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『ムーンライト』(2016)感想

『ムーンライト』
原題:"Moonlight"
製作年:2016年
製作国:アメリカ合衆国
公開日:2016年9月2日(テルライド映画祭)、2016年10月21日(アメリカ)

 

 

作品について

バリー・ジェンキンス監督・脚本。

ブラッド・ピット エグゼクティブプロデューサー。

Tarell Alvin McCraney の未発表の半自伝的戯曲 "In Moonlight Black Boys Look Blue" が原作。エグゼクティブプロデューサー。

思春期成長ドラマ映画(coming-of-age drama film)。

全員黒人俳優による初のLGBTQがテーマの大衆向け長編映画

 

 

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感想

いい映画。セクシュアリティとマチズモが題材。

アフリカ系アメリカ人だけしかいないコミュニティを描いた創作物はあまり観る機会がないので新鮮。

A24 が製作・配給したという点で品質は保証されている。

 

男性2人の関係を描いた映画。アン・リー監督『ブロークバック・マウンテン』(2005)を連想する。

films.hatenablog.com

 

ロングヘアーの男子生徒が率いるグループが、ゲイの男子生徒をいじめる。白人のスクールカーストとは違うようだ。ジョックは基本的に体育会系なのでロングヘアーにしないと思う。

テレルの命令によりケヴィンに殴られたシャロンシャロンは犯人の名前を大人に言っても無駄だと諦めているので、テレルは傷害罪で処罰されず。シャロンはテレルを椅子で殴り復讐したので、暴行罪あるいは傷害罪で逮捕された。

 

親から子へ、あるいは友人から友人へと、ドラッグが広がる様子が描かれている。薬物依存症の親を持ち、ドラッグを憎んでいた子が、大人になって売人になる。悪循環。負の連鎖。

アメリカではドラッグに簡単にアクセスできる環境が多いらしい。エリート層(エスタブリッシュメント)すらドラッグ常習者は珍しくない。

マーティン・スコセッシ監督『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(2013)では、ウォール街のエリートたちがドラッグまみれの生活をしている様子が描かれていた。株式ブローカーだったジョーダン・ベルフォートの回顧録が原作なので実話。

 

ステディカムを使わず、手持ちカメラで撮影しているので画面が揺れている。

月明かりの海辺のラストシーンが美しい。"In Moonlight Black Boys Look Blue" という原作の題名通り。

 

 

音楽

ヴォルフガング・アマデウスモーツァルト作曲「証聖者の盛儀晩課(ヴェスペレ)」(K.399) 第5番 Laudate Dominum が使われている。

 

 

余談

バリー・ジェンキンス監督による脚本をA24が以前公開していた。おそらく映画賞の審査員向けに公開したものだろう。
https://web.archive.org/web/20170201145737/http://a24awards.com/film/moonlight/images/MOONLIGHT.pdf

英語圏の脚本は、Courier の書体(フォント)で12ポイントで書くのが決まりになっている。フォントなどによる装飾が、プロデューサー、監督、俳優など脚本を読む人たちの判断を鈍らせてはならないという理由。昔から Courier が使われているので、同一条件にそろえる意味がある。

脚本1ページが映像約1分。

 

 

キャスト

シャロン (Chiron)
大人のシャロン / 「ブラック」 - トレヴァンテ・ローズ(小松史法)
ティーンエイジャーのシャロン - アシュトン・サンダース(小松史法)
子どものシャロン / 「リトル」 - アレックス・ヒバート(松浦裕美子)

ケヴィン (Kevin)
大人のケヴィン - アンドレホランド(金谷ヒデユキ)
ティーンエイジャーのケヴィン - ジャレル・ジェローム(金谷ヒデユキ)
子どものケヴィン - ジェイデン・パイナー

その他の人々
ポーラ (Paula) - ナオミ・ハリス(冠野智美)
テレサ (Teresa) - ジャネール・モネイ(棟方真梨子)
フアン (Juan) - マハーシャラ・アリ(楠大典)
テレル (Terrel) - パトリック・デシル(赤坂柾之)

 

 

スタッフ

監督:バリー・ジェンキンス
脚本:バリー・ジェンキンス
原案:タレル・アルヴィン・マクレイニー
原作:タレル・アルヴィン・マクレイニー
製作:アデル・ロマンスキー、デデ・ガードナー、ジェレミー・クライナー
製作総指揮:ブラッド・ピット、サラ・エスバーグ、タレル・アルヴィン・マクレイニー
撮影監督:ジェームズ・ラクストン
編集:ナット・サンダース、ジョイ・マクミロン
音楽:ニコラス・ブリテル
製作会社:A24、プランBエンターテインメント、パステル・プロダクションズ
配給:A24

配給(日本):ファントム・フィルム

 

プロダクションデザイン:Hannah Beachler
美術監督:Mabel Barba
セットデコレーション:Regina McLarney (as Regina McLarney Crowley)
衣装デザイン:Caroline Eselin (as Caroline Eselin-Schaefer)

Co-Producers: Andrew Hevia, Veronica Nickel
Line Producer: Veronica Nickel
Additional Line Producer: Elayne Schneiderman Schmidt (as Elane Schmidt Schneiderman)
Associate Producer: John Montague

Unit Production Manager: Jennifer Radzikowski
Associate Production Supervisor: Reynaldo Rodriguez
Production Supervisor: Steve Del Prete
Assistant Production Supervisor: Roger Mendoza
Production Coordinator: Pedro Guillen

Casting by Yesi Ramirez

Head Makeup: Doniella Davy
Head Hair: Gianna Sparacino

Production Sound Mixer: Christopher Giles
Re-recording Mixers: Chris David, Chris David
Supervising Sound Editor: Joshua Adeniji

Visual Effects by Significant Others
Visual Effects Producer: Alek Rost

Stunt Coordinators: Alexander Edlin, Artie Malesci