『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』
原題:"The Post"
製作年:2017年
製作国:アメリカ合衆国
作品について
スティーヴン・スピルバーグ監督・プロデューサー。
ベトナム戦争を分析した極秘文書「ペンタゴン・ペーパーズ」を暴露報道した、『ワシントン・ポスト』の社主や編集主幹たちを描いた映画。なのでこの映画では『ニューヨーク・タイムズ』は脇役として描かれている。
歴史・政治スリラー映画。
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感想
試写会で観た。
#ペンタゴン・ペーパーズ 試写会:おもしろかった。始終ドキドキ。公益の為に報道の自由を賭けて闘う様は熱い。女性だからと軽んじられる中で、困難に直面し葛藤しながらも前に進む主人公。歴史、政治を題材に娯楽映画として成立させた手腕は流石スティーヴン・スピルバーグ監督。最後の場面にニヤリ。
— なお (@naotie) 2018年3月15日
何度観てもいい映画。名作映画。
アラン・J・パクラ監督『大統領の陰謀』(1976)につながるように演出されている。ウォーターゲート事件。
両作品を観ると、トム・ハンクスはジェイソン・ロバーズのお芝居を意識してお芝居していたのがわかる。
冒頭のベトナム戦争の戦場シーンは『プライベート・ライアン』(1998)を製作したスティーヴン・スピルバーグ監督の面目躍如。
2011年6月、「ペンタゴン・ペーパーズ」の全文が機密解除され、一般に公開されている。
この点はアメリカの長所。権力者が隠蔽した公文書も含め、時間をおいて公文書をすべて公開することが義務付けられている。
まあアメリカでも、ジョン・F・ケネディ大統領暗殺事件の機密文書の全面公開が何度も延期されたりしているけれど。
一般的に、政治家も官僚も、都合が悪い公文書は改竄したり破棄したりする。悪しき伝統。
終戦前後に、大日本帝国政府や大日本帝国陸軍や大日本帝国海軍があらゆる文書を処分した。極東国際軍事裁判で被告人の有利になりうる証拠まで破棄していたらしい。
公文書は国民共有の財産。国民の代理人に過ぎない政治家や公務員が、国民に反逆する。
製作
スティーヴン・スピルバーグ監督は『ジュラシック・パーク』(1993)と『シンドラーのリスト』(1993)を並行して製作したように、VFXを多用した『レディ・プレイヤー1』(2018)と『ペンタゴン・ペーパーズ 最高機密文書』(2017)を同時期に製作した。『レディ・プレイヤー1』のポストプロダクション中にスケジュールが空いたので、リズ・ハンナの脚本を読んですぐに映画製作を決め、わずか9か月あまりで『ペンタゴン・ペーパーズ』を製作した。
もともと『レディ・プレイヤー1』のポストプロダクション中には、"The Kidnapping of Edgardo Mortara" を製作する予定だった。1850年代から1860年代に実際にあったスキャンダル。ユダヤ人の瀕死の男の子がこのまま亡くなるのは可哀想だと、使用人がカトリックの洗礼を授けたところ、病から回復したが、これを問題視したカトリック教会が男の子を両親から誘拐して司祭に育てた、という事件。トニー・クシュナーが脚本を書き、マーク・ライランスがローマ教皇ピウス9世を演じることが決まっていた。Edgardo Mortara 役を演じる男の子を探して、2000人以上オーディションしたが見つからなかった。プリプロダクション中だったが、キャスティングの難航で、結果的にこのプロジェクトは延期された。そんな折に『ペンタゴン・ペーパーズ』の脚本を読み、今すぐに製作しようと思い至った。
ジョン・ウィリアムズはもともと『レディ・プレイヤー1』の音楽を担当する予定だったが、2作品の音楽制作スケジュールが重なってしまったため、『ペンタゴン・ペーパーズ』の音楽を選んだ。『レディ・プレイヤー1』の音楽は、ロバート・ゼメキス監督『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのアラン・シルヴェストリが作曲した。スティーヴン・スピルバーグ監督は『バック・トゥ・ザ・フューチャー』シリーズのエグゼクティブプロデューサーを務めていて、アンブリン・エンターテインメントが製作した。
キャスト
キャサリン・グラハム:メリル・ストリープ、高島雅羅
ベン・ブラッドリー:トム・ハンクス、江原正士
