ムービーテレビジョン
担当:保原賢一郎、山形淳二(フジテレビ)
https://fukikaemaniax.web.fc2.com/tv-roadshow/07-b.html#13
1998年10月24日『ゴールデン洋画劇場』
スタッフ
監督:クリス・コロンバス
脚本:ランディ・メイエム・シンガー and レスリー・ディクソン and クリス・コロンバス (uncredited)
原作:アン・ファイン
製作:マーシャ・ガーセス・ウィリアムズ、ロビン・ウィリアムズ、マーク・ラドクリフ
製作総指揮:マシュー・ラシュトン
撮影監督:ドナルド・マカルパイン
編集:ラジャ・ゴズネル
音楽:ハワード・ショア
製作会社:20世紀フォックス、ブルー・ウルフ・プロダクションズ
配給:20世紀フォックス
配給(日本):20世紀フォックス映画 (1994年4月16日公開)
プロダクションデザイン:Angelo P. Graham
美術監督:W. Steven Graham
セットデコレーション:Garrett Lewis
衣装デザイン:Marit Allen
Co-Producer: Joan Bradshaw
Associate Producer: Paula Dupré
Unit Production Manager: Joan Bradshaw
Production Coordinator: Jacqueline A. Shea
Assistant Production Coordinator: Mary Duann
First Assistant Director: Geoff Hansen
Second Assistant Director: Cherylanne Martin
Second Second Assistant Director: Stephen Lee Davis
Additional Second Assistant Director: Carol Bawer
Script Supervisor: Carol De Pasquale
Casting Directors: Janet Hirshenson, Jane Jenkins
Key Makeup Artist: Ve Neill
Key Hairstylist: Yolanda Toussieng
Special Make-up Created by: Greg Cannom
'Mrs Doubtfire' Body Suits: Linda Benavente-Notaro
Music by Howard Shore
Cartoon Music Composed and Conducted by Fred Steiner
Orchestrations: Howard Shore
Scoring Mixer: Dan Wallin
Supervising Music Editor: Ellen Segal
Music Editor: Robin Katz
Sound Design: Gary Rydstrom
Assistant Sound Designer: Lora Hirschberg
Sound Mixer: Nelson Stoll
Re-Recording Mixers: Gary Rydstrom, Tom Johnson, Gary Summers
Supervising Sound Editor: Gloria S. Borders
Special Effects: John McLeod
Animation by Chuck Jones
Animation Produced by Linda Jones Clough
Associate [Animation] Producer: Stephen A. Fossati
Animators: Bill Littlejohn, Barry Nelson, Tom Ray, Tom Roth, Dwayne Gressky, Ralph Newmann, Claude Raynes
Animation Backgrounds: Rick Reinert
Checkers: Debra Rykoff, Charlotte Clark
[Animation] Camera: Ted Bemiller & Sons
Stunt Coordinator: Troy Brown
Animal Handler: Gary Gero
*1:ワーナー・マイカル・シネマズでは、バッグス・バニーなど『ルーニー・テューンズ』のキャラクターがマスコットとして用いられていた。2013年7月1日にイオンシネマに吸収合併され、ワーナー・マイカル・シネマズは消滅した。