トニー・ブラッドリー:サラ・ポールソン、相沢恵子
ベン・バグディキアン:ボブ・オデンカーク、安原義人
フリッツ・ビーブ:トレイシー・レッツ、立川三貴
アーサー・パーソンズ:ブラッドリー・ウィットフォード、山本満太
ロバート・マクナマラ:ブルース・グリーンウッド、花田光
ダニエル・エルズバーグ:マシュー・リース、丸山智行
ラリー・グラハム・ウェイマウス:アリソン・ブリー、竹内夕己美
メグ・グリーンフィールド:キャリー・クーン、田村千恵
ロジャー・クラーク:ジェシー・プレモンス、梶川翔平
アンソニー・エッセイ:ザック・ウッズ、渡部俊樹
ハワード・サイモンズ:デヴィッド・クロス、松川裕輝
フィル・ジェイリン:パット・ヒーリー、竜門睦月
ジーン・パターソン:ジョン・ルー、さかき孝輔
マレー・マーダー:リック・ホームズ、関口雄吾
チャルマーズ・ロバーツ:フィリップ・キャズノフ、栗田圭
ジュディス・マーティン:ジェシー・ミューラー、小若和郁那
エイブ・ローゼンタール:マイケル・スタールバーグ、各務立基
アン・マリー・ローゼンタール:デボラ・グリーン、今泉葉子
ドナルド・E・グラハム:スターク・サンズ、梶川翔平
マイケル:ウィル・デントン、大西弘祐
リズ・ハイルトン:ジェニファー・ダンダス、片山加奈
ジェームズ・グリーンフィールド:クリストファー・インヴァー、日本語吹替 - 藤井隼
ニール・シーハン:ジャスティン・スウェイン
リチャード・ニクソン:カーゾン・ドベル、玉野井直樹
スタッフ
監督:スティーヴン・スピルバーグ
脚本:リズ・ハンナ and ジョシュ・シンガー
製作:エイミー・パスカル、スティーヴン・スピルバーグ、クリスティ・マコスコ・クリーガー
製作総指揮:Tim White, Trevor White, Adam Somner, Tom Karnowski, Josh Singer
共同プロデューサー:Rachel O'Connor, Liz Hannah
撮影監督:ヤヌス・カミンスキー
編集:マイケル・カーン、サラ・ブロシュナー
音楽:ジョン・ウィリアムズ
製作会社:ドリームワークス・ピクチャーズ、20世紀フォックス、パーティシパント・メディア、TSGエンターテインメント、アンブリン・パートナーズ、アンブリン・エンターテインメント、パスカル・ピクチャーズ、スター・スローワー・エンターテインメント
配給:20世紀フォックス (米国)、ユニバーサル・ピクチャーズ (世界)、東宝東和 (日本)
プロダクションデザイン:リック・カーター(Rick Carter)
美術監督:Kim Jennings as supervising art director, Deborah Jensen as supervising art director
セット装飾:Rena DeAngelo
衣装デザイン:Ann Roth
sound mixer: Christof Gebert (daily)
re-recording mixers: Andy Nelson, Gary Rydstrom, Seva Solntsev
supervising sound designer: Gary Rydstrom
supervising sound editors: Brian Chumney, Richard Hymns
special effects technicians: Cory Candrilli, Caleb P. Johnson, Evan Pileri
special effects foreman: Doug Coleman
visual effects supervisors: Doug Spilatro, Edson Williams for Lola Visual Effects
visual effects producers: Anwei Chen for Lola VFX, Mare McIntosh for Lola VFX, Jennifer Meislohn, Ryan Musante
visual effects executive producers: Thomas Nittmann for Lola Visual Effects, Mark Stern for Lola Visual Effects
visual effects production supervisor: Jennifer Mizener
CG supervisor: David Michaels